インタビュー

「超合金」と「ZOIDS」だからこその革新! 「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」に込められた“夢のプロジェクト”インタビュー

可動を重視した「超合金」シリーズの新たなアプローチ

――今回の「超合金 RZ-041 ライガーゼロ専用チェンジングアーマーセット」と「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」を開発された経緯をお聞かせください。

小西氏:「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」はタカラトミーさんとのコラボ企画「Dream Together」のひとつとして展開しております。このプロジェクトが始まったのは、コロナ禍などで玩具業界としてユーザーの方と直接触れ合ったりする機会が少なくなっており、業界全体としてユーザーの方々に元気を与えるようなメッセージ性のある商品を作りたいという思いからスタートしました。

【超合金 RZ-041 ライガーゼロ2023年6月発売!】

小西氏:その中で「ゾイド」や「ガンダム」など両社のブランド、IPを協議し、BANDAI SPIRITSでは「超合金」ブランドで「ゾイド」の立体化が決定しました。その理由としてBANDAI SPIRITSでも「ゾイド」が好きな社員が自分含めてたくさんいます。この特別なタイミングの中で恩返しがしたいという思いもあり、「ゾイド」を盛り上げ、ユーザーの方にも喜んでもらえる商品づくりをしたいというところで「ライガーゼロ」に白羽の矢が立ちました。

小西氏:そして、「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」では完成品フィギュアにするというところで、キャラクター性や設定、ワイルドな動きなど「超合金」ブランドで立体化するのがふさわしいと思い選定しました。そして、特徴的な「CAS(チェンジングアーマーシステム)」の“玩具だからこその遊びの幅、キャラクター性の広がり”がホビーの歴史の中で大切な位置づけのキャラクターだと思い、この「CAS」も立体化する前提で決定しました。

――「ライガーゼロ」が持つ魅力や「CAS」の革新的な遊びの広がりは確かに強いインパクトがありました。一方で、「超合金」シリーズは人型ロボットを多く展開しているブランドの印象が強く、今回の「ゾイド」のような動物・獣型での立体化で苦労されたことはありますか?

小西氏:おっしゃる通りでハイターゲット向けの「超合金」シリーズをたくさん展開していますが、その多くが人型となっております。今回のような四つ足で可動が大切なポイントになるキャラクターへのアプローチがほとんどありませんでした。各構造、関節可動のノウハウはあるのですが、ネコ科のような柔軟な動きやキャラクター性を再現するのに試行錯誤を重ねました。

小西氏:可動検証ではデータ上でやりたい動きを入力した設計データを作成し、出力品を出していきます。そこで可動域やユーザーの方に楽しんでもらう動きをさせたいなどの検証をしていきます。基本的にこの検証は3、4回ほどなのですが、「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」では10回以上の出力と修正を繰り返し、通常の2.5倍の期間を費やしました。

――「東京おもちゃショー2022」でも出力品が展示されていましたが、それよりも多かった?

小西氏:そうですね。展示ではユーザーの方にわかりやすい段階の出力品を展示しまして、実際のプロセスではその2倍のものがあります。

――「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」ではネコ科のしなやかさが強調されていて、これまでの「超合金」シリーズにはない印象を受けました

小西氏:機構のノウハウはありましたが、ネコ科らしいしなやかな動きへのアプローチがありませんでした。それを表現するために猫やライオンの骨格のレプリカを参考に関節の位置や動きを検証しました。その中から商品にした際にユーザーが遊びやすい動きを実現するために構造の簡略化や玩具的な遊んで楽しさに焦点を当てて、関節の配置や動物らしい動きを検証していきました。

――なるほど。今回「ライガーゼロ」の可動フィギュア化にあたり、デザイン面ではどのようなアプローチになりましたか?

小西氏:もともとのデザインが非常に完成度が高く、僕自身も世代ともあって今見ても「超カッコいい!」と思っています。なので、獣のような動きを再現するため、そのうえで可動を考慮して調整していきました。機構試作を作り、その中で形状にライガーゼロらしい要素、プロポーションを近づけていく流れでした。

――元となったトミー(現タカラトミー)のキットよりも「超合金」ではスマートな印象のデザインになっていましたね。

小西氏:元のキットでは電池ボックスを内蔵したムービングキットで、「超合金」ブランドでは実際のライオンがどのような動きをするのかという面で自然な背骨のゆがみやひねりの動きを再現するうえで、少し細く蛇腹状の構造に寄せていきました。そのため、開発していく中には腰が細くしすぎた試作品もあり、開発チーム内でバランス的に「ライガーゼロらしくない」との声もあり、タカラトミーの方と協議した結果、製品版では分厚く調整をかけていきました。