特別企画

全てのTCGを包含できる? 新TCG「ゲートルーラー」のルールがついに公開!

TCGの異種格闘技戦を可能にした「ルーラーシステム」とは? 最新情報や裁定も解説

12月26日発売

250円(税抜)~

 11月27日、大遊が開発・販売する新TCG「ゲートルーラー」の正式ルールと体験デッキのPDFデータなどが、「ゲートルーラー」の公式サイト(参考)で公開された。

 「ゲートルーラー」は、池っち店長の愛称で知られる池田芳正氏が考案したTCGである。池田氏は、カードショップ「カードキングダム」の創業者であり(現在はカードキングダムの代表からは退いている)、ブシロードが販売していたTCG「フューチャーカード バディファイト」の原作者でもある。古くからカードキングダムの対戦動画などに登場しており、TCG業界の有名人の一人だ。ゲートルーラー以前に、池田氏は「ドミネイター」という新TCGを開発中であることを表明していたのだが、紆余曲折があり、現時点ではまだ発売されていない。

 世界初のTCGである「マジック・ザ:ギャザリング」が登場してから27年にもなるが、その間、さまざまなTCGが生まれては消えてきた。特にここ数年、「シャドウバース」や「ハースストーン」などスマートフォンやPCでプレイするDCGの隆盛により、TCGが押されつつある。さらに、2020年春からのコロナ禍によって対面でのプレイが基本となるTCGは、ますます苦しい立場に追いやれている。そういう事情もあり、以前は年にいくつも新作TCGが登場していたのだが、最近は新作TCGの登場が減っている。2020年に登場した新作TCGとしては、3月に展開が開始されたブシロードの「Reバース for you」があるが、「Reバース」の基本的なゲームシステムは、以前ブシロードから発売されていたTCG「ヴィクトリースパーク」がベースとなっている。

 「ゲートルーラー」は、久しぶりに登場する完全新作TCGとして、TCGファンから注目が集まっていたのだが、プロモーションや製品展開の仕方も、これまでのTCGとは一線を画す斬新なものとなっており、それがさらに賛否両論を集める結果となっている。ここではその詳細については触れないが、池田氏は自らのTweetで、ゲートルーラーに関するイラストや世界観などを折に触れて公開しており、肝心のルールについては11月27日まで明かさないという方針をとった。

 また、人気VTuberらを公式アンバサダーに任命し、「ゲートルーラー」の魅力を動画で語ってもらうことにしたのだ。さらに、公式アンバサダーとは別に、「ゲートルーラー」を応援したいという公式インフルエンサーを募り、発信力のあるVTuberやYouTuber、ブロガー、クリエイターなどが選ばれた。公式インフルエンサーを対象とした説明会が11月8日に開催され、一部の公式インフルエンサーには新規カードの独占告知権が与えられた。筆者も公式インフルエンサーに選ばれ、NDAを結んで説明会に参加、実際にゲートルーラーの体験デッキで数十回プレイを行った。

 ようやく正式ルールが公開されたので、「ゲートルーラー」の製品情報とルール、実際にプレイした感想を解説したい。

通常ブースターパックとハイレアリティパック、スターターデッキ2種が登場

 「ゲートルーラー」の正式発売日は12月26日であり、第1弾として、ブースターパック「地球&異世界連合結成!」とそのハイレアリティパック、さらに構築済みスターターデッキ2種類「妖怪&巨大ロボ」、「魔竜召喚」が発売される。TCGでは、スターターデッキだけが先に発売され、2~3週間後くらいにブースターパックが発売されることが多いが、「ゲートルーラー」はブースターパックとスターターデッキが同時発売であり、すぐにスターターデッキの中身を強化したり、オリジナルデッキをイチから作ることができる。

 ブースターパックは1パック5枚入りで価格は250円(税抜)と、国産TCGの中では高めだが、メインターゲットを20~30代に置いているとのことなので、妥当な価格であろう。第1弾として全部で133種類+αのカードが用意される。TCGで重要なのがカードのレアリティ構成とその封入率だ。「ゲートルーラー」では、カードの左下に並んでいる★の数でレアリティを表しており、★がコモン、★★がレア、★★★がダブルレア、★★★★がトリプルレア、★★★★Lがレジェンドとなる。第1弾では、★が63種類、★★が24種類、★★★が17種類、★★★★が17種類、★★★★Lが6種類という内訳になる。

