レビュー
「Figure-rise Standard ウルトラマンブレーザー」レビュー
これぞ究極の色分け技術! ブレーザーの複雑なデザインを成型色で表現する凄さ
2023年12月1日 12:00
- 【Figure-rise Standard ウルトラマンブレーザー】
- 開発・発売元:BANDAI SPIRITS
- 発売日:12月2日
- 価格:3,740円
- ジャンル:プラモデル
- サイズ:全高約170mm
「Figure-rise Standard ウルトラマンブレーザー」は、BANDAI SPIRITSの技術である「インサート成形」の凄さを実感できるプラモデルである。複数の色の異なる素材をランナー状態で組み合わせて成型するその技術は、複雑な造型のみならず、いくつもの色合いを持ったパーツ成型を可能とする。塗装ではなく素材の組み合わせで"色分け"をパーツ状態で実現しているのだ。
ウルトラマンブレーザーは全身に細かく色の入った複雑な造型のウルトラマンである。「Figure-rise Standard ウルトラマンブレーザー」では、その細かいデザインをインサート成型や徹底された色分け技術により再現している。プラモデルを組んでいくことで手の中でブレーザーのデザインの面白さを実感できる商品となっている。
もちろんデザインだけでなく、可動も充実、ブレーザーならではのアクションも再現できる。今回は発売に先がけてサンプルを提供していただいた。商品の魅力を紹介していきたい。
30歳の隊長が変身、独特な荒々しい戦いをする異色のウルトラマン
まずはモチーフである「ウルトラマンブレーザー」を紹介していこう。ウルトラマンブレーザーは現在放映中の特撮番組『ウルトラマンブレーザー』登場するウルトラマン。作品世界は他のウルトラマン作品とは独立しており、"ウルトラマン"と呼ばれる存在は宇宙飛行士達が噂していた未確認の大型宇宙人とされている。
主人公であるヒルマ ゲントは世界各国で暴れる怪獣に対抗する地球防衛隊の一員であるり、特殊怪獣対応分遣隊(Special Kaiju Reaction Detachment)、通称「SKaRD(スカード)」の隊長に任命される。彼は絶体絶命の危機に陥ったとき、変身アイテム「ブレーザーブレス」と「ブレーザーストーン」がゲントの手の中に現れ、ウルトラマンブレーザーへの変身能力を得る。ゲントは謎の力に戸惑いながらも、SKaRDの仲間と共に怪獣達へ立ち向かっていく。
ゲントは30歳の隊長であり、妻子のある家庭持ちと異色のウルトラマンの変身者だ。展開するドラマも上層部との軋轢や、個性豊かな隊員達、脅威の能力を持った怪獣達、そしてその裏で展開する大きな流れと、特撮ファンも惹きつける骨太の物語が展開する。一方、ウルトラマンブレーザーは子供達も好きになりそうな、派手なアクションが特徴だ。
本作のウルトラマンはかなりユニークだ。祈りをささげるようなポーズをしてから戦いを開始し、肘打ちや膝蹴りを多用するスタイルが特徴的で、どこかムエタイを思わせる。さらに威嚇するように声を張り上げたり、その場で何度も飛び上がったりとワイルドな動きも見せる。子供が思わず真似をしたくなる派手なアクションは印象的だ。大人であるゲントがウルトラマンになると豹変する、というところも面白い。
ブレーザーはゲントとは別の意思を持っているが、これまでのシリーズのように明確に現すことはなく、対話もない。ウルトラマンブレーザーの存在そのものも"謎"として物語を牽引していく。様々な魅力を持った作品だ。
複数の色が組み合わさる複雑なデザインを成型色の組み合わせで再現!
