レビュー

タミヤ「1/24 NISSAN フェアレディ 240ZG」レビュー

メタルインレットマークで再現されるディテールはびしっと引き締めてくれる

 最新フォーマットということで、メタルインレットマークで各部のディテールアップを行います。フェンダーミラーやルームミラーはいつものこととして、ライト回りを囲ったり、ホイールの円形やキャビン内の線形のモールとして貼り込んでいきます。とても細いので飛んでいかないように慎重に作業を進めますが思わず息を止める作業ですね。

【メタルインレットマークは質感がすばらしい】
ホイールは1本失敗してしまいました。いずれパーツ請求してやり直します……
サイドのウインカー周りも細かくてシビれる作業です

 タイヤとホイールは圧巻の4ピース構造です。メタルインレットマークとメッキのパーツで中々にゴージャスなホイールがとてもかっこいいです。おまけにグレー系であるためだいぶシブイデザインになっています。

【タイヤとホイールを組む】
メッキパーツは多用途接着剤を使って接着しました。接着面全面ではなくて隠れる部分に少しずつで良いと思います

 個別で組んでいたパーツを組み合わせてL24型エンジンを完成させます。旧式のエンジンではありますからその作りを現在のエンジンの構成と比較するのも面白いと思います。レシプロエンジンと言われる所以でもあるプロペラがむき出しだったり、オレンジ色のエアインテークの構造/考え方が現在のコンポーネントにどのように昇華されていったのかを考えるととても興味深いですね。タミヤの最近のスポーツカーシリーズはエンジンがないモデルが多かったのですがこのキットはエンジン見れてとても楽しいと思います。

【エンジン完成】
L24型のこのエンジンは直6 SOHCで排気量は2.4L、150psで5速マニュアルのギアボックスと組み合わさります
実際はもっとパイピングやケーブル類があるはずですから資料や1/12スケールの写真などを見ながらディテールアップするのもウデの見せ所になりますね
エンジンルームに収めるとだいぶ雰囲気出てきますね。ロングノーズに直6を押し込んで軽い車重だとパワー感すごそうです
同時にドライブシャフトとリアのディファレンシャルやアクスルを組み込みます。ドライブシャフトが折れ曲がりやすいので注意が必要です
塗装を終えたマフラーも組み込みます。アンダーボディを見ると左右どちらにも出せそうです。ちなみにスペアタイヤの部分は開口されていません

 キャビンを組み上げていきましょう。見えない部分の細かい塗装はナシにしていますので大まかな塗装が終わったらすべて組み込みます。組み付けてみると真っ黒ですのでシートは他の色、たとえばステアリングと同色でも面白かった気がします。

【キャビン組み込み】
メーター類のデカールを貼り込みました。ステアリングやシフトノブのデカールは失敗したのでオミットしました
アンダーボディと組み合わせると一気に自動車の雰囲気が出てきます

 リアのコンビネーションランプは3つの異素材を組み合わせるので結構大変です。組立説明書では多用途接着剤を使うようにありますが、これがなかなか難しいのでメッキと塗装をはがして通常の接着を行いました

【メッキとクリアーとメタルインレット】
きれいに組み上げられればとても美しいコンビネーションランプになります

第二次本塗装に入る!ボディの質感はここで決まる

 いよいよボディの第二次本塗装を行っていきます。第一次ではざざっと色をのせる意味合いがあることとある意味さらに下地を作ることで深みを出すということも狙っていこうと思います。第一次で塗装表面はザラっとしているのとほこり等も乗ってしまうのはどうしようもないのでここでも1200番のペーパーで慣らしておきます。

【表面の調整を行う】
写真はルーフをメインにしましたが基本的に全体を慣らします

 ある程度慣らし終わったら本塗装に入りましょう。第一次では20~30cmほど離してゆっくりざざっとスプレー塗装を行いましたが、第二次では5~10cmくらいの距離から速い速度と短い間隔でシュッシュッと表面張力でツヤをまとうまで吹き付けていきます。こうすることで缶スプレーでもツヤのある塗装面を作ることができます。

【本塗装を行う】
乾燥促進のために食器乾燥機が活躍してくれました。こういう工程を他のボディパーツにも施していきます

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クリアーやメッキのパーツの組み立ては難易度高し!