 ブースターパックが36パックで1ボックスになるのだが、1ボックスの中のパックに★は124枚前後、★★は36枚前後、★★★は11枚、★★★★は8枚、★★★★Lは1枚入っている。さらに、ボックス購入特典として、全6種類の★★★★Lカードが1枚ランダムで付属するため、★★★★Lは実質2枚となる。ダブルレア以上が20枚(プラス特典で★★★★Lカードが1枚)入っていることを考えると、封入率は悪くない。また、★★★★のカードには、特殊加工を施した「ウーバーレア」が存在する。こちらはかなり珍しい(封入率が低い)カードになるとのことだ。

 ハイレアリティパックが用意されているのもユニークだ。ハイレアリティパックは13枚入りで2400円(税抜)と、通常ブースターの10倍近い値段がつけられているが、中のカードが全てフォイル仕様になっているほか、ブースターパックとスターターデッキに収録されているカードのパラレル仕様になっている(★★★以上はフルアートになる)。さらに★★★★以上は、専用のパラレルフレームが採用される。なお、通常ブースターパックには、スターターデッキに含まれているカードは含まれていないが、ハイレアリティパックではスターターデッキに含まれている34種類のカードも、フォイル仕様として出現する。高レアリティカードの封入率も高く、1パックに★★★以上が3枚以上(そのうち★★★★1枚以上)が確定で入っている。デッキを全てフォイル仕様にして、光らせたいという人にオススメだ。

 スターターデッキは1,500円(税抜)で、「妖怪&巨大ロボ」が初心者向けのビートダウンデッキ、「魔竜召喚」はTCG中級者向けのコンボデッキとなる。

 TCGのカードサイズは大きく分けて2種類あるが、ゲートルーラーのカードサイズは「デュエル・マスターズ」や「マジック・ザ:ギャザリング」、「ポケモンカードゲーム」などと同じである。カードの質感にもこだわっており、特に裏面のさらさらした手触りは心地よい(実際にプレイするときはスリーブに入れることが多いので、あまり関係なくなってしまうが)。

【ゲートル-ラーのカード】
ゲートルーラーのカード。サイズは「デュエル・マスターズ」や「マジック・ザ:ギャザリング」などと同じだ
裏面には特殊加工が施されており、さらさらした手触りが素晴らしい

ルールを司る「ルーラー」によって、基本的なルールも変わる

 次に、ゲートルーラーの世界観を簡単に紹介する。人類は突如侵略してきた謎の敵「侵略次元」により大きな損害を受けたが、侵攻から3年後、侵略次元に対抗しうる戦力を整えつつあった。そうした中、異世界の妖怪や、神話や物語に登場する者たちが、同じく侵略次元の侵攻を受ける。侵略次元は、もはや人類だけの敵ではない。妖怪や神話の生き物たちと肩を並べてともに侵略次元と戦うことになったのだ。

 この異世界との混成チームを統べるリーダーとなるのが「ゲートルーラー」(ルーラー)と呼ばれる者たちだ。「ゲートルーラー」の最大の特徴は、ルーラーシステムにある。ルーラーとは、ルールを司る者という意味であり、ルーラーが変わると、ゲームのルールそのものが変わるのだ。第1弾の環境としては、体験デッキの「ワールド・マスターα」および「ワールド・マスターβ」のほか、「A-1 アプレンティス」、「K-11 ナイト」、「H-8 ハイランダー」という合計5種類のルーラーを利用することができる。もちろん、異なるルーラー同士での対戦が可能だ。ゲートルーラーが、全てのTCGを包含できる可能性があるというのは、このルーラーシステムを採用しているためだ(実際には全てのTCGを完全に包含するのは難しいだろうが)。

【体験デッキのル-ラー】
体験デッキのルーラー「ワールド・マスターα」。手札を使わないルーラーだ
体験デッキのルーラー「ワールド・マスターβ」。手札とエナジーを使うTCGに慣れた人向けルーラーだ

手札もドローもマナもない?どうやってプレイするの?

 ルールが変わるというのはどういうことかというと、例えば「ワールド・マスターα」をルーラーとして選ぶと、TCGではお馴染みの「手札」という概念がなくなる。初期手札無しでスタートするだけでなく、ゲーム中いかなる瞬間も手札を持つことができないのだ。そのため、デッキから手札にカードを加えるドローという行為もなくなる。手札もドローもなくてどうやってプレイするかというと、自分のターンのメインフェイズに「ドライブ」という行為を行なう。

