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第14回「#遊戯王」宇宙最強カード列伝! どこでも何度でも飛び出る地獄の使者「D-HERO デストロイフェニックスガイ」が辿った運命!
2024年7月17日 00:00
- 【D-HERO デストロイフェニックスガイ】
- 2021年7月17日 登場
爆アドォォォ!アドえもんです!筆者は普段YouTubeにて遊戯王を中心にカードゲーム動画を投稿している愉快でうるさいオジサンだ。
今回もウルトラ歴史を持つ「遊戯王」カードの中で特に名高い連中を生まれた日に合わせて紹介する企画「宇宙最強カード列伝」第14回をやっていこう!
今日のカードは大人気テーマである「D-HERO」から生まれた悪魔のような存在! 一時期は出張ギミックとして数多くのデッキから飛び出し悪逆の限りを尽くしたモンスターでありながら、現代基準で考えると「いややっぱ意外と良いバランスのカードだったかも……?」とも思わせてくれる絶妙なラインを攻めたカードとなっている。
3年前の今日、2021年7月17日発売「BURST OF DESTINY」にて登場した「D-HERO デストロイフェニックスガイ(以下:デスフェニ)」が本日の主役カードになるぞ!
若い!!! この企画史上最も若い令和のカードがついに参戦!!!
アニメ「遊戯王GX」にて「D-HERO」を駆使する大人気キャラクター「エド・フェニックス」が最序盤でだけ使用した「E・HERO」の1体「E・HERO シャイニング・フェニックスガイ」をイメージしたとされるこのカードは、「自身の幅広い融合素材」、「テーマ専用の最強融合魔法」、「極悪違法融合マシーン」の3つの要素が噛み合って悪魔の如き力を奮った事で有名だ。あまりにお手軽に呼び出せる妨害カードとしての強さと、一緒に投入されるカードの出張性能の高さから、テーマ指定の融合モンスターにも関わらず数多のデッキで“とりあえず入れておこう”カードとして活躍した経歴を持つ。
「マスターデュエル」内においても活躍期間は長く、何ならOCGとの禁止制限の違いでいまだに現役カードと言っても過言ではない事から認知度はかなり高い。今回はそんな「HERO」らしく数多のデッキの元へ駆けつけていたら「HERO」らしからぬ数奇な運命を辿ってしまった彼の旅路を辿ってみたいと思う。
全部の効果が絶妙に強い! “不死鳥”の如く破壊と再生を繰り返す新時代の「D-HERO」だ!
まず最初に「D-HERO デストロイフェニックスガイ」のカタログスペックを確認していこう。
闇属性・戦士族のレベル8融合モンスターで、素材条件が「レベル6以上の「HERO」モンスター+『D-HERO』モンスター」と比較的緩めな条件で呼び出せる融合モンスターとなっている。自身は「D-HERO」に所属していながらも片方の融合素材は「HERO」であれば良いため、様々なタイプの「HERO」デッキで活躍できるコミュ力の高さがこの時点で垣間見えている。
近年では「E・HERO(エレメンタルヒーロー)」、「E-HERO(イービルヒーロー)」、「M・HERO(マスクドヒーロー)」等の各ヒーローごとに「HERO」名称が入った強力なカードが存在している事から、各カテゴリーを超越したデッキを組まれることも多くなったため、このカードもその時流に乗って生まれたのかもしれない。
このモンスターには現代カードらしく3つの強力な効果が備わっているので順番に見て行こう。
1の効果は相手の場のモンスターの攻撃力を自分の墓地の「HERO」カードの数×200ダウンさせるデバフ効果だ。一見地味なように見えるが最低でも自分の融合素材となった2体分のモンスターだけで全体400ダウンのデバフがほぼ確定されており、このカード単体でも攻撃力2900までのモンスターなら戦闘で倒せるようになるのはありがたい。また全体デバフな事で他のモンスターも自身よりワンサイズ上のモンスターを倒せる可能性が出ると考えれば絶妙に強力な効果と言えるのだ。
さらにこの効果も「D-HERO」ではなく「HERO」の数を指定している事から有効範囲が広く、融合召喚やリンク召喚で展開を伸ばすタイプの「HERO」デッキの場合は墓地にカードが溜まる速度が尋常ではないためデバフの数値もえげつない事になる場合も多い。
このカードの元ネタとされている「E・HERO シャイニング・フェニックスガイ」が「シャイニング」系譜のモンスターらしく自身のパンプ能力を持っていた一方、禍々しい姿と「デストロイ」の名前を持つこのカードが正反対のデバフ効果を持っているのは個人的にはイメージ通りのカードデザインであり、古の遊戯王オタクがちょっとエモさを感じられる能力なのだ。
