レビュー

東京マルイ、「ガスブローバックマシンガン AKM」レビュー

AKMを早速サバゲ投入! 実銃採寸だと取り回しも超快適!

【ガスブローバックマシンガン「AKM」】

開発・販売元:東京マルイ

発売日:7月15日発売

価格:65,780円(税込)

種類:ガスブローバックマシンガン

全長:890mm

銃身長:200mm(インナーバレル)

重量:3,550g(空マガジン含む)

装弾数:35+1発(1発は本体に装填した場合)

 弊誌でも積極的に取り上げてきた東京マルイの「ガスブローバックマシンガン AKM」が7月15日に発売された。SNSでも購入報告が相次ぎ、かなりの人気がうかがえる。前評判通りの高い評価を得ているようだ。

いよいよ発売となった「ガスブローバックマシンガン AKM」

 「AKM(「AKM=Автомат Калашникова Модернизированный(アブトマット・カラシニコフ・モデルニジロバニ=近代化カラシニコフ自動小銃)」は、「AK47(カラシニコフ自動小銃)」の近代化改修モデルで、1959年に旧ソビエト社会主義共和国連邦(現ロシア連邦)に正式採用された。「AKM」は誕生から60年以上経った現在、ロシア連邦の正式採用小銃ではなくなったが、世界中の紛争地域でゲリラなど非正規の軍事組織に使われ続けている。

 東京マルイではこれまでAK47シリーズと、AKMの後継銃である口径5.45mmの「AK74」シリーズを電動ガン化してきたが、AKMそのものは製品化していなかった。加えて、今回が初のAKシリーズのガスブローバックマシンガンである。2通りの意味でファンにとっての注目の製品なのだ。

【これまでの東京マルイの製品】
「電動ガンスタンダードタイプ AK47」
「次世代電動ガン AK102」

 筆者は試作品を目にして開発者にインタビューしている。「これは買いだな」と話を聞いて思い続けていた。今回、筆者は東京マルイから「ガスブローバックマシンガン AKM」のサンプル品を借りることができた。今まで待ち望んでいた感触を伝えたい。今回は触れるだけでなく、サバイバルゲームにも参加してみた。実際にゲームで使用した感想を交え、レポートをお届けする。

【サバゲに参戦!】
「AKM」が多用される「クルド部隊」の装備を着用した

漂う本物「AKM」感! 手触り、操作感、無限に聴いていたい金属音!

 今回東京マルイから製品版ガスブローバックマシンガン「AKM」を借り、箱から出して受けた第一印象は、「旧ソ連製AKMを思わせる本物感」である。

スリングは実銃用ロシアタイプ。一見してエアソフトガンとは思えない。

 エアソフトガンに限らずホビーの世界では、一部分にこだわっても全体のバランスが取れていないと、どこか「コレジャナイ感」が漂ってしまう。しかし、東京マルイガスブローバックマシンガン「AKM」からは、開発陣が目指した旧ソ連の「ツァーラ造兵廠」で1975年に製造された「AKM」と見紛う本物感が強烈に迫ってくる。それは、妥協することなく細部にこだわった結果、全体の本物感が高まったと言える。

 各部を細かくチェックしていきたい。まず最初に目につくのは、やはり特殊印刷された樹脂製とは思えないハンドガードとストック。そして塗装でフェノール樹脂(いわゆるベークライト)を再現したグリップだ。

ハンドガードの水抜きの穴の処理も手抜きがない
光によって見え方が変わる深みが確認できるだろう
塗装とは思えない微妙な色合いのグリップ

 AKと言えば、M4カービンなどにはない木目によるレトロなイメージの外観が大きな特徴。実銃のAKMはブナ材のプレス合板が使われているが、品質の点など様々な理由でリアルウッドを回避した東京マルイでは、こだわった樹脂成型品に特殊なプリントを施す事で、均一で深みがある、相反する質感を再現している。

 続いて目につくのが、実銃では鉄をプレスで打ち出したレシーバー部分。東京マルイは様々な制約があって亜鉛ダイキャスト製になっているが、旧ソビエト社会主義共和国連邦が高い工業力を誇っていた時代の美麗なプレス技術を見事に再現している。セレクターを動かした跡が付き、下地が見えるところも本物感が漂っている。

レシーバー部分。セレクターを動かした跡が付き、下地が見えるところも本物感が漂っている

 斜めにカットされた銃口から繋がる銃身部分、ブロック状のいかついリアサイト周辺、ストックの取り付け基部にいたるまで、粗は見えず、量産されても開発時のこだわりが伝わってくる。過去数百万挺の出荷が行なわれてきた工業製品でこのクオリティをきちんと保っているのは、国内製造にこだわった東京マルイならではと言えるだろう。