 ドライブとはデッキのトップをめくることで、ワールド・マスターαの場合は、「ドライブ2」がルールとして規定されているため、デッキの上から2枚を相手に見えないようにめくればよい。このめくったカードは、それがユニット(「デュエル・マスターズ」でいうクリーチャーカード)ならそのまま場に召喚でき、それがイベントカードならその場で使うか、場に伏せてセット(「遊戯王」の罠カードみたいな感じ)することができる。なお、「ワールド・マスターα」の場合、「マジック・ザ:ギャザリング」や「デュエル・マスターズ」でいうマナという概念もなくなり、ノーコストで全てのユニットやイベントを使うことができる。「ワールド・マスターα」を使うと、TCGの醍醐味の一つである「トップ解決」や「今引き」を連続して行う形になり、初心者と中上級者との差が縮まる。これだけを聞くと、単なる「運ゲー」かと思う人もいるだろうが、同じドライブ2でめくれたカードであっても、ユニットをどの場所に召喚するか、あるいはイベントをいつ使うかといったプレイングが介入する余地も十分ある。

 手札を持たない「ワールド・マスターα」が運要素の高いルーラーなのに対し、体験デッキのもう一つのルーラーである「ワールド・マスターβ」は、コスト管理や適切なプレイが必要とされるTCGに慣れた人向け。こちらはもちろん手札があり、毎ターン2枚ドローが可能であり(先攻1ターン目だけ1ドロー)、マナに相当するエナジーを使ってカードをプレイする。エナジーカードは最初に3枚置かれるが、ターンのはじめに2枚しかアクト(縦向き)しないため、3エナジー使ってしまうと、次のターンは2エナジーしか利用できない。同じデッキでも、ルーラーが変わるだけで、プレイ感覚や戦略ががらりと変わるのだ。

 もちろん、それぞれのルーラーの特徴を活かすためには、それぞれ専用デッキを構築するのがベストだ。相手と自分のルーラーが違えば、それぞれ別々のルールで戦うことになり、TCGの異種格闘技戦を実現できるわけだ。ルーラーが違うと、デッキ構築ルールも変わってくるので、また新鮮な気持ちでデッキを作ることができるのだ。ルーラーの数は、新しいブースターパックが登場するたびに増ていき、最終的にはアルファベットの数(つまり26)のルーラーが揃う予定だという。

 また、「ゲートルーラー」には、「ウォルナー」、「アトラス」、「マジカルユニバース」、「東妖軍」、「侵略次元」という5つの軍が存在する。軍によって、フレームのデザインも変わる。詳しくは後述するが、選んだルーラーによってデッキ構築ルールも変わり、基本的には2つか3つの軍を組み合わせてデッキを作ることになる。

【「ゲートル-ラー」の軍の種類】
「ウォルナー」に属するレベル2のユニットカード「時喰らいの魔神」
「アトラス」に属するレベル2のユニットカード「ゴーダムキーパーガーソン」
「マジカルユニバース」に属するレベル0のユニットカード「マスターフューチャーエド」
「東妖軍」に属するレベル3のユニットカード「竜型決戦兵器”火雷”」
「侵略次元」に属するレベル0のユニットカード「先触れの蝶」

「ゲートルーラー」のカードの種類やステータスの見方

 「ゲートルーラー」のカードは、大きく「ユニット」、「イベント」、「フィールド」、「エナジー」、「ルーラー」の5種類に分かれる。このうち、エナジーとルーラーはデッキに入れずにフィールドに置かれるカードで、デッキに入るのは、残りの3種類のカードだ。

 ユニットカードは縦向きに、イベントカードとフィールドカードは横向きにデザインされているが、どちらも左上に0から3までの数字が書かれている。これがレベルであり、プレイに必要なエナジーの数を表す。レベルの数字の上に小さい字で、「UNIT」や「EVENT」、「FIELD」というカード種別が書かれている。

 ユニットカードには、右下に3つの数字が並んでいる。上からATK、HP、STKとなり、ATK(アタック)はユニットがユニットに攻撃する際の攻撃力、HPはユニットの体力、STK(ストライク)は相手のルーラーに攻撃するときの攻撃力となる。イベントは、使い切りの魔法で、使ったら墓地に置かれるが、フィールドは盤面に置いて、常に効果を発揮するという違いがある。フィールドは、「マジック・ザ:ギャザリング」でいうエンチャントや、「デュエル・マスターズ」でいうD2フィールドなどに近い概念だ。

 また、カードによっては、レベルの下に「CNT」という文字が書かれているものがある。CNTとは、カウンターを意味する。ルーラーが攻撃を受けた際、その攻撃力の数だけ、デッキの上からカードを表向きにしてダメージゾーンに置いていくのだが、CNTと書かれたカードが表向きになった場合、ダメージゾーンにはいかず、テキスト欄のCNTと書かれている部分の指示に従い、そのカードは墓地に行く。CNT持ちのカードがダメージでめくれた場合、コストは無視される。「デュエル・マスターズ」のシールドトリガーに少し似ているが、CNT持ちのカードはめくれてもダメージゾーンに置かれないので、その分相手の攻撃を軽減したことになる。カードの右上には、そのカードが持つ属性が書かれている。

