インタビュー

超合金「ガンダムシリーズ」企画者インタビュー。マイティーストライクフリーダムガンダム、サザビー、ガンダム・キャリバーンが超合金で立体化

メッキ、発光、リアリティ表現の「超合金」新たな挑戦

【超合金 マイティーストライクフリーダムガンダム】

7月 発送予定

価格:36,300円

【超合金 MSN-04FF サザビー】

4月19日 発売予定

価格:46,200円(※「GUNDAM SIDE-F」にて販売)

【超合金 ガンダム・キャリバーン】

3月8日16時 魂ウェブ商店にて受注開始

8月 発送予定

価格:36,300円

 BANDAI SPIRITSの玩具ブランド「超合金」シリーズが50周年を迎え、2024年に超合金「ガンダムシリーズ」が続々展開する。

 1月30日に魂ウェブ商店にて予約受付が開始された「超合金 マイティーストライクフリーダムガンダム」を皮切りに、「ららぽーと福岡」の「GUNDAM SIDE-F」にて販売が決定した「超合金 MSN-04FF サザビー」、そして、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」より「超合金 ガンダム・キャリバーン」の立体化が決定した。

 「マイティーストライクフリーダムガンダム」は映画「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」にてキラ・ヤマトの新たな機体として「ストライクフリーダムガンダム弐式」に「プラウドディフェンダー」を装備したモビルスーツ。白い翼となる「プラウドディフェンダー」と頭部に搭載された「EQM-Y148 収束重核子ビーム砲ディスラプター」(以下「ディスラプター」)など劇場のスクリーンで大活躍を見せた。

 「MSN-04FF サザビー」は「実物大νガンダム立像(RX-93ff νガンダム)」にて公開中の特別演出「RX-93ff ν GUNDAM from SIDE-F」にて登場するモビルスーツ。映像内に登場する新たな武装「ダブル・ホーン・ファンネル」を装備し「RX-93ff νガンダム」と激闘を繰り広げる。

 そして、「ガンダム・キャリバーン」は「機動戦士ガンダム 水星の魔女」の最終決戦にてスレッタ・マーキュリーが搭乗したモビルスーツ。白を基調としたカラーリングに、胸部をはじめとするシェルユニットの発光が印象的だった。メインウェポンであるバリアブルロッドライフルを操る姿も記憶に新しい。

左から「超合金 マイティーストライクフリーダムガンダム」、「超合金 ガンダム・キャリバーン」、「超合金 MSN-04FF サザビー」

 今回、コレクターズ事業部で本商品を担当している藤木裕也氏にインタビューを行なった。藤木氏の語る超合金「ガンダムシリーズ」の魅力や開発の経緯、オススメポイントを聞いてみた。

超合金「ガンダムシリーズ」の企画者 藤木裕也氏

‟現実にガンダムがあったら”を超合金シリーズで目指した立体化

――「超合金」ブランド50周年を迎えて、今回「ガンダム」のシリーズ化の経緯をお聞かせください。

藤木氏:超合金「ガンダムシリーズ」の走りとして、横浜の「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」にあります実物大「動くガンダム」を超合金で表現した「超合金×GUNDAM FACTORY YOKOHAMA RX-78F00 GUNDAM」がありました。この商品は「実際に1/1のガンダムを隣で見ながら、超合金を見ることができる」ので、実際の立像ガンダムで使われている合金素材部分をイメージして「超合金」シリーズで立体化され、立像のガンダムのメインカメラや目などの発光ギミックを入れています。そのため超合金「ガンダムシリーズ」としては、立像から始まり「ガンダムを実際のものとして見た時の合金素材がより強くイメージされるパブリックイメージとしての立像」を再現すべく生まれました。そこから「超合金」としてのギミックや表現が盛り込まれていきました。そして、「MSN-04FF サザビー」では映像演出での登場となっていましたので、ビームエフェクトやモノアイの発光が超合金では搭載されています。

【【4/25 ららぽーと福岡で公開!】実物大ν(ニュー)ガンダム立像 壁面演出特別映像 先行PV】

藤木氏:そして、「超合金 ガンダム・エアリアル」で新作アニメ作品からの立体化が開始され、「マイティーストライクフリーダムガンダム」、「ガンダム・キャリバーン」に続いていく形となりました。

