レビュー
「PG UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」レビュー【前編】
1998年に発売されたPGガンダムがガンプラ40周年の集大成となって帰ってきた!
2020年12月18日 07:00
- 「PG UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」
- 開発・発売元:
- BANDAI SPIRITS
- 発売日:
- 12月19日
- 価格:
- 27,500円(税込)
- ジャンル:
- プラモデル
- 全高:
- 約30cm
- 電池:
- ピン型リチウム電池BR435 1個
- ボタン電池[LR41] 2個
今から22年前の1998年11月、その当時の技術を総動員した最高峰のガンプラとして「PERFECT GRADE 1/60 RX-78-2 ガンダム」が発売されました。当時は1995年にマスターグレードがスタートして、様々なモビルスーツがキット化されていくたびに段々と技術が積み重なっていった頃合いだったのを覚えています。
それから時を経ること22年。ガンプラ40周年となる2020年に「PG UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」として、今回も現時点での最新技術をふんだんに用いて新たなパーフェクトグレード・ガンダムが登場することになりました。ブランド名に追加された”UNLEASHED”(解き放つ)はどういう意味を持つのでしょうか。パーフェクトグレードでの78ガンダムのアップデートを毎年のように待っていた筆者は今回のレビューが楽しみでしょうがありませんでした。
マスターグレード誕生から25年の年月が経ち、パーフェクトグレードとしても22年間の間にそれはもう想像を絶するほどの技術革新を遂げてきたガンプラですが、その革新のたびに複雑さを増している部分もありましたので、手に取った人によってはその大変さから作らずに積んでしまう方も多くなったのではないでしょうか。ガンプラ(プラモデル)は完成品ではなく”組立てる商品”なのですからそこへたどり着けないことはあまりいいことではないですよね。
そんな中、先日「ENTRY GRADE 1/144 RX-78-2 ガンダム」がリリースされ、1/144スケールではありますがその700円(税別)という価格と1時間もあれば組み上がってしまう組みやすさ、それでいて可動範囲はハイグレートシリーズにも引けを取らない、という内容でその評価は驚異的なものがありました。筆者もSNS等で皆さんが組み立てて喜んでいる反応を見るたびに”ガンプラってこうでなきゃ!”という思いが沸き起こってきたのを覚えています。
以前、BANDAI SPIRITS ホビー事業部の開発担当・齊田直希氏にインタビューしたときに、「ENTRY GRADE 1/144 RX-78-2 ガンダム」の技術やエッセンスは「PG UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」にも取り入れられている、というお話を伺うことができました。今回レビューさせていただくにあたり、それがどのように昇華されているのかも確認してみたいと思います。なお、今回は発売前サンプル品でのレビューとなっており、細部が異なる場合がありますのでご了承ください。
まずはランナーや構成部品を確認してみましょう
ガンプラの部品が配置されているランナーには基本的に”A”や”B”などアルファベットが付けれらています。今回の「PG UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」はPGならではの大ボリュームとなっています。
アルファベットだけで”A”~”X”、他に”MSF”という今回の目玉となる全長180㎜程となるガンプラ史上最大の可動フレームのランナーが目を引きます。”MSF”という名称が気になりますよね、MSFは”モビルスーツ・フレーム”の略となります。MSFはこのガンダム専用のフレームではないという意味にもとれるので今後の展開が気になるフレームですね。
MSF=モビルスーツ・フレームのランナー。脚部の全長180㎜といえば1/100スケールのガンダムの全高に匹敵する大きさです。それがこの1枚のランナーの中に完成したパーツとして配置されています。これは”インサート成形”という成型方法で、異素材を多重に挿入(インサート)することでほぼ完成した関節を持つパーツを成形することができるものです。RGシリーズの内骨格やMGシリーズのエモーションマニピュレーターなどもその成型方法が使われていますね。
