特別企画
タミヤのRCカーに挑戦! ついにレース参戦! 新北総RCサーキット「タミヤチャレンジカップ北総杯2021最終戦」で最新のRCレースシーンを見る
2022年1月7日 00:00
2021年は、レース参加へ向けてタミヤのツーリングRCカー「TT-02シャーシ NSX」を導入した筆者だったが、コロナ禍で予定していたレースの中止が続き、中々参加することが出来なかった。しかし年末になってようやく12月12日に千葉県富里市御料の「新北総サーキット」で開催された「タミヤチャレンジカップ 北総杯」の2021年最終戦に参加することができた。
「タミヤのRCカーに挑戦!」はレース参加をし、その経験を活かしてRC技術を向上、RCレースの面白さを伝えるというのが目的だったが、コロナ禍のため、メインである「レース」に参加できない状況が続いていた。今回ようやく筆者も他の選手と肩を並べて走ることができた。新北総サーキットのコースレイアウトや、行なわれたレースの特徴を中心にレポートしていきたい。RCカーならではのレースの楽しさを感じて頂ければ幸いだ。
地方レースから掛川ファイナルへ~「タミヤチャレンジカップ」とは?
タミヤのRCカーのレースには「タミヤグランプリ」と、「タミヤチャレンジカップ」がある。この2つの大きな違いは“主催者”だ。「タミヤグランプリ」がタミヤ主催による公式レースに対し、「タミヤチャレンジカップ」はタミヤから認可を得た「TRF(タミヤレーシングファクトリー)プロジェクトショップ」にて開催される。プレーヤーはショップが開催するレースに参加申し込みをし、レギュレーションに従ってレースを繰り広げていく。
「タミヤチャレンジカップ」のレギュレーションは「タミヤグランプリ」に準じた統一レギュレーションであり、ツーリングカー、Mシャーシ、フォーミュラマシンといったクラス分けも同一のものとなっている。「タミヤチャレンジカップ」に挑戦し各クラスで優秀な成績を記録したプレーヤーにはポイントが与えられる。年間を通じ様々な「タミヤチャレンジカップ」に挑戦したプレーヤーの上位者は、静岡県掛川のタミヤサーキットで開催される「タミチャレファイナルレース」(2020年度はコロナ禍で中止)へ出場できる資格を得られるのだ。
「タミチャレ」は全国大会につながっているため様々なプレーヤーが参加するRC業界を活性化させる試みとも言える。筆者の「組み立ててレースに参加してRC文化を伝える」という目標にぴったりのレースだ。
大きなカーブとコーナー、ヘアピンの複合で構成されたテクニカルコース
12月12日に「タミヤチャレンジカップ 北総杯」が行なわれた「新北総RCサーキット」は、スターティンググリッドが緩やかなカーブに備えられていて、長い直線がない。操縦台から反対側のバックストレートも短めで、全体的にコーナーで構成された中低速のテクニカルコースになっている。
スタートしてから大きな半径のコーナーを加速し、直角に曲がる部分のシケインを巧く切り返していかにバックストレートに繋げるかが序盤のポイントになる。このシケインで停まってしまい、大きくタイムロスする車両は多く見られた。このコースでの難所と言えるポイントだ。
その短い直線部分の出口をUターンに近い角度で曲がると、コーナーが連続するゾーンに突入。そこから短い直線を経て大きなコーナーへ戻るが、直前がヘアピンになっている。ここで減速と加速への切り替えを巧く行なって立ち上がることで、続く周回にスピードを乗せられる。
各クラスでは3分間のという時間を設定しての走行を行なう形式で予選が行なわれ、その際に各選手の走りを見ることができた。注目するのはラップタイム。ツーリングカーで行なわれる「GTクラス」では1周のベストラップが15秒台~16秒台、フォーミュラタイプの「F1クラス」、「FEクラス」が16秒台、ツーリングカーでモーターの回転数が抑えられた「ZEROクラス」、前輪駆動か後輪駆動のコンパクトな「Mクラス」でも17秒台でこの難しいコースを周回していた。
長い直線の高速サーキットだとモーターのパワーが大きいクラスとスピードの違いが出て、4秒以上ラップタイムの差があるが、新北総RCサーキットの場合そこまで差が出ないのが確認できた。これはカーブが多くマシンのパワーを全開にできる場所が少ないことを指す。全体的にこれまで走ってきたコースに比べて、加減速のメリハリと切り返しのハンドリングテクニックが要求されると感じた。
そしてこのコースは、土地の沈降からくるひび割れという路面状況も大きな特徴だ。バンピーでスリッピーな、つまり跳ねやすくて滑りやすい。タイヤがグリップしにくく、制御が難しい路面となっている。このため、路面に対応するサスペンションとタイヤのセッティングも重要になる。
実際に走ってみて、コーナーとコーナーの間のスピードの加減と、Uターンに近いハンドリングを要求される大きなヘアピンでの切り返しが難所だと感じた。総じて中~上級者向けのコースと言えるだろう。
レースで前走車を抜くパッシングポイントとしては、コース幅に余裕があってスピードを乗せやすい手前の大型カーブがオーバーテイクしやすく感じられる。何レースか撮影しながらコースサイドでマーシャルとして立った感想として、レースを観戦する場合は、各コーナーの切り返しと、そこからの立ち上がりが注目ポイントだと実感した。
サーキットの特色溢れる「タミヤチャレンジカップ北総杯」。混戦のGT&M、フォーミュラも高レベル!
