レビュー
アクションフィギュア「超合金魂 宇宙海賊戦艦 アルカディア号」レビュー
触れて再確認した、魂揺さぶられる艦(ふね)の力
2020年12月16日 00:00
「君が気に入ったならこの船に乗れ!最強の宇宙海賊戦艦アルカディア号、超合金魂で発進!」というキャッチコピーを読んだ瞬間ポチッとしてしまったヘタ仙人です。
今回ご紹介するのはTVアニメ「宇宙海賊キャプテンハーロック」に登場する海賊船アルカディア号。この艦はアニメ映画「劇場版銀河鉄道999」に登場したドクロマークを船首に持つダークグリーン基調のバージョンと、テレビシリーズや漫画に登場した本製品のバージョンなどが存在しており、40後半から50代の日本人男性にとっては、その名を聞いただけで魂揺さぶられる艦(ふね)であります。
とりわけこの、TV(1978年3月~1979年2月放送)や漫画(秋田書店刊 全5巻)に登場したバージョンのアルカディア号は、私事で恐縮ですが筆者にとっては初めて見た“海賊船”であり、ハーロックの強くて自由で、そして優しいながら、どこか孤独な影を漂わせた雰囲気に、心惹かれたものでした。
とはいえ、それだけではさすがに購入までには至らなかったわけで、そこにはやはり、当時の思い出を持つ人間を直撃するようなギミックだったり仕様が満載されている点に“やられ”てしまったわけです。そして、手にとってさらに「嗚呼! 買ってよかった~!」と心から思えるポイントが盛りだくさんでした。では、その魅力をできる限りお伝えしていきましょう。
「宇宙海賊キャプテンハーロック」について
本題に入る前に、「宇宙海賊キャプテンハーロック」について簡単に。説明書の記載を見ますと、この作品は1977年に秋田書店「プレイコミック」にて連載が開始され、1978年からアニメ放送が始まっています。
ストーリーは漫画とアニメでは少し登場人物などが違うのですが、共通点は、「マゾーン」と呼ばれる宇宙からの侵略者に対し、ハーロック達宇宙海賊が戦うというもの。マゾーンはまだ大規模侵攻はしていないのですが、「ペナント」と呼ばれる謎の球体を地球に設置するなど着々とその準備を進めています。
一方で地球人たちは堕落しきっており、マゾーンの危機には無関心。その中で唯一、マゾーンに対抗しようとしているのが、おたずね者であるキャプテンハーロックとアルカディア号の乗組員だというわけです。文明に飼いならされ内向的になっている(ことにすら気づかない)地球人と、自由を求めて生きるハーロックの対比が、この作品の醍醐味だと個人的には感じています。
箱のでかさでまず満足
本製品は、その箱からして魅力が漂ってしまうのです。デカい。アルカディア号本体が全長約430mmの大型アイテムなので、箱も実測約480mmです。デザインも、船首から見たアルカディア号に、放送当時と変わらぬ姿のキャプテンハーロックが印刷されていて、配送用のダンボールから抱え出し、しばし頷きながら眺めてしまいました。
そしてまた、箱を開けてジーンとしてしまうわけです。その理由がこちら。説明書です。
さてこの説明書、製品の取扱方法はもちろんですが、作品解説やハーロックの名セリフ集も収録されているのがこれまた素晴らしい。井上真樹夫さん演じるハーロックの声が蘇ってくるかのよう……なのですが、後述しますが製品をいじれば、実際に蘇ってくる仕様になっており、もはや感謝しかありません。
内容物はこのほか、台座といくつかのパーツ、そしてリモコンで構成されています。
そしてついに、本体を取り出すという、“開封の儀”最大のクライマックスにさしかかりました。手に持った瞬間の感想は「お、重い」でした。
そしてここでちょっとした事件が。説明書に記載されている通り、本体艦底に電池を入れた後、艦底にあるスイッチが目に入り、なんの気無しにオンにしたところ、「ピポポポポポポ」という起動音が! あの、アルカディア号の鼓動音が! それはまあ、スイッチを押せば起動するのは当たり前ではありますが、意図せずにオンにしただけに不意打ちを食らったような、アルカディア号がまさに自ら起動したような、そんな気になってしまったのです(劇中のアルカディア号は、しばしハーロックの意思さえ介在しない形で、勝手に動くのです)。
本来ならば砲塔やフィン類を取り付けて厳かに起動すべきではありましたが、この、不意を突かれたアルカディア号との出会い方は、自分にとってはひとつの事件でした。妄想? そうですよ。その通り。妄想は、立体物の、ひとつの大事なパーツなのです。
あとは、パルサーカノン(主砲)やフィン、主翼を取り付ければ完成です。
(C)松本零士・東映アニメーション