インタビュー

「次世代電動ガン MP5A5」インタビュー【外観編】

溶接の方向も合わせたマガジン、グリップは少し太いが握りやすさに自信アリ

 外観、手触り、重さ……あらゆるポイントで実銃を再現している「次世代電動ガン MP5A5」。さらに細部にもフォーカスしていこう。「電動ガンスタンダートタイプ MP5A5」では各部のネジが剥き出しだったが、実銃ではネジ止め跡はほとんど存在しない。

 「次世代電動ガン MA5A5」では極力目立たない場所でネジ止めしたり、ネジを隠すためだけの部品を作って隠している。また、リアサイトの周りなどの溶接痕も設計者が無可動実銃や資料を元に、手作業の溶接跡風に再現している。

 ちなみに実銃の溶接痕は職人の手作業によるものなので、1つ1つ形を変え、さらにきれいすぎず、汚すぎないように意識して、リアルな溶接痕の3Dデータを作り込む力の入れようだ。

リアサイトとこだわりの溶接跡。パターンが微妙に異なる。ちなみにリアサイトのプラスねじは実銃同様とのこと

 さらにこのリアサイトは、上下の調整と、回転して穴の大きさを4通りに変えらる。ここは「電動ガンスタンダートタイプ MP5A5」では回転だけで一緒に高さも変えられたが、実銃通りに個別の調整が可能になった。小さい穴ほど精密射撃が可能なので、状況に応じる楽しさもある。

 このリアサイトは実銃は複雑な構造で、調整も専用の特殊な治具が必要となる。しかしそこまで再現してしまうと使いにくくなるので、「次世代電動ガン MP5A5」では形状は極力再現しながらも、パーツを極力減らして簡略化しつつ再現している。調整用の治具は用意したが、治具を無くした場合でも、先の尖ったラジオペンチ等で代用可能にしてあるという。

H&Kの特徴的な、4点可動式ピープ(丸い穴)サイトを忠実に再現している
製品に付属する専用のリアサイト調整治具。銀色のレンチはモーターの調整に使う

 また、実銃と同サイズになったマガジンも妥協はない。「電動ガンスタンダートタイプ MP5A5」では背面をスポット(部分的な)溶接で留めてたが、今回は90年代の実銃同様に全溶接仕上げに変更されている。現在はレーザー溶接のように、見た目が綺麗になっている部分だが、90年代の溶接跡が目立つ形で再現。溶接の方向も、実銃同様上から下に向かっているというこだわり具合だ。

マガジンの溶接跡は、実銃同様上から下に向かってつけられている

 ちなみに、「次世代電動ガン MP5A5」と「電動ガンスタンダートタイプ MP5A5」のマガジンに互換性はない。また、スコープマウントベースなども使えない。スコープマウントベースは「次世代電動ガン MP5A5」用の専用品を開発しているということで、発売を待ちたいところだ。

 逆に「次世代電動ガン MP5A5」が実銃と違う部分はあるのだろうか?

 島村氏は「そこは電動ガンの宿命と言いますか、モーターとバッテリーをどうしても積まなければいけないという事があります。モーターを入れるグリップと、バッテリーを入れるハンドガードが多少デフォルメを施しています」と答えた。

 グリップには電動ガンに必須なモーターが組み込まれている。このため2mmほど実銃より太くなっている。ただ太くなっただけではなく、握り易さと実銃の形状を追求して、何度も造り直したとのこと。

 また、ハンドガードも実際より少しだけ大きい。これはニッケル水素バッテリーを入れる為のデフォルメだ。ただハンドガードを大きくしただけではなく、アウターバレルも切削でギリギリまで追い込んで、強度が保てる限界まで加工することで、本物に近づけられるように追求し続けたとのこと

グリップ部。モーターによるデフォルメは言われなければ気付かなかった
ハンドガードは実は実銃よりほんの少しだけ大きい。実はこのハンドガードは今後発売を予定しているリポバッテリー専用にすれば実銃再現はできたのだが、ニッケル水素バッテリーにも対応させたためにこの大きさにしたという

 最後に外観編のまとめとして2人にコメントしてもらった。

 神崎氏は、「エアソフトガンはほとんどそうなのですが、設計をしながら、実験もしていかないといけない大変さがあります。今回は粉体塗装という事で、加工の方法などで実際にどうなるか、検証して、図面に落とし込まなければならないという難しさがありました。その分、ホンモノらしさを感じて頂けると思います。普通の工業製品であればより使いやすいものを追求して設計するんですが、僕らはとにかく90年代当時の本物を再現したいため、現代の環境では使いにくいようなものを作りました。例えばストックも、途中でストップさせて長さを選べる様にもできるのですが、あえて当時の仕様で使いにくさを再現しています。そういう部分も含めて、90年代のMP5A5らしさを楽しんで頂ければと思います」と語った。

 島村氏は「持って頂ければ解りますが、まず剛性感がハンパなくあると思います。『電動ガンスタンダートタイプ MP5A5』も当時としては頑張っていましたし、ハイグレードタイプにした時にバレル基部を改修していますが、どうしても構えた時のハンドガードのギシギシ感はありました。そこがほとんどない、ガッチリした、新しいサブマシンガンのイメージを見つけてもらえると思います。『電動ガンスタンダートタイプ MP5A5』は今見るとやはり時代を感じてしまうのはどうしても拭えないんですが、しかし今回の『次世代電動ガン MP5A5』は、ホンモノ感がある、これを味わって頂けると思います。でも『電動ガンスタンダートタイプ MP5A5』にも、「軽い」、「リーズナブル」といった良さもありますから、ユーザーの選択は広がるんじゃないかと思っています」とコメントした。

 「次世代電動ガン MP5A5」は東京マルイが提示する"新たな次世代電動ガン"である。本稿はあえて外見再現のみにフォーカスしたが、次回は東京マルイが万を持して投入する「電子トリガー」とこの安全対策「Mシステム」など、「次世代電動ガン MP5A5」の内部機構を紹介するので楽しみにお待ち頂きたい。