特別企画

タミヤのRCカーに挑戦! 「コミカル アバンテ」を組み立てる

本格RCならではの機構の詰まったシャーシを組み立てる

 いよいよ組み立てていこう。4WD、ダブルウィッシュボーンサスペンションというと難しく感じてしまうが、そこはタミヤのRCキットなので、組み立て説明書をキチンと読み、順番通りに進めれば初心者でもきちんと完成させられるようになっている。

【2つの組み立て説明書】
パッケージを開けるとギッシリとパーツが詰まっている。説明書は車体である「シャーシ」と上に乗る「ボディ」でそれぞれわかれている

 パーツ点数が多いが、組み立て説明書は部品を原寸大で示しているところがあり、そこに部品を当てはめれば間違えないようになっている。RCカーを長く作り続けているタミヤならではのノウハウもじっくり感じることができる。ビスに応じてドライバーの太さを使いわけ、ネジ山を潰さない事も大切だ。

 また、部品をランナーから切り離す際に、ニッパーの刃の外を部品側に向けてギリギリでカットすれば、カッターでの処理が少なく済む。

【説明書に合わせてビスを選別】
説明書に原寸大で部品が描かれているので、部品を間違わない
【部品をランナーから切り離す】
RCカーは可動する部品が多いので、部品の切り口はキレイに処理したい

 前述の通り、「コミカル アバンテ」はギヤを組み合わせてモーターの駆動力を前後に伝える「GF-01CBシャーシ」を採用している。ギヤを車体に配置していくことで、様々な大きさのギヤによってモーターの駆動が前後のタイヤに伝わる様をしっかり確認できる。

【ギヤを取り付ける】
いくつものギヤを取り付ける。1つのギヤを動かすと他のギヤが連動する

 次はサスペション。「コミカル アバンテ」はダブルウィッシュボーンにオイルダンパーという本格的な構造を採用している。それでいながら組み立てやすく、作っていて非常に楽しい。

 オイルダンパーはピストンの中に付属のダンパーオイルを注ぎ、空気を抜いて(エア抜き)ゴムのシールを乗せて密閉、ハミ出した分をテッシュで拭き取る。組み立てた後、サスペンションが動く複雑な動作が楽しくて意味なく動かしてしまう。

【ダンパーとサスペション】
独立して動くアームや、ダンパーなど部品が組み合わさって動き、衝撃を吸収する様が想像できる

 次にシャーシにサーボ、スピードコントローラを組み込んでいく。組み込む前にセットアップが必要なので、プロポの取扱説明書に沿って行なう。「コミカルアバンテ」はステアリングサーボを上下逆さに取り付けるので、プロポのリバーススイッチの位置を確認する。

【サーボ、スピードコントローラ】
送信機の赤いLEDの下のダイヤル「スロットルトリム」は真ん中に合わせる。その下がリバーススイッチ
☆★のマークが付いているのが、車体下部から見たステアリングサーボ

 そしてタイヤを取り付ける。「コミカル アバンテ」の特徴であるオフロード用の大きなタイヤも作っていて楽しい部分だ。ホイルが2ピースになっていてとても格好良い。ゴムタイヤをはめ込み、シャーシに取り付けると、もう誰が見てもRCカーだ。車輪を1つ回すと、デフギヤの動きで反対側が逆回転するのも面白い。このデフギヤの働きで、安定したコーナリングが行なえるのだ。

 さらにフロントのバンパーとライトを組み立て、シャーシの完成となった。

【タイヤ】
コミカルシリーズの大きな特徴の大型タイヤ

 組み立てて感じるのはやはり部品の精度の高さだ。プラモデルでどうしてもうまく部品が合わず削ったり、形を整えたりする場合が今でもあるが、「コミカル アバンテ」では決められた場所に決められた部品を配置すればきっちり組み上がる。これは改めてタミヤの高い技術力を実感できるところだ。

 特にRCカーは高速で走り、キビキビと曲がる。高い部品の精度を要求する。もし部品の精度が甘かったらただ組み立てただけでは、まっすぐ走らなかったり、ギヤが回らなくなってしまうだろう。今回組み立ててそういう部分はなく、とてもスムーズに動いた。1カ所だけタイヤと基部がこすれてしまったが、ネジをしっかり締め直したらスムーズに動いた。きちんと組み上げるとしっかり動く、この気持ちよさが良いのだ。