 さらに、ODやTDと書かれているカードがあるが、ODはオーバードライブの略で、ドライブによって場に出たときのみ発動する効果だ。TDはタッチダウンの略で、こちらは逆に、手札からコストを払って場に召喚したときのみ発動する。ルーラーカードにも、ユニットと同じようにATK、HP、STKの3つのステータス値が設定されている。ATKやSTKが設定されていることからわかるように、ルーラーでも相手のユニットやルーラーに攻撃をすることができる。

【ゲートル-ラーのカードの種類】
レベル1のユニットカード「ヴァンパイアソルジャーレヴァン」は、ATK/HP/STKが2/2/2である。また、TDとODで「未来視」が使える
レベル0のイベントカード「絶対爆発!宇宙ミミック」の使用タイミングは「即時」である
レベル2のフィールドカード「殺戮者の森」は、CNT持ちである

「ゲートルーラー」のプレイの流れ

 「ゲートルーラー」の勝利条件は、自分のユニットやルーラーで相手ルーラーを攻撃し、相手ルーラーのHPを0にする(=HPと同じだけのダメージを与える)ことである。また、デッキのカードが全てなくなっても、なくなった側の負けとなる(「デュエル・マスターズ」方式で、なくなった瞬間に負け)。デッキ枚数は50枚だが、それも今後ルーラーによって変わる可能性がある。

 ユニットやルーラーが攻撃する際には、カードを横にする(「マジック・ザ:ギャザリング」や「デュエマ」でいうタップだが、ゲートルーラーではレストと呼ぶ。逆に縦にすることはアクトと呼ぶ)。

 各ターンは、「スタートフェイズ」→「メインフェイズ」→「アタックフェイズ」→「エンドフェイズ」の4つのフェイズに分かれている。

 スタートフェイズでは、ユニットとルーラーをレストからアクトにし、それぞれのルーラーによって指定されている【君のターン開始時】を行なう。

 メインフェイズでは、ユニットやイベントのカードをプレイしたり、カードをセットゾーンに伏せることや、ユニットの移動が可能だ。すでにユニットが置かれている場所に、新たなユニットを置くこともできるが、その場合、もともと置かれていたユニットは墓地へ移動する。

 アタックフェイズでは、敵のユニットやルーラーに対して攻撃を行なうことができる。ユニットを置けるフィールドのゾーンは全部で3つあるが、中央は守備ゾーン、左右が攻撃ゾーンとなっており、守備ゾーンにいるユニットは常にレスト状態なので攻撃はできない。攻撃可能なユニットをレスト(横向き)にして、相手の攻撃ラインを指定することで、攻撃が可能だ。なお、相手のユニットはレスト状態でもアクト状態でも攻撃することができるが、守備ゾーンに相手のユニットがいる場合は、先にそのユニットを攻撃して破壊しないと、相手のルーラーに攻撃は届かない。「ゲートルーラー」には「バディファイト」と同じく、召喚酔いという概念はないので、メインフェイズで出したユニットで即攻撃が可能だ(ただし、先攻1ターン目だけは1回しか攻撃できない)。ユニットに攻撃する場合は、ATKの数字分だけ相手ユニットのHPが減る。攻撃は一方的に行なわれるため、こちらのユニットがダメージを受けることはない。また、ダメージはターン中累積するので、例えば、HP6のユニットに対して、ATK4のユニットで攻撃→残りHP2、さらにATK2のユニットで攻撃→HP0で破壊といったムーブが可能になる。

 エンドフェイズでは、ユニットのダメージが取り除かれ、「ターンの終了時まで」効果も終了する。

即時を持つイベントカードは、ほぼ全てのタイミングで使うことが可能

 TCGファンにとって気になるのが、いわゆるインスタントタイミングでの攻防があるかどうかだ。「マジック・ザ:ギャザリング」では、呪文が自分のメインフェイズにしか使えないソーサリーと、相手のターン中でも相手の行動に対応して使うことができるインスタントの2種類に分かれている。相手ターン中に、こちらがインスタント呪文を唱えると、それに対応してまた相手もインスタント呪文を唱えることができる。この攻防が熱いのだが、「ゲートルーラー」でも、呪文に相当するイベントカードの使用タイミングが「通常」と「即時」の2種類用意されている。使用タイミングが「通常」のイベントは、自分のメインフェイズ中しか使えないのだが、「即時」はメインフェイズ中に一旦セットしておけば、アタックフェイズでも相手のターン中でも、ほぼ全てのタイミングで使うことができる。もちろん、使うのにコストが必要なイベントは、その分のエナジーがなければ使うことはできない(もちろん、エナジーカードを使わないルーラーは別)

