特別企画
"敵の血潮で濡れた肩"、赤い肩のスコープドッグの前で語り合う楽しさ
2022年8月9日 00:00
モニュメントをきっかけに集まり、濃い話をする面白さ
筆者にとって「装甲騎兵ボトムズ」は一番好きなTVアニメだ。全話を収録したLDを持っており、それこそすり切れるほどに繰り返し見た。「杉山氏や池氏と『ボトムズ』について語れる」というのは筆者にとって大きな楽しみだった。わざわざ設定資料集まで持ってこれを拡げ、いなぎペアパークで出している「ウドの苦いコーヒー」を飲みながらボトムズの濃い話ができると意気込んでいた。結果として両氏はあまりボトムズは詳しくなかったが、ライター同士、そして濃い趣味や想いを持つ友人として色々な話をたっぷりすることができた。
今回筆者は「装甲騎兵ボトムズ」そして4mのロボット・スコープドッグについて2人に熱を込めて語った。「装甲騎兵ボトムズ」は、「太陽の牙ダグラム」での玩具の大ヒットを受けて、「次番組で大河原氏のやってみたいロボットを主役に」という流れがあったという。大河原氏が高橋監督達と考えたのが18m前後の巨大ロボットではなく、ロボットとして最小限の大きさ、4mというサイズだ。
番組スタッフの頭にあったのは「ジープ」。乗り捨てられるような戦場にありふれた存在で、キビキビと小回りがきくロボットだ。従来の巨大ロボが大股でのしのし歩くイメージではなく、足裏に車輪がついていてこれを回転させる「ローラーダッシュ」により、平らな地面ならば高速移動が可能。「ダグラム」に続くヒーロー性のある"顔"をあえて外しているが、顕微鏡からヒントを得た「ターレット式スコープ」で目線を演出することを可能にした。
「4mのロボットにどうやってパイロットが乗り込むか?」という問いに対し、スコープドッグは"降着ポーズ"というギミックで応えた。すね部分が前に倒れることで足が折りたたまれ全高が低くなり、コクピットが地上に近づくのだ。大河原氏は「装甲騎兵ボトムズ」製作にあたりスコープドッグの原型となる模型を製作したが、玩具メーカーのスポンサーにこの降着ポーズの受けが良かったという。
他にもスコープドッグは、胴体のハッチが大胆に開いてパイロットが中に入っているギミック、火薬の勢いで拳銃のブローバック機構のように前腕がスライドし敵にパンチをたたき込む「アームパンチ」など玩具的ギミックを盛り込んでいる。「ターンピック」という足の横についている"杭"はローラーダッシュ中に地面に突き立てることでこれを支点に高速旋回が可能だ。
これらのギミックをアニメでは効果的に使った。降着ポーズ用のギミックを高所からの落下の衝撃を吸収させる"ショックアブソーバー"に使ったり、ターンピックの設定を活かして左右に連続旋回して敵の攻撃を避け、攻撃するといったこれまでのロボットにはない動きの演出も盛り込まれた。
特にローラーダッシュは話数が進むことに演出の方で当初できないはずだったスラロームの動きも盛り込まれたりと、様々なアイディアが生まれていった。「装甲騎兵ボトムズ」はその後のロボットアニメに強い影響を与えたアニメなのだ。
また、スコープドッグは大量生産兵器なだけにキリコ達を追い詰める敵役としても多数登場した。その際の無機質なレンズの機械的な動きは、敵としての不気味さを盛り上げた。他のロボットアニメも魅力的だが、「装甲騎兵ボトムズ」のATのディテールあふれる演出は実に素晴らしい……。という話を1人で熱っぽく語った。
こういう話ができるのも杉山氏と池氏に「面白さが通じる」ということがわかるからだ。今回は「ボトムズ」の話だけでなく、鉄道の話、ゲームの話、eスポーツの話、最新玩具の話など様々な濃い話をした。いなぎペアパークから隣駅の焼き肉屋に移り、豪華なランチを食べながら話は続いた。お互いのライターとしてのこれまでの歩や、読者に向けて、プロのライターとしてのスタンスなど、4時間以上、本当に濃い話をした。
今回の「赤い肩のスコープドッグ」に関して杉山氏は「いわば"特別列車"のようなもの。それが走るから普段は別々な場所にいる鉄道ファンが集まれる。期間限定だからこそ、普段仕事で忙しい友人達が集まる良いきっかけになる」と、鉄道ファンならではの視点を語った。全くその通りだと思う。スコープドッグは2年前から立っているが、肩が赤くなったからこそ、それをきっかけにもう一度見に来たくなる、この機会に友人と会いたくなる。
今はSNSで「普段メッセージをやりとりしているけど顔も本名も知らない」という友人を持つ人も多いだろう。そういう人達が集まるきっかけの1つとして「赤い肩のスコープドッグ」は良い機会となる。現在再びコロナの感染が活発になり予断を許さない状況ではあるが、スコープドッグは10月31日まで肩が赤い状態である。この機会に友人達とこの"特別仕様"をぜひ見て欲しい。
(C)サンライズ