 ホビー商品の中には自分が手を入れないときちんと完成しない、経験と技術を要求するものも少なくない。しかし「コミカル アバンテ」はそういったハードルの高さは感じなかった。

 それほどメカに詳しくなかったり、RCカーの初心者でも説明書通りに組み上げれば複雑なギヤも、連動して動くステアリングやサスペションも、しっかり動くのだ。自分の力で本格的なRCカーがきちんと組み上がる。この満足感は、大きな魅力だ。

プラモデル感覚のドレスアップも楽しいボディ、チューンナップにも挑戦

 シャーシの次は、ボディの組み立てだ。RCカーのボディはポリカーボネートという丈夫でしなやかな素材で成型されている。透明のポリカーボネート製ボディは塗装する必要があるが、今回の組み立てキット「コミカル アバンテ」は予めボディカラーの青が塗装されており、ポリカーボネート専用カラーの臭いなど家での作業が困難なユーザーに嬉しい配慮がなされている。ステッカーを切って貼っていくだけで、誰でも手軽に完成させられる。オリジナルの塗装を楽しみたいユーザー向けには、未塗装のボディも別売りされている。

【ボディ】
塗装済みのボディ
「RCスペアパーツ No.1655 SP.1655 1/10RC コミカル アバンテ スペアボディセット」2,860円(税込)
ポリカーボネートは硬くてしなやかなので切り離すのに多少コツがいるが、予め余白を多めに切り離すと作業しやすい
ユニセックスなデザインが秀逸なドライバー。タミヤグランプリに出場する場合、レギュレーションでドライバーは必ず乗せなくてはならない

 これで一応は完成。ここから筆者が用意したチューンナップパーツを組み込んでいく。用意したパーツは、

「ホップアップオプションズ No.929 OP.929 ダートチューンモーター(27T)」
「ホップアップオプションズ No.1924 OP.1924 GF-01 フルベアリングセット」
「RCスペアパーツ No.808 SP.808 TG10 Rロングホイールアクスル」
「ホップアップオプションズ No.909 OP.909 タミヤLEDライトユニット(TLU-01)」
「ホップアップオプションズ No.912
OP.912 タミヤLEDライト(φ3オレンジ)」

である。

【チューンナップパーツ】
ダートチューンモーター。モーターにはスポンジが同梱されており、取り付けの際には、小石などが侵入しない様にスポンジをかぶせる。モーターは最初無負荷の慣らし運転が必要なので取扱説明書に従って行なう
「ホップアップオプションズ No.1924 OP.1924 GF-01 フルベアリングセット」3,300円(税込)。ベアリングセットは車種に合わせて種類があるので、適応する物を購入する
黒い樹脂製のフロントアップライトに、白い樹脂製ベアリング(左)と今回購入した「フルベアリングセット」の金属製ベアリング(右)をはめた状態の比較
「RCスペアパーツ No.808 SP.808 TG10 Rロングホイールアクスル」495円(税込)。フロントアップライトに取り付けた状態。左の銀色がキット付属の「ホイールアクスル」で右のガンメタルカラーが「ロングホイールアクスル」

 「コミカルアバンテ」は車輪が大きくてホイールベース(前後の車輪の間隔)が短いので転倒しやすい。「ロングホイールアクスル」を使うことでトレッド(左右のタイヤの間隔)を広げ、転倒しにくくなる。タイヤの付け根のハブも、ロングホイールアクスル用に長い物に変えるのを忘れないようにしたい。

【ライト】
「ホップアップオプションズ No.909 OP.909 タミヤLEDライトユニット(TLU-01)」3,740円(税込)
「ホップアップオプションズ No.912 OP.912 タミヤLEDライト(φ3オレンジ)」880円(税込)
電飾をつけるとカッコイイ
これでついに完成だ

 電装はハードルが高く感じる方もいるかもしれないが、このセットを説明書通りに取り付けるだけで、難しい加工無しにライトを点けられる。こうして筆者の愛車が完成した。

 その名前の通り、可愛いビジュアルの「コミカルアバンテ」だが、モノコックシャーシの4WDメカはをはじめ、非常に造りごたえがある組み立てキットだった。それぞれのパーツの役割を知って、RCカーについてより詳しい知見を得られるのは無論だが、そこから広げてチューンナップしたり、クラッシュした部分を直したりといった、より奥深い楽しさを味わえるからだ。なによりも、世界でたった1台、自分だけのRCカーはとても愛おしい。このマシンで早速走ってみたい。