 「即時」のイベントは、相手のイベントや攻撃宣言に対応して割り込んで使うこともできる。基本的に後から唱えられたものが上に積まれていき、すべて唱えられた後で上から解決することになる。「マジック・ザ:ギャザリング」のスタックや「遊戯王」のチェーンに似た感じだ。「ゲートルーラー」では、これをゲートシステムと呼んでいるが、このシステムがあるため、相手の攻撃に対して守備側が伏せておいたイベントを唱えてHPをパンプしたり、それに対応してさらに攻撃側がイベントを唱えて、ユニットに火力を撃って破壊するといった攻防が可能になるのだ。

 さらに、特別なタイミングでのみ使えるイベントカードとして、「使用タイミング:セットして、君が直接攻撃された時に使える。」というものがある。これは、自分のルーラー(ゲートルーラーの世界では、自分=ルーラーである)が直接攻撃を受けた際、セットした状態から発動できるイベントである。例えば、体験デッキの中の「アブソリュート・ベアリア」というイベントカードがそれに該当する。「アブソリュート・ベアリア」をセットした状態で、そのプレーヤーのルーラーが攻撃された場合、「アブソリュート・ベアリア」を表にして唱えることで、その攻撃でのルーラーへのダメージがキャンセルされ、ダメージが0となる。

プレイフィールドのデザインも斬新

 「ゲートルーラー」のプレイフィールドは、以下のようなデザインになっている。中央に軍団を率いるルーラーを配置し、その前のセンターラインが守備ゾーンとなる。左右のラインは、攻撃ゾーンであり、それぞれのライン手前側にはイベントカードをセットするセットゾーンがある。セットゾーンは3つあるため、最大で3つのイベントカードをセットできる。一番手前側にあるゾーンは、エナジーカードを置くためのエナジーゾーンであり、エナジーを使ってカードをプレイするタイプのルーラーが利用する。

 右側にはデッキ置き場と墓地(破壊されたユニットやプレイしたイベントなどが置かれる)があり、さらにその右にはフィールドカードを置くためのフィールドゾーンがある。イベントカードと異なり、フィールドゾーンに置けるフィールドカードの枚数に制限はない。左側にはダメージゾーンがあり、ルーラーがダメージを受けると、その枚数分カードが置かれる。「自分のルーラーのライフ」-「ダメージゾーンのカード数」が0になると負けるわけだ。

 なお、このプレイフィールドのデザインも、あくまで最初のルーラーに対応したプレイフィールドということであり、今後新たなルーラーが登場した際に、新たなゾーンが追加されたり、攻撃ゾーンが増えたりする可能性もある。

【ゲートルーラーのプレイフィールド】
多くのゾーンがあって一見ややこしそうだが、それほど複雑なわけではない

体験デッキの入手方法

 ゲートルーラーの基本ルール(参考)は、11月27日に公式サイトで発表され、同時に体験デッキの配布も開始された。体験デッキは、50枚のデッキと2枚のルーラー「ワールド・マスターα」、「ワールド・マスターβ」、エナジーカード3枚、ルール説明に飛ぶQRコードが印刷されたカード1枚の合計56枚のカードから構成されており、気軽に「ゲートルーラー」のプレイを楽しめる。体験デッキのカードも紙質などは製品版と同じであり、裏面の質感の高さなどを実感できる。

 体験デッキを入手する方法はいくつかあるので、順に紹介しよう。

1.カードショップで入手する

 「ゲートルーラー」を取り扱うカードショップの一部で、体験デッキが無料配布されている。ただし、11月27日時点では配送の関係で届いていないところが多く、11月28日以降配布開始というショップも多いようだ。また、体験デッキの数が限られているため、ショップによっては「ゲートルーラー」の購入予約者を優先して体験デッキを配布するところもある。

 なお、秋葉原駅前のカードショップ「カードキングダム秋葉原店」の1Fの一部が、12月26日から1カ月限定でゲートルーラーステーションとなるが、現時点ではプレオープンという位置づけで、体験デッキが配布されている。ただし、配布初日の11月27日は、平日にもかかわらず昼過ぎには当日分がなくなり、配布終了となった。

 しばらく体験デッキは品薄になりそうだが、12月初旬には増産分が各店舗店舗に届くとのことなので、「ゲートルーラー」取り扱い店舗のTweetなどをチェックしておくとよいだろう。

2.おうちでプリント

 近くにゲートルーラー取り扱い店舗がない場合は、公式サイト(参考)で、体験デッキのPDFファイルが公開されている。このPDFをA4用紙8枚に印刷してはさみで切り離し、スリーブに入れることで、体験デッキとして利用できる。

