レビュー

モデルガン「S&W PERFORMANCE CENTER M&P R8 5inch HW ver.2」レビュー

装弾数8発、拡張性……。SWATの要求に応えて生まれたカスタムリボルバー

【S&W PERFORMANCE CENTER M&P R8 5inch HW ver.2】

開発・販売元:タナカワークス

発売日:3月22日

価格:31,350(税込)

全長:261mm

重量:1,067g

装弾数:8発

素材:ヘビーウェイト樹脂+亜鉛ダイカスト

 タナカが3月22日に発売したモデルガン「S&W PERFORMANCE CENTER M&P R8 5inch HW ver.2」は、都市部のSWATチームの要請でS&Wのカスタム部門「パフォーマンスセンター」が開発したリボルバーを再現したモデルだ。

 リボルバーでありながら装弾数は8発、上下に様々な装備を取り付けることが可能なレイルを備えたその姿は、「最新のタクティカル・リボルバー」 を提示する存在と言える。今回、製品サンプルに触れることができた。その魅力を紹介していこう。

【S&W PERFORMANCE CENTER M&P R8 5inch HW ver.2】
「S&W PERFORMANCE CENTER M&P R8 5inch HW ver.2」は、都市部のSWATチームの要請でS&Wのカスタム部門「パフォーマンスセンター」が開発したタクティカル・リボルバーを再現したモデルガンだ

シールドを片手に戦うための最新タクティカル・リボルバー

 「S&W PERFORMANCE CENTER M&P R8」はS&Wのカスタム部門「パフォーマンスセンター」によって製作された銃だ。この銃は.強力な.357マグナム弾を使用するため、M29などで使用されている大型のNフレームを使用しているM27がベースとなっており、シリンダーとバレルシュラウドの材質をマットブラックフィニッシュのステンレスにし、銃身の上下に様々な装備を取り付けられるレールが設けられている。

 本銃は都市部のSWATチームの要請で開発されたもの。有事の際、バリスティックシールド(防弾盾)を持ち、先頭で突入する「シールドマン」はシールドを片手で構える必要があるため、使用する武器はハンドガンをメインウエポンにする傾向がある。しかしオートマチック拳銃では握りが浅いとジャムが発生しやすくなるだけではなく、シールドとスライドが干渉した際に起こる「バンカージャム」が発生することがあった。

【ゲームでのシールド装備】
画像はプレイステーション 4/Xbox One、PC(Steam)用タクティカル エスピオナージ オペレーション「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES + THE PHANTOM PAIN」のオンラインマルチモードで使用できるシールド装備。FPSなどでもシールド装備は人気で、耐久力の高い的などでもおなじみの存在だ

 このため、シールドマンの要望に応える確実性のあるハンドガンとして、パフォーマンスセンターは信頼性が高いリボルバー機構と、強力な.357マグナム弾の使用を選択。シリンダーでの装弾数を8発とし、レールを追加することで、ライトやレーザーポインターなどの装備を可能とした「M&P R8」を提示した。

 今回取り上げるモデルガン「S&W PERFORMANCE CENTER M&P R8 5inch HW ver.2」はSWATの要望に応えて開発されたタクティカル・リボルバーを再現したモデルガンとなる。アンダーレールは銃身と一体化、マウントレールも4本のネジでしっかり固定されており、角張った銃身と共に無骨なシルエットを形成しているのが印象的だ。

【銃の全景】
大型のリボルバー、上下にレイルを装備、ホーグタイプラバーグリップなど現代的なシルエットが魅力だ

 大型のNフレームを使用しており、レールの重さも加わっている。製品ではグリップ部分もウエイトが入っているのでその重さは1kgを超える。手に持つとずしりと重い。これを片手で扱い、.357マグナム弾の発射の反動にも耐えるのだから、シールドマンの腕力には感心させられてしまう。

 製品を細かく見ていこう。銃本体はヘビーウェイト樹脂に黒い塗装が施されており、威圧的な雰囲気を持っている。角張った銃身から曲線を描いてフロントサイトが造型されているそのデザインが面白い。銃口は以前触ったモデルガン「S&W M360J “SAKURA”」のように2重構造になっており、.357マグナムを発射するための強化された設計であることが視覚的にもわかりやすくなっている。