 クリアーパーツとメッキパーツも組み合わせておきます。場所にもよりますが通常の接着と多用途接着剤による接着を行います。多用途接着剤は乾くのに結構な時間が必要でちょっと扱いが難しい印象がありますので、ほとんどは通常の接着にすることにしました。接着面を削ってメッキを落とせばいつも通りの接着ができます。

【慎重な作業が要求される】
ヘッドライトには多用途接着剤を使いました
他は流し込みタイプ接着剤で対応しました。付け過ぎに注意!
付け過ぎてちょっと垂れました……本来なら削って磨いて修正ですが今回はこのままとさせていただきます
ボディへの組み込みは取り付けガイドの塗装を削って接着面を作りますが……
恐るべし流し込みタイプ接着剤。付け過ぎに注意です。こればかりは修正しました
塗装をペーパーで削って、マスキング。再度塗装のやり直しです
そんなこんなで窓関係を組み込みました
サイドのメッキモール、実は接着していません。パーツの精度が高いのではめ込むだけで固定できているのでこのままとしました
ルームミラーを組み付け……
ヘッドライトも組み付け……
クリアーのカバーとメッキモールの接着ガイドなしの構造に唖然としましたが……
必要最低限での接着部でなんとか組み付けました。ここは難易度高いですがパーツ精度の高さでぴったり組み付けられます
これで難所クリアーです!

 これも難所といえると思われるオーバーフェンダーの組み付けを行っていきます。アウターボディには接続するためのガイドとなる1㎜の穴あけポイントがあり、それをドリルであける必要があります。

【オーバーフェンダーの取り付け】
接続ガイドがフロント1カ所、リア2カ所しかありません。そこへ流し込みタイプ接着剤を使って接着しますが弱そうなのでマスキングテープで固定して結構長い時間かけて固定しました
【同様の処理でフェンダーミラーも取り付ける】
フェンダーミラーは昭和の香りがしますね。あまりにも細すぎるので取り付けは一番最後にしました
【細かすぎるエンブレム類の組み付け】
ニッパーとサイズを比べてみてください。細かい!
細かすぎてあまり写真撮れませんでしたが、多用途接着剤を使って組み付けていきます

 ついに最終工程へきました!オーバーフェンダーを保護していたマスキングテープをはがしてアウターボディとキャビンを組み込んだアンダーボディとを合体させます。さすがタミヤ、これが接着もなしにがっちり合わさってくれます。いよいよ「フェアレディ 240ZG」が目の前に現れる瞬間です!

【ついに目の前に現れる「フェアレディ 240ZG」!】
心配だったオーバーフェンダーはがっちり固定できていました
ボンネットも組み込めばついに完成!

完成!「1/24 NISSAN フェアレディ 240ZG」

 では完成したキットを見ていきましょう。流麗なロングノーズ・ショートデッキのボディラインがすばらしいと思います。難易度は高い部分もありますが組みごたえと完成後の満足感は格別なものがありました。特にエンジンフードが開けられ、なかのL24型エンジンを見ることができるのはプレイバリューという観点と“自動車”の構造を知るうえで重要なファクターになっていると感じられました。

【フォトギャラリー】
流麗なフォルムが美しく、マルーンがいい色です
低く、薄く、尖ったノーズは今ではあり得ないデザイン
ボンネットフードが開けられるのは楽しい
ステアリング裏の指をかけるところまで再現されています
オーバーフェンダーが迫力を出しています

「1/24 NISSAN フェアレディ 240ZG」のレビューを終えて

 まさにタミヤのプラモデル!といった感触が一番大きかったと思います。筆者は主に塗装も接着も必要ないガンプラメインでプラモデルを楽しんでいるのですが、塗装と接着が大前提のこういったキットだと気を遣うところ、組み立てる順番などいつもと違う工程を踏んでいかなければなりません。

 組み付けにしてもガイドもほとんどなく事前に仮組みを行っておかないと準備なしに接着しようとするとまず他のところに接着剤を付けてしまい大変なことになってしまいます。修正すればOKではあるのですがそれは大変な作業であることに違いありません。今回の「1/24 NISSAN フェアレディ 240ZG」はまさにそういった作業の作法を思い出させてくれました。今回ももれなく失敗を繰り返してしまいましたので次回はもっときれいにできるように練習あるのみです。

【1/24 NISSAN フェアレディ 240ZG】
現在では実現は難しいだろう、低く尖ったフロントノーズと流麗なスタイリングに魅了されました!

 タミヤのプラモデルはガンプラとは違って組み立ての難易度は比較的高くなってしまうわけですが、完成した時の満足感・充足感は格別なものがあります。冒頭にも書かせていただいた通り、私と同い年のこのクルマを作ることができたのは「昔乗っていたクルマは窓ガラスをハンドルで上げ下げしていたなぁ」などと思い返すことにもなったりしてそういう楽しい時間を体感できました。完成品を眺めながら同い年のワインを飲みたい気分です。

 さらに“自動車”としての構造を復習できたりもしてそれもまた楽しかったことでプラモデルを通してそういう学習もできるのはすばらしいことだと思いました。まさにこのクルマのファンの方に手に取っていただき、当時や乗っていた時のことを思い出しながら組んでいただきたい、そう思えるキットでした。楽しかったです!