3.コンビニでプリント

 家にプリンターがないという人は、セブンイレブンのコンビニプリントを利用して印刷を行なうことができる。予約番号については、公式サイトを参照のこと。A3用紙4枚で印刷することになり、印刷料金は400円になる。

4.VR用アセットを入手

 さらに、「ゲートルーラー」の体験デッキは、バーチャルキャストでも遊べる。VR用アセットを公式サイトからダウンロードし、それらのアセットを自分のインベントリに入れることで、VR空間内で「ゲートルーラー」が遊べるようになる。バーチャルキャストを利用するにはVR用HMDが必要になるが、お持ちの方は是非試していただきたい。VR空間内でTCGをプレイするという、新しい体験が可能になる。

5.公式ガイドブックで入手

 12月14日発売予定の公式ガイドブック「ゲートルーラー オフィシャルガイドブック」(徳間書店)に体験デッキが1セット付属する。また、第2弾として登場予定のカードが2枚、先行付属する。

【体験デッキの入手方法】
無料で配布されている体験デッキ
体験デッキの中身
秋葉原駅前の「カードキングダム秋葉原店」の1Fが12月26日から1カ月限定でゲートルーラーステーションとなる
公式サイトからダウンロードしたPDFをプリンターで印刷したもの。切り離してスリーブに入れて使う
黒音紅(くろねこ)さんが、バーチャルキャスト内で「ゲートルーラー」の説明をしているところ
このようにVR空間内で、「ゲートルーラー」の体験デッキを使って遊ぶことができる

デッキ構築ルールもルーラーによって変わる

 一般的なTCGは、その構築の仕方によってクラン制と非クラン制に大別できる。クラン制とは、決まったクランに属するカードだけでデッキを組むタイプで、「ヴァンガード」や「バディファイト」などがクラン制を採用している。非クラン制はそういう縛りがなく、利用可能なカードプールの中から自由にカードを選んでデッキを作ることができる。「デュエル・マスターズ」や「マジック・ザ:ギャザリング」などは非クラン制だ。通常、クラン制のほうが初心者でもデッキが組みやすいとされているが、自分が使わないクランのカードが無駄になってしまうという問題もある。「ゲートルーラー」では、軍がクランに相当するが、ルーラーによってデッキ構築ルールも大きく変わるため、クラン制に近いルーラーもあれば、自由にデッキを組めるルーラーもある。

 現在、公開されているルーラーは全部で5種類あるが、それぞれデッキ構築ルールやルーラーのLIFE、ATK、STKなどが異なる。簡単に表形式でまとめてみた(なお、ハイランダーのデッキレベル上限レベルは調整中で、52や53になる可能性もあるとのこと)。

ルーラー別デッキ構築ルール
ルーラー名ワールド・マスターαワールド・マスターβアプレンティスナイトハイランダー
手札なしありなしありなし
エナジーなしありなしありなし
召喚権なし2なし2なし
LIFE119121112
ATK33434
STK33333
デッキ枚数5050505050
CNT上限枚数1616161616
同名カード上限枚数44441
レジェンドカード上限枚数00223
デッキレベル上限40なし50なし50(調整中)
軍の指定各軍ごとに12枚まで各軍ごとに12枚まで2つの軍を選択(枚数は自由)2つの軍を選択(枚数は自由)3つの軍を選択(枚数は自由)

 表を見ればわかるが、「ワールド・マスターα」の上位が「アプレンティス」および「ハイランダー」で、「ワールド・マスターβ」の上位が「ナイト」になる。前者は手札やエナジーがないルーラーで、ドローの代わりにドライブを行なう。後者は手札とエナジーを使うルーラーで、一般的なTCGのルールに近い。

 全てのルーラーでデッキ枚数とCNT上限枚数は共通だが、同名カード上限枚数やレジェンドカード上限枚数、デッキレベル上限、軍の指定が異なる。ハイランダーは同名カード上限枚数が1なので、全て違う名前のカードでデッキを構築する必要があるが、その代わり強力なレジェンドカードを3枚まで入れられる(他のルーラーは2枚まで)。

 また、エナジーを使わずにカードをプレイできる「ワールド・マスターα」と「アプレンティス」、「ハイランダー」では、デッキレベル上限が規定されている。デッキレベルとは、デッキの中のカードレベルの合計値のことで、例えば上限が50なら、レベル3のカードは最大でも16枚しか入れられないことになる。プレイにエナジーが不要な「ワールド・マスターα」、「アプレンティス」、「ハイランダー」では、レベル3のカードをたくさん入れれば、残り2つのルーラーよりも有利になるため、デッキレベル上限を決めることでバランスを取っているのだ。

