レビュー
「アルカナディア ルミティア」レビュー
有機的な翼に鎧や衣装の濃密ディテールが美しい新たなプラモデル
2022年1月6日 00:00
コトブキヤより新たな美少女プラモデルシリーズ「アルカナディア」第1弾「ルミティア」が2021年12月22日に発売された。「SF×ファンタジー」を題材とした新シリーズで、ビジュアル面でも翼をはじめファンタジックなデザインとなっている。
コトブキヤといえば、「フレームアームズ・ガール」や「メガミデバイス」と美少女プラモデルの第一線シリーズを手掛けているメーカーだ。「フレームアームズ・ガール」は同社のオリジナルロボットプラモデルシリーズ「フレームアームズ」のスピオフ商品で、元となったロボットのモチーフを継承し、イラストレーター・島田フミカネ氏によるデザインで可愛さとカッコ良さを併せ持つ。
「メガミデバイス」シリーズは「機械少女」に「模型の武装」を施し戦わせるバトルプラホビーという設定の下、様々なモチーフが展開されている。
その中で今回紹介する「アルカナディア」はより有機的なデザインと西洋風の鎧モチーフが特徴的だ。これまでの「フレームアームズ・ガール」や「メガミデバイス」にみる「装甲」や「未来的な武装、ギミック」とは異なるアプローチとなっている。
それでは注目の「アルカナディア」第1弾「ルミティア」について見ていこう。
「SF×ファンタジー」を題材とした新プラモデルシリーズ
上記でも紹介したように「アルカナディア」は「SF×ファンタジー」を題材とした新プラモデルシリーズ。イラストレーター・necömi氏が描いたイラストを立体化した商品となっている。
現実世界とバーチャル世界(仮想現実)が混ざり合った世界観に、人間や社会構造に危害を加える未知の生命体が出現。その中に、「ルミティア」たち、人間社会に溶け込んで害をなさない存在「Dears-ディアーズ-」が登場する。
「アルカナディア」では現実と仮想の交差するSF設定を下敷きに、劇中設定のVRMMO「ARCANADEA-アルカナディア-」のファンタジー要素が顕現し、「ルミティア」のデザインに反映されている。
外見はファンタジー、内面はSF要素がそれぞれ強調され、ブンドドや改造と幅広い遊びが期待できる。また、本キットでは背中に六角形型のジョイント穴が設けられている。
これはコトブキヤのオリジナルプラモデルシリーズ「ヘキサギア」に採用されているジョイント規格「ヘキサグラム」で、筆者にとってはそれが「プラモデルとしての遊び」なのか、「世界観の共有」なのか気になるところだ。
美麗なパッケージに充実のランナー
気になる中身を見ていこう。まずは、パッケージの確認。
パッケージイラストには、necömi氏による美麗な「ルミティア」が描かれ、高級感あるデザインとなっている。
中には、色分けされたランナーが13枚、ハンドパーツ、塗装済みパーツと表情パーツ、水転写デカール、取扱説明書が封入されている。ランナーはそれぞれ頭や胴体など使用箇所でほとんどまとまっており、組み立てがしやすい印象となっている。
また、コトブキヤショップ、コトブキヤオンラインショップ購入特典では、特別カラーランナーとタンポ無し顔パーツが付いてくる。
特別カラーランナーはクリアーオレンジでブロンズ色のパーツに対応し、タンポ無し顔パーツは瞳デカールでカスタマイズができる。
ボリューム感あるキット内容で、作りごたえが期待される。また、塗装済みパーツによって細かい色分けがされているので、素組での完成時の満足度も高そうだ。
色分け、関節機構、そして繊細な造形が光る
パーツを確認したところで、組み立てに入っていこう。まずは、非戦闘状態の「ノーマルモード」を作っていく。
はじめに頭部を作成する。「フレームアームズ・ガール」などでは、頭部は後ろ髪を中心に耳から顎のラインが一体化したパーツを埋め込み、顔パーツ、前髪を挟む構成で、本キットもそれを踏襲している。
しかし、「アルカナディア」ではより繊細なディテール表現として、耳パーツが独立しており、造形も細かくなっている。また、天頂部、側頭部はアクセサリに対応して独立パーツとなっている。顔パーツに加え、アクセサリの変更もしやすい構成となっている。
続いて胴体の組み立て。胸周りとお腹周りの2パーツで構成され、左右への動きや前屈、上体そらしの可動ができる。
胸のボリューム感や鎖骨のラインなど人肌を感じさせる造形に加え、衣装のモールドも繊細に表現されている。特に白の衣装は線のような細いモールドでは立体感が出しにくいため、盛り上がりのあるモールド造形によって衣装の細やかさとモールドの影で立体感が強調されている。
お腹周りも塗装済みパーツによる色分けや羽根のようなデザインが作りこまれている。前面の装飾は独立可動し、一枚一枚がふんわりしたラインを描いている。
作成した2つのパーツを合わせることで胴体が完成。細かい造形に加え、くびれのある女性らしいラインも表現されている。
さらに、腰の大きなリボンや背部の魔法陣パーツを取り付け。魔法陣パーツは背中の六角形型ジョイント「ヘキサグラム」によって安定感のある接続ができる。
また3mmのジョイント穴もあり、専用台座や背部の拡張にも活用できる。
腕の組み立ては、「フレームアームズ・ガール」、「メガミデバイス」に見る構造で肌色の肩と二の腕の装飾を挟んで二の腕、前腕、手首を作っていく。肘関節は一軸可動となっている。
二の腕の装飾を挟むことで肌色と白の境を目立たない形にすることで、プラモデル感をやわらげている。同時に腕のひねりも可能としている。
そして、脚部は筆者注目の部位だ。事前告知で、膝関節が目立たない作りであることが明らかとなっており、その構造に非常に興味をそそられた。
組み立ててみると、膝関節は2軸可動で他のシリーズでも採用されている関節だった。しかし、美しい脚線美は関節ではなく、足の造形そのものにあった。膝を覆うように伸びた太ももパーツによって、膝を覆い隠すようになっていたのだ。
膝を曲げる時は柔軟に可動し、立っている姿は美しくみせる職人技が光る。さらに、股関節部分も受け軸が可動し、ポーズの幅を広げている。
本体を支えるための専用台座を組み立てる。この台座が安定感があり、根本はしっかりと保持できる軸パーツか柔軟に対応できるボール型の2種類が選べる。
これで各パーツが完成しそれぞれを合わせる。仕上げにティアラを被せて完成となる。
完成した「ルミティア」の「ノーマルモード」は細かい造形と抜群のスタイルとなっている。特に飾り気のない足は膝関節が隠れ、すらっとした綺麗なラインが美しい。
非戦闘状態ではあるが、衣装も細かいモールドによって繊細で情報量のある造形だ。
そして、戦闘状態「ウィライズモード」ではどんな姿になるのか、見ていこう。
© KOTOBUKIYA