【ディテール】
角張った独特のデザインの銃身
銃口は2重構造になっている。.357マグナムの衝撃の大きさに対応した耐久性の高さを感じさせる
マウントレール。様々な装備を装着できる
アンダーレールは銃身と一体化している

 銃上部のマウントレールは取り外し可能だ。「S&W PERFORMANCE CENTER M&P R8 5inch HW ver.2」はネジを締めるための六角レンチも付属している。外した場合のネジ穴を塞ぐためのナットも付属している。マウントレールを外すとシルエットが変わるので、どちらで飾っておくか選べるところも本商品の魅力の1つだろう。

 リボルバーでありながら8発のカートリッジを装填できるシリンダーも見所だ。大型の44マグナム弾6発を装填できるシリンダーを装備できるNフレームだからこそ、.357マグナム弾を8発装備できるシリンダーも装着できたのだろう。サムピースを押し込んでロックを外し、シリンダーをスイングアウトさせると、金色のカートリッジリムが現われる。リボルバーはやはりこの感触が楽しい。

 「S&W PERFORMANCE CENTER M&P R8 5inch HW ver.2」には8発のカートリッジを束ねることで1気に装填できる「フルムーンクリップ」が付属している。このクリップを使用することで、オートマチック拳銃のマガジンを交換するような少ないアクションでカートリッジを交換できる。リボルバーに比べオートマチック拳銃は「装弾数」と「再装填の時間」で優れていると言われるが、「M&P R8」は8発の装弾数と、このフルムーンクリップでその差を埋めようとしているのではないだろうか? リボルバーという信頼性が高いシステムを発展させていこうという工夫が随所に感じられる。

【シリンダーと、フルムーンクリップ】
8発の.357マグナム弾を装填できるシリンダー
シリンダーをスイングアウト。カートリッジのリムが金色に輝く
8発のカートリッジをひとまとめにできるフルムーンクリップ
フルムーンクリップにカートリッジを装着するための専用ツールも付属している
フルムーンクリップを使うことで、8発のカートリッジを一気に装着できる

 ちなみに、「S&W PERFORMANCE CENTER M&P R8 5inch HW ver.2」にはこのフルムーンクリップに使うための専用ローディングツールが付属している。このツールにカートリッジを差し込むことで簡単にクリップへの取り付け、取り外しが可能なのだ。さらに予備のカートリッジとクリップをそろえれば、素早いリロードのアクションができる。もちろんクリップを外して1発ずつカートリッジを装填するのも楽しい。

 このほかにもアジャスタブルリアサイト、握り心地の良いホーグタイプラバーグリップ、射撃機能にロックがかけられるインターナルロックなど、注目ポイントは多い。やはり「S&W PERFORMANCE CENTER M&P R8 5inch HW ver.2」は"手に持った感触"がいい。最新の要求に合わせ改良が加えられた"実戦的"なサイシンリボルバーを手にしているというのがいいのだ。

 こだわりのユーザーならばレイルに様々な装備をつけるのも良いだろう。暗所で使うためのライトや、射撃を確実にさせるためのレーザーポインターやダットサイト。これらの装備をつけると重量が増すが、この銃を片手で楽々扱えるのがSWAT隊員と言うことだろう。モデルガン「S&W PERFORMANCE CENTER M&P R8 5inch HW ver.2」は、現場の人間の凄さも感じさせてくれる製品となっている。次ページでは火薬を使った発火と、様々な背景を使った撮影をしていきたい。

【レールの着脱】
マウントレールは取り外しができる。4つのネジでしっかり固定できる。ネジ締めは六角レンチが必要だが、このレンチも製品に付属してる
マウントレールを取り外すと、すっきりした印象のシルエットになる
【他のリボルバーとの比較】
タナカのモデルガン「M29 6.5インチ “ダーティハリーモデル”」(上)と比べてみる。同じNフレームのリボルバーだが、より大きな.44マグナムを6発装填できるシリンダーが大きく異なる
ハートフォードの組立式モデルガン「M19」と並べてみた。M19はKフレームで一回り小さいが、こちらも.357マグナムを発射できる能力がある
カートリッジの比較。左が.44マグナム弾、中央が.357マグナム弾、右が38スペシャル弾。カートリッジを並べられるのはモデルガンの楽しさだ