最初のPGガンダムでも驚きの機構として採用されていた棒状の電池(ピン型リチウム電池BR435)を使うことでビーム・サーベルの発光を実現します。このレビューでは【後編】でご紹介しますのでそちらも併せてご覧いただければと思います。そして頭部バルカン砲、ランドセルのバーニアノズルに異素材として金属パーツが使われています。金属だけあってその精度がすばらしく、組んでみるとアクセントにもなりそうです。
シール類も多数用意されています。とくに金属製のエッチングシールはゲートのないシールになっているので、ベースからはがして貼るだけで完成してしまいます。3Dシールも完成後のアクセントに効果的に見えます。今回シールドはなんと磁石での接続になりました。そのため両腕用にそれを受け止めるための金属パーツが用意されています。PGクラスのシールドはそれだけでも重量がすごいことになりますからこれはうれしい配慮ですね。
メッキや金属色のランナー、本物の金属製パーツやゲート処理のいらないエッチングシール、LEDなどのパーツはこれまでアフターマーケットやプロモデラーが培ってきたものだと思うのですが、「PG UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」ではこのキット1つですべて揃ってしまいます。それをランナーから切り離したパーツを組み立てるだけで誰でも簡単に超絶クオリティなガンダムが作れます。
このキットの特筆すべき点が2つありまして、部位ごとに組み立てが終わるとランナーがまるまる廃棄可能となります。これまでのガンプラは複雑さを増すごとにある部位を作るためにいろんなランナーからパーツを持ってくる必要があり、作り終わるまでランナーが残っていることも多かったと思いますが、それからも解放されますね。組立途中でランナーが”捨てられる”というのがなんとも気持ちいいです。
もうひとつは上記のような方法で設計されていることで各ランナーにはそれを使用する部位のアイコンマークもタグ付けされていてとてもわかりやすいですね。いずれも”大きな1/60スケールのRX-78-2ガンダム”だからできることでもありますが、組みやすさを大前提に設計されているので”ぜひ組み上げてほしい”という開発陣からのメッセージが読み取れてうれしい部分ですね。
ランナー構成を見ていくとその構造がだいぶシンプルに見えますよね。冒頭で述べさせていただいたように、このキットは技術革新=複雑化ということではなくいかに作りやすくするかを大命題に掲げて設計されているかが伝わるかと思います。パーフェクトグレードだけにパーツは多く、大きく見えますが実際にはとても組みやすそうな印象です。それではさっそく組んでみることにしましょう。
脚部だけでも1/60スケールだと大きい!本物のガンダムを”建造”する感覚を味わう
この「PG UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」の特徴として、5段階に分けられたフェイズで組み立てていくことで本物のモビルスーツを建造する疑似体験を演出しています。今回のレビューでは【前編:フェイズ1~2(ガンダム本体)】【後編:フェイズ3~5(外装取り付けとオプション他)】と2つに分けてお届けしてまいります。
それではフェイズ1~2を進めていきましょう。実はあまり1~2の区別が明確ではなくて組み進めればフェイズ2まで終了することになります。”モビルスーツを建造する疑似体験”というテーマから脚部の組み立てから始まります。まず目玉ランナーのMSFから脚部フレームを切り出します。これは本当にすごいパーツで、切り出すだけで内部フレームが出来上がってくることになります。
この時点ですでに脚部フレームは完成していることもあって、組付けるパーツはとても少なく感じられますね。これがこの「PG UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」の真骨頂ともいえるガンプラ40周年の技術進化の証ということになります。パーツ数が少ないということはランナーからパーツを切り出してゲート処理する回数も減るということになって組み立てる以前の面倒なことへのストレスから解放されることになります。
脚部のフェイズ2へ移ります。フェイズ2では完成したフレームに金属調パーツや機能部位などの組付けを行なっていく作業となりまして、フェイズ1と2にあまり境目がないのはこういった意味からです。これから先も同様の作業となります。
エッチングシールの貼り付けも行っていきます。エッチングシールは保護シートをはがして、貼り付けるもの以外の金属プレートを緑色のベースからはがしておく必要がありますがこれが最初勘所がわかりにくいかもしれません。緑シートも金属プレートも硬いので尚さらそう感じますが角から両方ともゆっくりはがしていけば大丈夫です。
はがし終えたら金属プレートはエッチングシールの番号が書かれているので一緒に保管しておきましょう。シールの糊面が正面側に来るので取り扱いには注意します。必要なシールを張り終えたら最初にはがした保護シートを貼り付けておくと汚れなくて済みますね。
©創通・サンライズ