レビュー
創造することで想像を超えていく「レゴ ポルシェ 911」レビュー
2021年3月12日 11:34
メカニックにこだわるならスポーティなターボモデル
ターボモデルはエンジンルームの密度や豪快なウィングなどカスタムメカニックが充実している。シャープなリアウィンドや後部の構成も必見の出来となっている。
特にエンジン回りはターボチャージャーをはじめとした濃密なエンジンルームが再現され、圧巻の一言だ。
ルーフパーツとリアシャフトパーツ、作成してラストスパート。リアシャフトパーツは安定感ある構成で、後述するタルガモデルと比較すると面白さがさらに深まる部位となっている。
そして、フェンダーとタイヤ、ナンバープレートを付けて完成。
クラシカルな雰囲気とファッショナブルなデザインが魅力のタルガモデル
タルガモデルは取り外し可能なルーフとモデルとなった「ポルシェ911」の仕様を再現したロールケージ、フラットな後部が特徴的だ。スポーティなターボモデルよりもカジュアルな外観で、開放感あるオープンカーならではの魅力が詰まっている。
今回、完成させたターボモデルのパーツを分解して、再度タルガモデルに組み替えている。共通するピースを使っているため、細かな違いが見える。特にリアシャフトはモデルに合わせた長さに調整され、それぞれのモデルのこだわりが感じられた。
ピースの構成は近いが、基盤となるピースが違うだけでがらりと印象が変わる。ターボモデルの厚みのあるフェンダーは取り外すため、その分出っ張ってしまうタイヤ位置を調整している。
それぞれのパーツは共通のピースを使いながら、新しいパーツを組み上げていく感じで楽しさがある。「一度完成したものを壊すのがもったいない」と思ってしまう筆者にとって「スクラップ&ビルド」の楽しさを改めて感じた。
「レゴ ポルシェ911」はかつてレゴで遊んでいた人も大満足できるアイテムとなっている。小さいピースを組んで進めていくほどに、一つのマテリアルが出来上がり、そして全体を構成していく流れの中に様々な発見と驚きが秘められている。組み上がったパーツを見て思わず手を止めて眺めてしまう。ピース一つが持つ仕事を分析したくなる。
そして、完成した時のボリューム感と「できた!」という確かな達成感。白と黒のクラシカルな「ポルシェ911」の造形美と細かいメカニックの機能美が濃縮されている。
筆者はオートアートのようなダイキャストモデルのモデルカーに触れてきた。質感や造形の緻密にして精密なプロダクトに心酔し、書籍では得られない立体物ならではの見地を第一に見てきた。それは「現実のものをミニカーに落とし込むか」という想像を膨らませる魅力がある。しかし、「レゴ ポルシェ911」は「レゴからいかにして実車に近づけるか」という創造する魅力がカーモデルとは異なる興奮を呼び起こす。レゴの創造する魅力を最大限に引き出しながら、「ポルシェ911」を知る人あるいはスポーツカーの知識を聞きかじった人が思わず唸るような再現がある。知識や想像の外側からくる刺激がレゴだからこそできた、レゴでなければできないプレイバリューだと実感した。
好奇心と探求心、そして情熱を呼び覚ます大人もハマるレゴの今後のラインナップにも目が離せない。
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