 ちなみに、デッキレベルを-5するカード「たたりじゃーー!」というカードも第1弾では用意される。ただし、「たたりじゃーー!」をドローしたりドライブした場合、即座にそのカードを公開してプレイする必要があり、2ダメージを受ける(ルーラーのライフが2減る)。「たたりじゃー-!」を入れるかどうか、入れる場合でも何枚入れるかが、アプレンティスでのデッキ構築のポイントとなりそうだ。

 また、軍の指定にも注意したい。ゲートルーラーには5つの軍があるが、自由に軍を組み合わせられるわけではなく、アプレンティスの場合なら、2つの軍を組み合わせてデッキを構築することになる。それぞれの枚数は自由だが、1つの軍だけでデッキを作ることはできない(例えば、「ウォルナー」1枚と「アトラス」49枚とかはOK)。

 このようにゲートルーラーはデッキ構築ルールが、他のTCGに比べてややこしいが、その分、デッキ構築の腕が問われそうだ。特にデッキレベル上限があるルーラーを使う場合は、上限を超えてないかしっかり確認しておくこと。デッキレベル上限があることによって、強いカードを入れるなら、その分弱いカードも入れなくていけないことになり、大会参加者のデッキがテンプレデッキばかりになるという事態を避けられそうだ。

【デッキレベルを下げる効果を持つカードも】
第1弾で登場する特殊なイベントカード「たたりじゃー-!」。手札に入ったときやドライブでめくれたときは、必ず公開してプレイする必要がある。プレイすると2ダメージを受けるが、1枚につきデッキレベルが-5されるので、レベル3の強いカードをより多くデッキに入れられるようになる

プレイしての感想や裁定に関する情報

 説明がかなり長くなってしまったが、実際に「ゲートルーラー」に触れてみてどうだったのか、筆者の率直な感想を述べたい。まず、TCGとして面白いか面白くないかと言われると、「面白い」と思った。特に、手札という概念が存在しない「ワールド・マスターα」は、カードのプレイにコストを払うという概念もないので、これまでのTCGとは全然違うプレイ感覚になる。ドライブって、デッキトップで勝負する「単なる坊主めくりでは?」という意見もあるようだが、運を最大化するためのデッキ構築やゲートシステムによる読み合いなど、プレーヤーが関われることは意外と多いのだ。

 ただ、体験版デッキだけでは、カードプールが限られており、2種類のルーラーが使えるといっても、それぞれのルーラーに特化したデッキになっているわけではないので、物足りなさを感じる部分も大きい。また、全てのTCGを包含するというのは、さすがにちょっと言い過ぎだろうととも感じたが、異種格闘技戦的な戦いを楽しめるのは、やはり「ゲートルーラー」ならではだ。ヒーローによって、ヒーローパワーが異なり、使えるカードや戦略も変わってくる「ハースストーン」などのDCGにも似ているが、システム的な自由度についてはゲートルーラーのほうが上であろう。なんにせよ、第1弾ではまだ全部で26種類(体験デッキのルーラー2種類は除く)あるというルーラーのうち3種類だけが使えるという状況なのだ。今後のルーラーやカードプールの充実に期待したい。2年程度でルーラーが出揃うことが想定されるので、それからが真のゲートルーラーの戦いになるともいえる。

 現在、12月26日に発売される第1弾のブースターに収録されるカードが、公式インフルエンサーの動画やブログ、池っち店長のTweetなどによって毎日少しずつ公開されている最中である。公開されたカードの中には、他のカードとのコンボが楽しみなカードや属性シナジー(いわゆるロード的な効果を持つフィールド)なども登場しており、第1弾のカードがスターターデッキを含めると167種類もあることを考えると、第1弾からいろんなアーキタイプのデッキが構築できそうだ。

 全体的なプレイ感覚は、3箇所にユニットを配置できることや召喚酔いがないことを含めて、「バディファイト」に似ていると感じた。もちろん、考案者が同じなのだから、似てても不思議ではないが、1プレイにかかる時間がかなり短いのも「バディファイト」譲りで、今の時代にあったTCGだと思った。

 もちろん、不満点もある。個人的には軍によって枠のデザインが変わるのはいいが、その分統一感がなく、老眼が入ってきた私には、テキストやフレーバーテキストの字が小さく、フォントの視認性もイマイチだと感じた。メインターゲットの20~30代の方には問題ないのだろうが。

 また、カジュアルに遊ぶには現在公開されている基本的なルールだけでもなんとかなるが、「即時」イベントカードを使うタイミング(いわゆる優先権)やスタックに積まれた効果の解決順など、競技的にプレイしようとすると、現状のルールではよくわからないことも多い。ただし、あくまでもまだ正式発売まで1カ月近くある段階であり、正式発売日の12月26日には、詳細な「総合ルール」や大会運営に関する「フロアルール」も公開される予定とのことだ。

