レビュー

東京マルイ、「次世代電動ガン MP5 A4」レビュー

初心者でも使いやすい固定ストックの安定性とハンドガードの拡張性が魅力!

【次世代電動ガン「MP5 A4」】

10月18日 発売

価格:71,280円

全長:680mm

銃身長:229mm

重量:2,790g(空マガジン、バッテリー含む)

弾丸:6mm BB(0.2〜0.25g)

動力源:8.4Vニッケル水素1300mAhミニSバッテリー/MS•Li-Poバッテリー[スタンダードタイプ]

装弾数:72発

種類:サブマシンガン/PDW

 東京マルイが9月末に「全日本模型ホビーショー」で発表した次世代電動ガン「MP5 A4」が、10月18日に発売された。本商品は1990年代に製造された実銃MP5の高い再現性と電子制御のM-SYSTEMによる高性能を誇る次世代電動ガン「MP5」シリーズの最新作だ。

 同シリーズはこれまで、ポピュラーな「MP5 A5」、サプレッサーを装備した「MP5 SD6」が展開されてきた。これまでの2種はハンドガード内にバッテリーを収納し、金属製スケルトンタイプの伸縮式ストックを備えていたのに対して、第3弾となる「MP5 A4」では樹脂製の固定式ストックにバッテリーを収納、ハンドガード内にコードが無くなったことが大きな特徴となっている。次世代電動ガン「MP5」シリーズの外観の再現度の高さ、内部機構の先進性、高い実射性能などは既発の「MP5 A5」・「MP5 SD6」でレポートしてきた。

 本稿では、次世代電動ガン「MP5 A5」の特徴である樹脂製固定式ストックとバッテリーがオミットされてカスタマイズの選択肢が拡がったハンドガードを中心に紹介する。

モデル・リラさん

原点たる固定ストック式「MP5」再現は東京マルイの伝統!

 製品を紹介する前に、実銃の「MP5 A4」と、東京マルイが製品化してきた「MP5」シリーズについて簡単に振り返ってみよう。

 実銃の「MP5」は、東西冷戦下の1960年代に旧・西ドイツで開発された。当時、テロリズムに市街地などで対峙する警察など法執行機関では、拳銃以上の攻撃力と、ライフルよりも抑えられた貫通力と携行性を兼ね備えたサブマシンガンの需要が高まっていたのだ。

 そこでH&Kが開発したのがアサルトライフル「G3」の信頼性のある機構を用いたセミオート・フルオートの切り替えが可能で、拳銃弾を発射する「HK54」(H&K内で、5は短機関銃、4は9mmパラベラム弾を表す仮称)だった。

 1966年、旧西ドイツの国境警備隊や州警察など法執行機関に多数採用され、正式名称「MP5(5型短機関銃)」として量産化された新型SMGは固定式のストックを装備、後に伸縮式ストックの「MP5A1」が登場する。固定式ストックが「MP5」の原点と言えるだろう。

 その後「MP5」は、改良された「A2(固定ストック)」と「A3(伸縮式ストック)」を経て3バースト機構が採用、左右からの操作を可能にした射撃モードセレクターがドイツ語からビジュアル表示に変更されたうえで、海外向けに多数輸出された。それが固定式ストックの「MP5 A4」と伸縮式ストックの「MP5 A5」である。

 東京マルイでは1980年代後半にコッキングエアータイプの「MP5 A3」に続いてエアソフトガン業界初となる固定式ストックの「MP5 A2」を発売。1990年代に電動ガンスタンダードタイプでも、「MP5 A5」に続いて固定式ストックタイプの「MP5 A4」を発売した。

 一見して解る様に、大型の固定式ストックの再現にはレシーバー以上に大きな金型が別途必要となる。その為、発売された「MP5」のエアソフトガンは永らく短縮タイプのクルツや伸縮式ストック式のみのメーカーが多かった。また、映画「ダイハード」や「スピード」などの劇中で登場したのも伸縮式ストックタイプがほとんどである。

 しかし、あえて原点である固定式ストックもリリースし続ける姿勢に、東京マルイのMP5という機種へのこだわりが感じられる。ここからは、東京マルイこだわりの固定式ストックタイプの次世代電動ガン「MP5 A4」を見ていく。

次世代電動ガン「MP5 A4」(上)と、筆者のスタンダードタイプ電動ガン「MP5 A4」(下。ハンドガードは社外製品でカスタムしている)