無骨なリアサイト基部と、目盛りへのレーザーによる繊細な白入れのコントラスト
ストック取り付け基部の微妙な曲線で構成された箇所も精巧に再現されている

 期待通りの外観だったことが解ったところで、続いて実際の操作感を確かめる。インタビューでも少し触っているが、今回はたっぷり感触を確かめていきたい。

 「AKM」で大事なのがまず、セレクターの操作に慣れる事だ。ボルトレバーを引く前に、セフティが解除されていないと引く事が出来ない。プレス製の独特の形状のセレクターを指先で上下させるAKならではの操作感が楽しい。特に筆者が気にいったのが、セレクターを上げた時にアッパーレシーバーに当たった時の「コン」という音だ。これは、レシーバーの中に広い空間があるAKMの特徴的な音で、この音からも、「AKMらしさ」、「本物感」が伝わってくる。

セレクターが1番上で「セフティオン」の状態
セレクターが真ん中の「AB=(автоматический)フルオート」の状態
セレクターが1番下で「OД=(Полуавтомат)セミオート」の状態

 続いてマガジンを装填しないで、ボルトレバーを引いてみる。ボルトを動かすと、ハンマーが下がり、最後まで引いたらパッと手を放す。スプリングの音と、金属が擦れる音に続いて、ボルトが戻った甲高い「ガシャッ」という音が響く。この一連の作動音は、電動ガンでは絶対に味わえない。引き金を引くと、ハンマーが落ちてカチッと打撃音を立てる。これもガスガンならではの音である。

 続いて、ガスブローバックマシンガンならではの操作として、マガジンにガスを充填。さらに銃を上下逆さにして、チャンバー横の「オートストップシステムキャンセラー」を見る。これがオンの状態になっているのを確認してマガジンを装着する。セレクターを真ん中にするとフルオート、一番下まで下げるとセミオートになる。

 再びボルトを引いて、パッと放す。ここで引き金を引くと、ハンマーのカチッという打撃音が聞こえる。ガスが入っていても、BB弾が装填されていなければ作動しない。これが、特許出願中の「オートストップシステム」である。

ボルトが閉じた状態
ボルトを引いた状態。ストロークも十分

 何度も繰り返し動かしてみたが、誤作動は1度もなかった。量産された製品版であっても、マガジンにBB弾が入っていない事を確実に検知していた。

【東京マルイ、「ガスブローバックマシンガン AKM」、ボルトレバーを引きセレクターを操作!】

 次にマガジンを抜き、「オートストップ」をオフの状態にして、マガジンを再装填。セレクターをセミオートの位置まで下げ、ボルトレバーを引いて放し引き金を引く。すると、「バンッ」という大きな作動音と共に、銃が大きく後退、ストックが肩に食い込む。

 次世代電動ガンでもかなりの反動が再現されているが、ガスブローバックマシンガンのそれはやはり次元の違いを感じる。以前東京マルイで撃った時の驚きが甦った。再度マガジンを抜き、今度はBB弾を専用ローダーで籠めていく。

 製品版で初めて知ったのだが、このローダーは電動ガンに比べると極端に短い物が付いている。これは、5発と10発のところに目印が付けられていて、装弾数35発を過不足無く装弾する事ができる。実銃通りに30発だけ籠めるのにも便利だ。

5発と10発のところに目印の黒線が入っている。
根元はストッパーになっていてBB弾は保持される。
口いっぱいだと、14発入る

 BB弾のフォロワーのスプリングがけっこう強いのでコツがいるが、慣れればスムースに装弾できる。そしてBB弾とガスを詰めたマガジンを、「AKM」に装着。今度は引き金を引くと、BB弾が発射され、強烈な反動が身体を揺さぶってくる。

 2発、3発とBB弾を撃つ毎に、その反動でストックが肩に食い込む。これはガスブローバックマシンガンならではの感動である。続いてセレクターを真ん中の位置に動かし、引き金を引く。連続して襲う強烈な振動で銃口が若干ぶれて、BB弾が微妙に異なる弾道を描く。

【東京マルイ、「ガスブローバックマシンガン AKM」、セミオート→フルオートに切り替えての射撃】
セミオート→フルオートに切り替えての射撃。全弾撃ち尽くした時の「ハンマーダウン」は、フルオートだとすこしわかりにくい。これも実銃と同じだ

 日本国内で実銃を所持する事は非常に厳しい。東京マルイの「AKM」はエアソフトガンではあるのだが、その操作感は限りなく本物に寄せて造られている。世界には様々なAKMがあるが、日本国内向けにローカライズしたAKMが東京マルイの「AKM」である、そう言っても過言ではないだろう。

工具無しでアッパーレシーバを外すと機関部が露出する。松本仁一氏の著書「カラシニコフ」で、「AK」が専門的な知識が無くとも簡単に整備でき、それが少年兵の悲劇を産んだ描写が繰り返し出てくる。それを実感させられた。エアソフトガン初心者が銃の仕組みを学ぶのにも最適だ。

 なお、アッパーレシーバーを外した状態でマガジンの装着や作動は絶対してはいけない。大怪我につながる恐れがある。これはインタビューの時にも繰り返し言われたことなので、厳守したい。