 なお、「ゲートルーラー」の公式Discord「GateRulerDiscord支部」(https://discord.gg/nAwRspS8MC)では、ルールに関する質問掲示板がある。質問へのレスポンスも早いので、ルールで気になることがあったら、公式Discordで尋ねることをお勧めする。

 実際にプレイしてみて、勘違いしやすい状況とその裁定をいくつか挙げる。公式回答を元にしているが、あくまでも総合ルール発表前であり、暫定的な回答も含まれるので、参考程度にして欲しい。

・CNTを持つカードは、CNTの能力発動条件を満たしてなくても、CNT自体は有効なので、ダメージゾーンには置かれず、墓地に置かれる。

・「時喰らいの魔神」のCNT(ターンを飛ばす能力)は、時喰らいの魔神がダメージチェックで公開される前にライフが2以下でないと発動しない。残りライフ3で、最初のチェックで「時喰らいの魔神」がめくれた場合は無効である。

・TDは、手札から場に出たときの能力であるため、場に出さないと使えないが、ODは場に出る前に、ドライブゾーン(プレイフィールド上には規定されていないが、ドライブ効果解決用の仮想的なゾーンとして存在する)で公開された時点で使えるため、OD能力だけ使って場に出さない(手札はないので、そのまま墓地に行く)こともできる。

・場に出ているユニットやセットカードの上に、新しいユニットやセットカードを置くことができる。その場合、下にあるユニットやセットカードは墓地に行く。

・相手がセットされている「デスパレート」や「アブソリュート・ベアリア」のようなイベントカードをプレイしたとき、それに対応して「フォトン・トーピード」をプレイしても、そのプレイされたセットカードを破壊することはできない(その効果も無効にならない)。「フォトン・トーピード」そのものはそのタイミングでプレイできるが、プレイされた相手のカードは、すでにセットカードではなくなっているからだ。

 また、無料でもらえる体験デッキの数が足りず入手困難な状況になっているが、12月10日頃には増産分がゲートルーラーを取り扱う各ショップに送付されるそうなので、行きつけの店などに小まめに確認しておくと入手確率が上がるだろう。さらに、秋葉原のゲートルーラーステーションでは、店頭で住所と名前を記入すると、増産分が届き次第直接体験デッキを無料で希望者に送ってくれるというサービスを開始した。秋葉原に寄れる方は、そちらを利用するのが確実だ。

 それから、公式サイトで公開されている体験デッキのPDFだが、12月3日にはその体験デッキを改造するための追加カード9種類のPDFが公開される予定とのことだ。こちらは店頭では配布されないので、お持ちのプリンターで印刷するかコンビニプリントを利用することになるが、無料の体験デッキでもとことん遊んでもらおうという、運営側の姿勢は賞賛できる(「Z/X」なども大会で使えるデッキのフリーカード冊子やPDFデータを定期的に出しているが)。

 また、正式発売の2週間前の12月12日から、一部のカードショップでプレリリース販売が行なわれる。「マジック・ザ:ギャザリング」のプレリリースとは異なり、公式でイベントが開催されるわけではなく、基本的には製品販売のみだが、それにあわせて非公認イベントを開催するショップもあるようだ。

 なお、プレリリースに先立って12月10日には、ユーザー向け発表会が行なわれ、「ゲートルーラー」の先行販売会やフリー対戦会なども開催される。

 「ゲートルーラー」は、ある意味で、これまでのTCGのいいとこ取りのようなTCGである。もちろん、もっと運要素が少ないTCGが好みの方もいるだろうし、イラストや世界観が合わないという方もいるだろうが、純粋にプレイしていて楽しいTCGであり、今後の展開が楽しみでもある。ゲームデザイン自体が、かなりユーザーの性善説によってるところが気になるが、誤解を恐れずにいえば、どんなTCGだろうと不正を働く人はいるものだ。競技性云々を追求するのではなく、昔はTCGで遊んでいたが、社会人になって離れてしまったという人が、仲間同士でまた気軽にTCGで遊びたいというのなら、「ゲートルーラー」は有力な選択肢の一つとなるだろう。また、実際のカードがなくても、VR空間内でプレイできる商業ベースのTCGというのは、筆者が知る限りゲートルーラーが初めてだ。こうしたデジタルやVRとの融合にも期待したい。

【ゲートルーラーをプレイしている様子】
体験版デッキを使って、ゲートルーラーをプレイしている様子。数分のティーチングで、すんなり遊べていた