2の効果はお互いのターンにフリーチェーンで自分と相手の場のカードを1枚ずつ破壊する妨害効果だ。
既存の「HERO」のエースは自由なタイミングで直接盤面を妨害できるモンスターがほとんど存在しなかったためこのカードの登場は革新的であり、「HERO」デッキの先行展開のゴールとして今でも重宝され続ける所以となっている。
また単純な破壊妨害というだけでは無いのがこの効果の重要なポイントで、“自分のカードをフリーチェーンで破壊できる”という部分が様々な最強プレイを可能としている。
例えば対象をとって効果無効妨害を行うカードに対して、対象に取られた自分のモンスターを自ら爆破する事でサクリファイスエスケープの要領でモンスター効果を通す事ができたりする。現代遊戯王ではお馴染みの「エフェクト・ヴェーラー」や「無限泡影」などの一部の手札誘発も「D-HERO デストロイフェニックスガイ」がフィールドにいる状態では機能しづらい場面も多いのだ。他にも応用方法は数多く存在し、自分から破壊する事でアドバンテージや有利な効果を発動できるカードと合わせる使い方もできる。
破壊からアドバンテージを生み出せる「破械」や「マナドゥム」等と組み合わせて展開を伸ばす事もできれば、「アーティファクト-デスサイズ」を自分で破壊する事で相手の動きを妨害できたり等、無限にシナジーを生み出せる効果なのだ。
3の効果は自身が戦闘・効果で破壊された場合に発動できる効果で、次のターンのスタンバイフェイズに墓地の「D-HERO」1体を特殊召喚するという能力だ。
「E・HERO シャイニング・フェニックスガイ」は戦闘で破壊されない耐性だったが、こちらはより“フェニックス(不死鳥)”の名に相応しい効果になっているとも言えるだろう。この効果は当然「D-HERO」モンスターである自分自身も蘇生可能なので、実質的に何度も蘇る性能をこのカードは持っている事となる。
先述した2の効果と合わせる事で、自分自身と相手の場のカードを破壊し続ければほぼ損害無く盤面を荒らし続ける事が可能であり、さらに破壊以外の効果が「デスフェニ」を襲ってきたら適当なカードと自分自身を破壊する事で簡単にエスケープが可能なのだ。
この不死鳥っぷりと1の永続打点デバフも持っている事から単純な戦闘突破の難易度も高く、本当に倒しきるのが難しいモンスターであり、盤面に一生残り続ける事で破壊とデバフが徐々に相手を追い詰めていくのが「デスフェニ」最大の強みと言える。
仮に墓地に送られたこのカードが何かしらの方法で除外されたとしても、他の「D-HERO」の蘇生は可能なため次のリソースは残ってしまうという絶望。墓地に融合素材としたモンスターが1体はいるはずなので完全にこの効果が腐るという事はほとんど無いのも強みなのだ。
完成された単体ポテンシャルの高さとダーティーで残忍な効果……ある意味ダークヒーロー全開の効果と言えるだろう。
このように持っている効果が全て強い……という最近死ぬほど目にする“現代味の溢れるカード”となっているが、このカードが最強だった大きな所以は“他のカードの影響”が非常に大きい。続いてはプレーヤーに「令和のドラグーンオブレッドアイズ」とまでに言わしめたこのカードの本当の恐ろしさを紹介していこう。
融合魔法・融合素材・融合方法……その全てが違法パワーを秘めたサポーターたち!
「デスフェニ」を最強たらしめた要因は主に3つ。見出しにも記載した融合魔法・融合素材・融合方法がそれぞれ超パワーを秘めていた事だ。
まず最初に“融合魔法”について取り上げるが、これは現在制限カードにも指定されている「D-HERO」専用の融合魔法「フュージョン・デステニー」の存在が大きく関わっている。
手札・デッキのモンスターを融合素材として「D-HERO」を融合召喚できる“デッキ融合”を可能とするカードで、「デスフェニ」よりも前に「D-HERO」が強化を受けた「DARK NEOSTORM」にて登場したカードとなる。「デスフェニ」が登場した事で1枚で簡単にこのバケモノをノーコストで呼び出しつつ、強力な墓地効果を持った「D-HERO」を一気に墓地に肥やせるカードとして価値が上がってしまったのだ。
とは言え少し古めのカードな事もあって、発動後に闇属性の「HERO」しか特殊召喚できなくなる制約と、特殊召喚した融合モンスターが次のターンのエンドフェイズに破壊されるという2つのデメリットが科される。しかし、「デスフェニ」は破壊されても簡単に蘇ってくるし、自分ターンの展開のラストに発動すればデメリットもほぼ関係ない。何なら後述するバケモノによって制約なんぞ鼻で笑うような事態になるため、スペックの古さは全く気にならないレベルと言っていい。やっぱどんなテーマであっても簡単に使えるデッキ融合はアカン……!