「超合金 ガンダム・エアリアル」 2023年1月28日発売

藤木氏:これまで商品化した超合金「ガンダムシリーズ」のコンセプトを受け継ぎつつ、新作TVアニメの放送というタイミングや「超合金」ブランドの幅を広げる意味でも「超合金 ガンダム・エアリアル」が誕生した経緯がありました。僕はその跡を継ぐ形で「マイティーストライクフリーダムガンダム」を担当しつつ、さらに「ガンダム・キャリバーン」へ繋げていきました。

――今回の超合金「ガンダムシリーズ」ではアニメの設定画の追求のみならず、「現実にガンダムがいたら」という造形表現をされているわけですね。

藤木氏:それに近しいですね。「実在のものがあるガンダム」と「最新作アニメのガンダム」が横並びで飾れるというところは念頭に置きつつ、ディテールの追加などをしています。「マイティーストライクフリーダムガンダム」では劇中の金色の関節部表現が再現されていますが、「MSN-04FF サザビー」と「ガンダム・キャリバーン」に関しては実際構造上に必要な部分にダイキャストを使用することがデザインの出発点となっていたりします。

――「超合金 マイティーストライクフリーダムガンダム」は上海の実物大フリーダムガンダム立像が元となった「超合金 ZGMF-X10A フリーダムガンダム Ver.GCP」の流れも感じますね。

藤木氏:その流れは感じられるように意識しています。

「超合金 ZGMF-X10A フリーダムガンダム Ver.GCP」 2023年4月 発売

――「超合金 ガンダム・キャリバーン」に関しても「超合金 ガンダム・エアリアル」からの進化が楽しみですね。

藤木氏:そうですね。「超合金 ガンダム・エアリアル」から続いている商品で、「ガンダム・キャリバーン」も作中で発光する演出が多かったので、そういった発光ギミックの実装や再現にもこだわっております。キャリバーンは、コンペンション試作機として作られた機体なので、その部分の違いをマーキングであったり、パネルラインの違いや艶のあるホワイトを使用したりと明確に機体の出自を踏まえた差異を出せるように調整しております。

――今回「マイティーストライクフリーダムガンダム」、「MSN-04FF サザビー」、「ガンダム・キャリバーン」が超合金で立体化された理由はなんでしょうか?

藤木氏:立像という実在するものが建造されて、それらをコレクターズのアイテムとして落とし込んだ時にダイキャスト使用の関節やメッキ塗装や発光ギミックを搭載できる「超合金」ブランドが良いのではないかというところで立体化しています。それぞれの特徴を踏まえつつ、「マイティーストライクフリーダムガンダム」に関しては劇場新作ということもあり、「ガンダム・エアリアル」から新作を超合金化している流れ、そして関節部を超合金らしい金メッキで表現したいという意図から商品化されました。

「プラウドディフェンダー」を広げた姿は圧倒的な輝きを放つ

藤木氏:「MSN-04FF サザビー」は「RX-93 ff νガンダム(実物大νガンダム立像)」という実在の立像がありつつ、映像の中で登場した機体になるので、立像と映像作品の間を繋ぐようなポジションとして立体化を目指しました。立像以外の超合金「ガンダムシリーズ」を商品化していく中で、ダブル・ホーン・ファンネルのギミックなども盛り込みながらも、立像としての「RX-93 ff νガンダム」と並び立つことをイメージして設計をしました。「立像がある『RX-93 ff νガンダム』の現実感や実存性に対して『MSN-04FF サザビー』のリアルな姿はどのようなものか?」という発想のもとにディテールなども盛り込んで商品化しております。

「RX-93ff νガンダム」と並び立つ「MSN-04FF サザビー」の実存性を「超合金」で表現

藤木氏:「ガンダム・キャリバーン」に関しては「超合金 ガンダム・エアリアル」に搭載されていた発光ギミックをより進化させる方向で開発がスタートしました。「超合金」の発光というギミックを踏まえて映像を観たうえで「『ガンダム・キャリバーン』はどういう表現ができるのか?」をさらに追及しています。胸や太もものシェルユニットの発光という「超合金 ガンダム・エアリアル」から発展させたギミックを盛り込み、超合金としての魅力を更に増した形での設計をしております。

「超合金 ガンダム・エアリアル」からさらに進化した発光ギミックを備えて立体化

劇中の煌びやかな表現を詰め込んだ金メッキとこだわりの塗装で立体化した新たなフリーダム

――「超合金 マイティーストライクフリーダムガンダム」について詳しくお聞きしたいと思います。まず、注目ポイントはどこになりますか?

