レビュー

「パトリオットプラス」レビュー 電動ガンプラスに待望のM4タイプ登場!

PLUSシステム搭載M4シリーズの真の姿に震える

【パトリオットプラス【電動ガンプラス】】

1月25日 発売

価格:43,780円(税込)

全長:465mm

銃身長:215mm

重量:2,207g(空マガジン、ニッケル水素バッテリー含む)

弾丸:6mm BB(0.2〜0.25g)

動力源:8.4Vニッケル水素1300mAhミニSバッテリー/MS•Li-Poバッテリー[スタンダードタイプ]

装弾数:68発

種類:サブマシンガン/PDW

 東京マルイの新製品「パトリオットプラス【電動ガンプラス】」は電動ガンスタンダードタイプのメカボックスと「PLUSシステム」(=FET回路)を組み合わせた東京マルイの新基軸・電動ガンプラスシリーズの第2弾だ。

 電動ガンプラス第1弾の「P90プラス」は電動ガンスタンダードタイプの「P90」に「PLUSシステム」を搭載した製品だったが、「パトリオットプラス」はハイサイクルカスタムの「M4パトリオットHC」がベースとなっている。

 元となった「M4パトリオットHC」は、BB弾の連射間隔を短くしたハイサイクルシステムを搭載した電動ガンだが、「パトリオットプラス」はスタンダードタイプの「Ver2メカボックス」に換装した上で「PLUSシステム」を組み合わせ、細部に新規パーツを盛り込んだ製品となっている。

 本稿では、製品版の「パトリオットプラス」と「M4パトリオットHC」をお借りして比較。変更点を紹介し、シューティングレンジでの試射とサバイバルゲームにおける実際の使用感を紹介する。

「パトリオットプラス」は東京マルイによるエアソフトガン市場向けARピストル

【パトリオットプラス【電動ガンプラス】】

 実際に製品を見る前に、「パトリオットプラス」の元になった、M16/M4をハンドガン化した実銃の「ARピストル」について振り返りたい。

 M16/M4の民生品である「AR15」をハンドガン化したARピストルは、1993年に「Olympic Arms」が「OA-93」として世に送り出された。続いて「ROCKY MOUNTAIN ARMS」がリリースしたARピストルが「Patriot Pistol」だ。

 「Patriot Pistol」は、当時珍しかったフラットトップレシーバーを採用し、後部はストックを廃してバッファーパイプのみ、バレルも7インチと極端に短くしてあり、商業的には失敗したものの法執行機関に限定採用され、その独特の形状からフィクションでも印象的な使われ方をしている。

 ハリウッド映画「今そこにある危機(1994年公開)」では、ウィレム・デフォーがショルダーハーネスに吊して使用し、ミリタリーファンに鮮烈なイメージを与えた。また、TVゲームでは、「メタルギアソリッド3」で「ザ・ボス」がツインドラムマガジンを装填して乱射、やはり強烈な印象を残している。

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 AR(アサルトライフル)を極端に短くするというアイデア先行でインパクトは絶大だが、実射性能に難があった初期のARピストルはある意味イロモノ銃だった。だが、その後は「AR15」のクローンを製造する各メーカーが作動方式を見直すなどしたことによって、定番製品となった。

 そうしたARピストルの中で、東京マルイが「パトリオットプラス」と「M4パトリオットHC」において外観をオマージュしたのが、「Rock River Arms」のARピストル「5.56MM PISTOL, TRI-RAIL」だ。

 「Rock River Arms」の「5.56MM PISTOL, TRI-RAIL」は、発射機構そのものをAR伝統の「DI(ダイレクト・インピンジメント)方式」から、「H&K416」などでお馴染み「ショートストロークガスピストン方式」に変更。後部のバッファーを廃してフラットにし、よりピストルらしいデザインを実現している。

 件の「ショートストロークガスピストン方式」は、AKでお馴染みの「ロングストロークガスピストン」に比べ、セミオート射撃の作動やグルーピングが劣るといわれるが、「Rock River Arms」は独自の改良を加えた可変ピストン方式を採用している。様々なメーカーのパーツを盛り込んだモダンなデザインと相まって、ARピストルを代表する製品となっている。

 実銃で定番のカテゴリーとなったARピストルは、ストック内の自由度が高いエアソフトガンとも相性が良く、1990年代からメーカー製ガスガンや個人のカスタマイズの題材となってきた。

 東京マルイからは、2016年4月に制圧性の高いハイサイクルメカボックス搭載の「M4パトリオットHC」として製品化。デザインは「5.56MM PISTOL, TRI-RAIL」をオマージュものだが、東京マルイがエアソフトガン市場向けにローカライズしたクローンARピストルと言って良いだろう。

 「M4パトリオットHC」は、ストック内に機関部が干渉しない電動ガンならではの利点を活かしたコンパクトなM4で、かつ圧倒的な制圧力も相まってロングセラー製品となった。次項からは、そんな「M4パトリオットHC」に「PLUSシステム」(=FET回路)を搭載したクローンARピストルの最新エアソフトガン「パトリオットプラス」を見ていく。

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マイナーチェンジの域を超えた別物感! 「パトリオットプラス」と「M4パトリオットHC」