2つ目の要因“融合素材”についてだが、コレに関しては「D-HERO」に強いカードが星の数ほど存在するという嬉しい現状がデスフェニを支えている。「フュージョン・デステニー」でデッキから融合素材として直接墓地に送って嬉しい候補モンスターがあまりにも数多く存在するのだ。
古から「D-HERO」の墓地リソースとして数多くのデッキで採用されて来た「D-HERO ディアボリックガイ」や「D-HERO ダッシュガイ」はレベルが高いことで上級側の「HERO」モンスターとして融合素材にする事ができ、「D-HERO」側の融合素材としては「D-HERO ディバインガイ」や「D-HERO ディナイアルガイ」等の新時代カードに加え、かつて禁止カードとされていた「D-HERO ディスクガイ」など候補が山ほど存在している。
「デスフェニ」が出て来るだけでも充分脅威なのに、そこに加えて墓地リソースになるカードを一気に2枚肥やせるという現象があり得ないほど強力だったのだ。
3つ目の要因“融合方法”については……この手の話題の時に2億回登場している「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」による悪逆が最強だった事が上げられる。
自身の効果で「フュージョン」または「融合」魔法の効果をコピーできるため、今回の場合でも当然のように「“フュージョン”・デステニー」の効果をコピーして悪さができてしまった。
何より今回のデスフェニ出張が「ドラグーンオブレッドアイズ」よりもヤバい点として、融合素材となるモンスターも融合魔法もデッキに投入したとしてもそこまで不要札になりづらく、これによりどんなデッキにも入れられてしまう点が挙げられる。「ドラグーンオブレッドアイズ」の時にあった“ドラグーンを出すデッキ”が組まれるのではなく、“デッキを組んで余ったスロットにデスフェニ出張を入れる”というパターンの構築が増えたため、「デスフェニ」の全盛期はモンスターが2体余ったらとりあえず「アナコンダ」になり、そこから「デスフェニ」が飛んでくるのが当たり前の時代だったのである。
これら3つの要因が重なって生み出された「デスフェニ出張」は当然のように環境に強い影響を与えた。このカードが息巻いていた2021年秋以降の環境はもう1つの最強出張セットである「勇者」と合わさって様々なデッキがこれら出張ギミックを取り入れた構築で戦っており、中でもこの両方を取り入れる事ができつつテーマの自力も高い「幻影騎士団」や「プランキッズ」などの展開系デッキは活躍が目覚ましかったように感じる。
「ふわんだりぃず」や「エルドリッチ」等のメタを張る側のデッキも多く存在していたので一概に出張ギミックが一強と言える環境では無かったが、それでもその強さと有用性は十分すぎるほど実証されていた。その上で本家「D-HERO」デッキが大きな結果を残せてないのはちょっと悲しい気持ちになってしまうが、それでも新時代の「D-HERO」の強さが良くも悪くも大きくプレーヤーの記憶に残った期間だったと思っている。
意外と短いデスフェニの活躍期! 制限改定では関係ない「D-HERO」使い達に被害が……
さて、そんな悪さをすればリミットレギュレーションでシバき倒されるのが遊戯王OCG。当然この「デスフェニ出張」にも大幅なメスを入れられるタイミングがやってくる。
最初に動きがあったのは2022年1月1日の制限改定。このタイミングではなんと融合魔法側である「フュージョン・デステニー」が禁止カードへと指定されてしまったのだ。この規制で「アナコンダ」を使った出張ギミックはどうやっても使えなくはなったのだが、当時プレイしていた大体のプレーヤーは「アナコンダが禁止じゃないの!?」と驚いていた事を覚えている。ちなみに筆者もそうだった。
というのも直前に新時代の最強デッキ融合魔法「烙印融合」が登場した時期だったため、遅かれ早かれ極悪融合を可能にする「アナコンダ」は規制される運命だと予想されていたのだ。
しかし蓋を開けてみれば、「烙印融合」と「アナコンダ」のセットを楽しめる期間をクリスマスプレゼントされ、その代償として「フュージョン・デステニー」が1枚も使えないという状況になったのである。
環境からは当然「デスフェニ出張」は消え失せ、新時代の烙印パワーにデュエリスト達は打ち震える事になるのだが、ここで可哀想なのが普通の「D-HERO」ファンのプレーヤーだ。
当たり前だが「D-HERO」にとって「フュージョン・デステニー」は命よりも重要なカードなため、使えなくなるとデッキとしての機能はガタ落ちしてしまう。「アナコンダ」が禁止規制を受けるのであれば環境的に懸念されていた「デスフェニ」の出張としての強さは失われ、本来の職分である「D-HERO」のエースとして真っ当に戦える状態だったにも関わらず、融合側が奪われた事で「D-HERO」デッキが崩壊するという悲劇を招いたのである。