30年越しで体験する本物感!こだわりの固定式ストックとカスタマイズ心くすぐられるハンドガード

 今回は「次世代電動ガン「MP5 A4」と「MS Li-Po バッテリー」を組み合わせたうえでカスタムしていく。

 まず固定式ストックならではの黒を基調にシックで洗練された外箱の大きさが印象的だ。その周りには、次世代電動ガンMP5専用72連マガジン、サプレッサーなど各種アクセサリーを取り付けられるマズルアダプター、固定式ストックを着脱するための専用「ストックリムーバー」などが収納されている。

 全体的には既発の次世代電動ガン「MP5 A5」と同様、粉体塗装された金属部分は本物感があふれていれ「これぞ『MP5』だ!」という雰囲気が漂っている。

 そして本製品「MP5 A4」の最大の特徴である固定式ストックは、本体同様にスタンダードタイプとの互換性のない完全新規の物となっている。ロアレシーバーやハンドガードと同じく実銃に極力近付けて成型された特殊樹脂製で、金属部分と相まって非常にリアルな再現度だ。

 固定式ストックの中央部にはスリングの金具を取り付ける窪みがあるが、内側に深く食い込んだ金属パーツが貫通した2つの穴を通して強固に固定されている。これはストック内に大型のバッテリーを収納していたスタンダード電動ガン「MP5」では再現不可能だった部分だ。

次世代電動ガン「MP5 A4」ならではの固定式ストックとリムーバー

 手に持ってみると、スタンダード電動ガンにはないズッシリした重みがあるが、人間工学に基づいたデザインによってしっくりと手に馴染む。構えてみると、伸縮式ストックよりも33%軽くなった固定式ストックは肩にフィットし、自然と頬を沿えると特徴的な丸いサイトが視線に入る。

 伸縮式ストックは携帯性に優れているが、構えて頬付けする射撃動作の一連の流れのスムーズさは、固定式ストックに軍配があがるだろう。続いて「ストックリムーバー」を使って固定式ストックを外してみる。

 この作業では、ストックロックピンを浮かせて引き抜き、ストックと本体をこじって隙間を空けテコの原理で外し、バッテリーを接続してストックを戻しストックロックピンで固定するという5つの工程が必要になる。

【次世代電動ガン「MP5 A4」にバッテリーを収納する様子】
ストックロックピンを浮かせる
ストックロックピンを引き抜く
ストックと本体の間をこじる
てこの原理でストックを外す
バッテリーを接続→ストックを戻す→ロックピンを押し込む(ストックリムーバーの5を使って押し込むと指が痛くない)

 煩雑に思えるが、ストックリムーバーには5つの工程のそれぞれ使う場所に数字が入れられている。説明書を読みながら1度行なえば、次からはリムーバーの数字を見ながら手早く作業できる様になっている。この解りやすさは、流石東京マルイ製品だとうならされる。

リムーバーには1~5まで番号が刻印されている

 また、ストックと本体との着脱がスムースで、かつガタつきが一切ないのも驚きだ。金属レシーバー表面は特殊な粉体塗装が施されていて、ストックも表面がザラザラする特別な樹脂で成形されている。この動作を何気なく行える様に、塗装の被膜の厚みや樹脂表面の後加工などに綿密な計算が行なわれたことが伺える。

 取り外したストックをスタンダードタイプのストックと比べて見ると、まず30年前の設計であるスタンダードタイプの古さを感じさせないフォルムの再現性に気付かされる。

 一方で、強烈なリコイルを受け止められる肉厚で頑丈な造りは次世代電動ガンならではの物だ。また、スタンダードタイプではラバー製バットプレートを外して大型バッテリーを着脱していたので、サバイバルゲームでハードな使用をすると外れて紛失することもあった。しかし次世代電動ガン「MP5 A4」のバットプレートはしっかり固着してあるので外れる様なことはない。

スタンダードタイプはバットプレートを外して大型バッテリーを着脱していた
スタンダートタイプ(下)との比較
スタンダードタイプ(下)は内部の大型バッテリーに干渉しないようにスリング取り付け金具が盛り上がっていた
次世代電動ガン(上)スタンダードタイプ(下)

 次世代電動ガン「MP5 A4」には、「8.4Vニッケル水素1300mAhミニSバッテリー」か「 MS・Li-Poバッテリー[スタンダードタイプ]」どちらかが使えるようになっている。変換コネクターが必要なくなるので、「MS・Li-Poバッテリー[スタンダードタイプ]」の方が収納は楽だ。加えて、「MS・Li-Poバッテリー[スタンダードタイプ]」の方が発射可能弾数も多く、発射のキレも向上するので、余裕があれば一緒に導入すると次世代電動ガン「MP5 A4」の真価を発揮できるだろう。

2種類のバッテリーが選べる
新造の固定式ストックは、再現度、実用性共に流石の仕上がりとなっている