「パトリオットプラス」(上)と「M4パトリオットHC」(下)

 先ずは「パトリオットプラス」を「M4パトリオットHC」と並べて変更点を見ていこう。

 外箱は、いずれもARピストルならではのコンパクトサイズで、「パトリオットプラス」の方がやや大きい。標準サイズの「M4A1カービン」の物と比べると違いは一目瞭然、電車で持ち運ぶのも苦にならない大きさだ。

上から「M4パトリオットHC」、「パトリオットプラス」、「M4A1カービン」アサルトライフルとしては小型の「M4A1カービン」よりさらにコンパクト

 デザインは、「M4パトリオットHC」が製品それ自体を強く打ち出していたのに比べ、「パトリオットプラス」はここ最近の東京マルイ製品のトレンドであるつや消しのシックな物で、簡易包装でも一見してエアソフトガンとは気付きにくい。

 蓋を開けると、「M4パトリオットHC」は20連型の連射マガジンが装填された状態でフラットな内箱にマジックテープで固定されている。小箱にフロントサイトのアジャストツールやBB弾が収まっているが、連射マガジンが標準装備なので長いBBローダーは付属しない。

 箱の中では、「パトリオットプラス」のコンパクトな本体がここ最近の東京マルイ製品同様、黒い布に載せられスッポリ収まっている。隙間には30連型の強制給弾マガジン、BB弾などが収納された小箱があり、布をめくるとBBローダーとクリーニングロッドが出てくる。

「M4パトリオットHC」(上)と「パトリオットプラス」(下)
「パトリオットプラス」蓋を開けた状態
「パトリオットプラス」商品内容

 蓋の内側にはいずれも取扱説明書等が添付されているが、「M4パトリオットHC」は連射性を極限まで高めたメーカー製カスタマイズ品なので注意書きが多い。

「M4パトリオットHC」の説明書

 箱から取り出した「パトリオットプラス」に30連型マガジンを装填し「M4パトリオットHC」と並べて見ると、マイナーチェンジの域を超えて別物と言って良いぐらいに細部が変わっていることに気付く。

 表面にマットな塗装が施され、一見して樹脂で構成されているとは思えない質感なのは同じだが、まずレシーバーのプリントが大きく変更されている。「M4パトリオットHC」は白くロゴと製品名、ハイサイクルの製品番号が入れられたシンプルかつ解りやすいプリントな一方、「パトリオットプラス」は「PATRIOT」のロゴの上に「+」の記号を配し、「PLUS SYSTEM」など文字が数行入っている。

 加えて、大きな変更点として、射撃ポジションがある。「M4パトリオットHC」は「M4A1カービン」と同じく文字で示されているが、「パトリオットプラス」はH&K社の製品を思わせる弾丸のビジュアルが左右に入っている。

レシーバーのプリントでイメージが変わっている
「パトリオットプラス」は右側にもビジュアル表示がある(上)

 前後に伸びたフラットなトップレシーバーマウントは定番のピカティニー規格で、いずれもフロントとリアに別体のサイトが載っているが、「パトリオットプラス」では「MP7」と共通のタイプに変更されている。

 「M4A1カービン」の直線的な物に比べてより握り易く疲労が少ないよう考案された「TDタイプ・ライフルグリップ」と相まって、「H&K HK416.22 LR Pistol」に近い印象を醸しだしている。

フロントサイト「M4パトリオットHC」(左)と「パトリオットプラス」(右)
フロントサイトを起こした状態「M4パトリオットHC」(左)と「パトリオットプラス」(右)
リアサイト「M4パトリオットHC」(左)と「パトリオットプラス」(右)
リアサイトを起こした状態「M4パトリオットHC」(左)と「パトリオットプラス」(右)

 また、フロントのハイダーは、円筒状だった「M4パトリオットHC」に対して「パトリオットプラス」の場合はポリゴナルデザインのハイダーをアルミ削り出しで新たに製作。14mm逆ネジで締め込み、Oリングとイモネジでしっかり固定している。

フロント部「M4パトリオットHC」(上)と「パトリオットプラス」(下)
銃口「M4パトリオットHC」(左)と「パトリオットプラス」(右)
「パトリオットプラス」の新造ハイダー
カスタムパーツを思わせる仕上がり

 そして、後部のストックを廃したフラットな形状は同じだが、「M4パトリオットHC」ではスリングスイベルが直接付いていたのに対し、「パトリオットプラス」ではストックベースが採用されており、20mmのQDマウントを介してプッシュリリース式スリングスイベルがセットされている。

 4面にレイルシステムを備え、14mm逆ネジマズルと合わせた拡張性の高さは同じものの、「パトリオットプラス」ではさらに後部にも余地が増えた6面でのカスタマイズが行なえる様になった。これによってストックも好みのものを取り付けられるようになっているのだ。

リア部「M4パトリオットHC」(左)と「パトリオットプラス」(右)
「パトリオットプラス」は後部にも拡張性がある

 前後と上部、レシーバーのプリントと全面的に変更が入っている他、30連型マガジンと相まって「パトリオットプラス」の外観は、「M4パトリオットHC」とは違ったカッコ良さのあるARピストルに仕上がっていると言えるだろう。

 次項からは操作性と実射性能を見ていく。