藤木氏:「マイティーストライクフリーダムガンダム」はやはり金メッキ関節になります。ダイキャストを使っているからこその肘、膝の関節の金メッキ表現で機体としてのキャラクター性を落とし込めたのではないかと思います。そのうえで、背中の「プラウドディフェンダー」の翼のスライドギミックであったり、高エネルギービームライフルの連結、腰へのマウントギミックも合わせて、機体の特徴を質感と超合金のギミックで表現できたかと思います。

脹脛や足首も金メッキが施されている
「プラウドディフェンダー」のメッキ表現は豪華絢爛

藤木氏:また、頭部の発光ギミックも搭載されており、差し替えパーツによって「ディスラプター」の開閉も再現できます。展開パーツを装着すると頭部のメインカメラ、目だけでなく、「ディスラプター」部分に丸穴が空いており、そこから光が出るようになっています。

――小さい頭部部分のさらにコンパクトな武装での発光ギミックの搭載は面白いですね。発光ユニットの光量や面積の大きさで変わってくるかと思いますが、「超合金」ブランド50周年の技術進化が伺えます

藤木氏:発光ユニットのサイズに関しても昔のものよりも小さくなっていますが、ある程度サイズが必要になります。さらにそこから発光させたい箇所に光を送る導光の仕組みも入れていくのですが、先達の方々が培ってきたギミックがあるからこそ「超合金マイティーストライクフリーダムガンダム」にもディスラプターの発光というギミックを盛り込むことができました。

メインカメラと目に発光ギミックを搭載

――映画でも「マイティーストライクフリーダムガンダム」は驚愕の活躍を見せ、非常に煌びやかでした。本商品の金メッキ部分はまさにその劇中を思い出します。加えて、イエローゴールドの塗装なども華のある色合いになってしますね

藤木氏:全体の調和として、「フリーダムガンダム」、「ストライクフリーダムガンダム」の翼部分がブルーとブラックのカラーリングでした。今作では「プラウドディフェンダー」がドッキングして、白い羽の印象になったので豪華絢爛に煌びやかな方向にもっていく意図で金の色味を足しつつ、イエローゴールドで超合金らしさが出る彩色となっています。

――劇中ではエフェクトも印象的でしたが、立体として表現するには難しい部分ではありませんでしたか?

藤木氏:企画段階で「マイティーストライクフリーダムガンダム」の活躍はいくつか共有いただいたおりましたが、エフェクト部分は作中の活躍もありつつ、玩具表現として遊びにくさになってしまう恐れもありました。本商品では機体単体が持つ特徴をきちんと再現しようと金メッキを使ってみたり、実体剣の「フツノミタマ」もメッキで刀身の輝きを表現したりしてます。「プラウドディフェンダー」に関しても翼の可動によって、単体での飛行形態も再現できるように注力しています。

――劇中のドッキングも再現可能ということでしょうか?

藤木氏:機体としての関係性を表現できるように整えています。

「プラウドディフェンダー」は単独の飛行状態にもできる

――今回の立体化で苦労された部分はありますか? 例えば塗装のバランスなど、ゴールドの表現で気を遣われたりなど

藤木氏:そうですね。例えばすべてが金メッキしてしまうとバランスが崩れてしまう。関節部分の金メッキは決まっていたのですが、「プラウドディフェンダー」の金メッキ部分に関しては「白い羽の間に金色の羽がある」イメージ分けていて、中心となる「プラウドディフェンダー」本体、白い翼、内側のドラグーンと分割に考えてドラグーン部分を金メッキに仕上げました。

ホワイトとグレーのツートンカラーにイエローゴールドで引き締まった色彩に
マットな装甲と煌びやかなメッキのコントラストが映える

□「超合金 MSN-04FF サザビー」のページはこちら