ここからは「Figure-rise Standard ウルトラマンブレーザー」のランナーを見ていこう。ウルトラマンブレーザーはかなり複雑なデザインのウルトラマンだ。左右のデザインが大きく異なり、左半身には赤と青のラインが複雑に絡み合っている。また頭部の左側には炎が吹き出したような青い光に覆われている。
この複雑なデザインをプラモデルではインサート成形と、細かい色分けで表現している。インサート成型とはどんなものか? それはAパーツを見れば一目瞭然だ。パーツ状態でまるで塗装がされているかのような複雑な色分けがされている。これは1つのランナーに何度も成型を行う技術。ここまで複雑で量が多いのはBANDAI SPIRITSでも少ないのではないだろうか? 驚かされる技術である。
Bパーツは異なる色を1つのランナーでまとめている。こちらもメタリックな光沢のある素材となっている。Cパーツは銀色一色で、外装部分が多い。ウルトラマンの頭部パーツなども確認できる。D1、D2パーツは黒い素材で可動部分やボディの基部に使用される。これにクリアパーツや、手首パーツをまとめたF1パーツ、武器であるチルソナイトソードのF2パーツの9パーツで構成されている。
パーツ数としてはガンプラのHGより少ないが、細かいパーツもあり、またシールも使うのでニッパーはもちろん、ピンセットも用意しておくと良いだろう。実際に組んでみるとその色分けに驚かされるに違いない。次章からいよいよ組み立てていこう。
組立でカラフルなブレーザーの胴体を表現できる成型の凄さを実感
頭部パーツでは外装部分に目のパーツを入れ込んでいく。ウルトラマンブレーザーの特徴は目から噴き出した炎のような透明パーツ。プラモデルでは目やクリアパーツに「偏光成形」という技法の素材を使っており、光を反射し独特の質感をもたらす。
また顔の左半分を覆う大きなパーツだけでなく、右部分にも光のパーツが使われている。こちらは目立たないように銀のシールをかぶせている。実際に組み立ててみてそのマスの細かな造型に気づかされる。初代ウルトラマンを思わせるシンプルなマスクに、炎のようなパーツでアクセントが付けられたデザインなのだ。
胸部分は非常に複雑なデザインだ。ボディの基部は黒、外装として銀色のパーツがまるでアーマーのように配置され、その上に赤と青のラインが入っている。プラモデルではこの部分を成型色の色分けで表現している。背中部分はDパーツの基部に、Cパーツの銀色、Bパーツの赤と青のパーツを組み込んでいく。
内部分はDパーツ。「Figure-rise Standard ウルトラマンブレーザー」は可動にも力が入っており、特に肩は付け根を引き出すことで腕を胸の前で組むようなポーズも可能になっている。そして胸パーツだ。こちらはAパーツの、パーツ時点で色が組み合わさっているパーツを使う。
カラータイマー部分はクリア素材を使用。胸部分に銀のシールを貼ることでカラータイマーの見栄えも向上している。中の模様もしっかり造型されており、メカニカルなカラータイマーのデザインを確認できる。
腹部もかなり複雑なデザインだ。基部に組み込む銀色のパーツは非常に細かく、ランナーから外すときや、組み立てるときになくさないように注意したいところ。接着剤を使わないはめ込み式なので力を入れてパーツを飛ばしてしまうかもしれない。
「Figure-rise Standard ウルトラマンブレーザー」はブレーザーの凝ったデザインをしっかり再現しているので細かいパーツが多い。注意が必要な一方で、凹凸がきちんと定められてるので、設計通りにはめ込むとパーツがぴったりはまる。きちんと組み上がっていくのは気持ちが良いし、改めてBANDAI SPIRITSのパーツを正確に成型する技術の高さに驚かされる。細かいパーツでも簡単に折れない素材の強度も感心するポイントだ。
またこの細かい配色はシールを使うことでさらに劇中に近い正確なものとなる。シールの使用箇所はそれほど多くないが、細かく、ピンセットが必要となる。従来のBANDAI SPIRITSのプラモデルでは塗装が必要な広い部分をシールで補っていた商品も多かったが、「Figure-rise Standard ウルトラマンブレーザー」のシールは細かい塗り分けを補うもので、最小限だ。
腹部部分もしっかり赤と青のラインは入る。もちろんこちらも成型パーツだ。黒、銀、赤と青という、多彩な色彩が入った腹部がかっちり組み上がる。上半身と組み合わせることでブレーザーの胴体が完成だ。次ページでは手足を組み立て、完成させていきたい。
(C)円谷プロ (C)ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京