長年愛されているテーマだけあって筆者の周りにも「D-HERO」使いのプレーヤーが多く、その嘆きの声は非常に痛々しいものだった……。中には「こんな事になるならデスフェニなんて生まれなければ良かったのに!!!」とアニメのセリフでしか聞いた事が無いような発言をする者までいた始末だったので、この年の年末年始の改定はデュエリストにとって思い出深い出来事となったのである……。
次に動きがあったのが3カ月後の2022年4月1日のリミットレギュレーション。ここではついに諸悪の根源である「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」が禁止カードへと指定される。上記で紹介した直前の環境は「烙印融合」と「アナコンダ」のお試し期間だったのだ。
そして「アナコンダ」の投獄と同時に「フュージョン・ディスティニー」が制限カードとして爆速で帰還する事になる。コレに関しては仕方のないことだが、正直「なんでこんな事したんだろう?」と感じたプレーヤーが多かったからか歓喜の声よりも失笑しているデュエリストの方が多かったイメージだ。しかも制限カードとしての復帰なので以前よりは格段に弱体化をしているという結末だったため、環境では使われなくなり「D-HERO」使いは悲しむという何とも後味の悪い結果だけが残ってしまった……。
しかし!!! ここまではOCGの「デスフェニ」の物語!!! 「デスフェニ出張」ギミックがしっかり大活躍した歴史を持ちながら、「マスターデュエル」ではOCGと全く違う結末を迎えたのをご存じだろうか?
当然「デスフェニ」は「マスターデュエル」でも登場当初から大活躍し、シングル戦という特性も相まって環境を掌握していたのだが、その後規制を受けたカードが「D-HERO ディバインガイ」の禁止化と「フュージョン・デステニー」の準制限化とOCGとは異なる驚くべき改定だったのである。しかもこの改定がクリティカルに作用し、出張性能を良い感じにパワーダウンさせたのだから驚きだ。
元々デッキ融合による墓地リソース+デスフェニの着地という2つが行なわれることがヤバイポイントだった「デスフェニ出張」の中でも、ダイレクトに2枚の未確定カードを増やせる「ディバインガイ」の存在は確かに大きかったが、そこだけをダイレクトに規制する事で「デスフェニ出張」としての可能性も「D-HERO」としてのテーマの強みすらも守ったのである!(ついでに「アナコンダ」の命も)
この上手すぎる改定によって現在の「マスターデュエル」では「デスフェニ出張」が未だ健在ではあるモノの、「ディバインガイ」抜きではカードパワーのインフレに少し追いつけていない状態で“入るデッキには入る”という一番いいポジションを獲得している。「D-HERO」も「フュージョン・ディスティニー」が2枚は使える事によりテーマ性を十分に楽しめるため、「D-HERO」に関してはOCGよりも良い状態で遊ぶことができる環境なのだ。制限改定の違いだけでここまでゲーム体験や結果に違いをもたらすとは……遊戯王は本当に奥深いゲームである。
という訳で今回は色々と訳ありな「HERO」の1人「D-HERO デストロイフェニックスガイ」の歴史について振り返ってみた。改めて見ると最強カードなのは違いないが周りのサポートに支えられている感じも強く、最終的にはOCGと「マスターデュエル」の両方で今も十分活躍できる状態なのだから絶妙なパワーバランスのカードだったのかもしれない。よくよく考えれば出張ギミックとして使われていた時も汎用カードの「墓穴の指名者」で除外されて泡吹いていたり、後に登場したテーマ「深淵の獣(ビーステッド)」がとんでもなく弱点だったりと、意外と可愛げのあるカードだったのかもと今更ながら思う。
とは言え「出張ギミック」としての強さは失われても「HERO」内では「M・HERO ダーク・ロウ」と並んで最強制圧モンスターの一角を成しているので今後も活躍の機会は多いだろう。弱点などが増えた分プレーヤーの采配が「デスフェニ」の強さを左右するので、結果的に見れば面白味の強いカードになったのだと筆者は感じた!
こんな感じで今後も(色んな意味で)ヤバすぎるカードの紹介記事を書いていく予定なので、その時はチェックしてくれると嬉しい!それではグッッッッ爆アドォォォ!!!
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