12月12日の「タミヤチャレンジカップ 北総杯」で行なわれたカテゴリーは、「タミチャレGT」、「タミチャレM」、「タミチャレZERO」、「タミチャレF1」、「タミチャレFE」の5つだ。これらカテゴリーは走る車種によってわかれる。まず各カテゴリーと、参加できる車種のイメージとして代表的な商品を挙げていこう。
現状、タミヤチャレンジカップは全国的に、「タミチャレファイナル」の対象となる、オンロードツーリングカーとコンパクトカーによる「GT」、「M」、「ZERO」が特に盛り上がっていて北総杯もその傾向が強い。また、今回行なわれたフォーミュラーのF1、FEは台数が少ないもののGTクラスと同等のタイムで競っているのでレベルが高いこともわかる。
・「GTクラス」
ツーリングカーで行なわれ、カスタマイズ、チューンの幅も広い。「新北総サーキット最速」を決めるレースだと言えるだろう。
・「Mクラス」
ツーリングカーよりやや小型のシャーシに前輪駆動か後輪駆動のメカを積んだ「コンパクトツーリングカー」によるクラス。GTに比べトップスピードの差がなく、各所でテールツーノーズの激戦が繰り広げられた。
・「ZEROクラス」
タミヤの公式サイトで「これからRCレースを始めようとしている方にオススメのクラス」と分類されている、ツーリングカーによるクラス。しかし今回の「北総杯」で純粋に初心者だったのは筆者のみ。
結果として「北総杯ZEROクラス」の場合は、GTに比べてよりチューンナップやカスタマイズの幅が狭いクラスとなった。モーターが「ライトチューンモーター」に指定されており、最高速が若干抑えられているので、コースに慣れていない人が参戦するのであればやはり「ZEROクラス」からになるだろう。
・「F1クラス」
車輪がボディから出たフォーミュラタイプ、F1によるクラス。今回は挑戦者が少なく、3台のエントリーとなった。サスペンションやタイヤのセッティングの幅が限られるので、バンピーでスリッピーな路面への対応は難しい筈だが、ツーリングカーと同様のスピードで走っているのに驚かされた。
・「FEクラス」
TC-01シャーシ フォーミュラEを使ったワンメイクによるクラスは4台がエントリー。F1同様、セッティングは難しそうだが、やはりツーリングカーに互するスピードで周回していた。
「タミチャレ 北総杯」は、新北総サーキットの他のレースにも参加したり、練習に通った顔なじみのメンバーが多いのが特徴だ。和気あいあいとした、新規参加者である筆者にも居心地が良い空間だった。複数のカテゴリーにまたがって参加する方も多く、速さにこだわって勝利をトコトン追求するというよりは、レースそのもの、RCカーを走らせること自体を楽しむという雰囲気が感じられた。
新しく使って良かったタイヤの情報を共有したり、みんなで速くなろうという空気感は、人より速く走ろうと競い合うレースではあまり見られない様に思う。同時に、みんなでレースを楽しむ為にこそ、走る時には真剣に打ち込んでいることが、各車ほとんど差のないベストラップのタイムに表れている。
残り時間が少なくなって思わず「最下位はイヤだ!」というかけ声が洩れたり、お互いの走りを知っているからこその、実車レースさながらの駈け引きもあり、RCカーを楽しんでいるのは、端で見ていても伝わって来た。総じて、その場の雰囲気を味わいながら見ているだけでも楽しめるレースだった。
結果は周回遅れ、挑戦する気持ちも強くなったレース参加
ここからは筆者自身のレース体験と、特に印象に残ったレースを書き出していこう。タムタムやラジコンアリーナでの練習で、それなりに上達してきたので、あまりコースアウトせずに走れれば良いと思っていたが、実際にレースとなると、自分がコントロールできるスピードとはが全く違うスピードでレースが進行する事に気付かされた。
他のマシンに同じスピードで付いていこうとするとコースアウトの連続という結果になってしまった。リザルトを確認すると、他の参加者のベストラップが17~18秒台に対して35秒台と倍以上の時間がかかっていた。
自分なりに考えると、独りで走る場合には操縦できる限界の中で思い通りに走れるのに対し、レースでは他のマシンとの相対速度に合わせて走らなくてはならない。付いていこうと必死になるほどコースアウトして遅れるという悪循環にハマってしまうのだ。
当たり前のことなのだが、実際に走ってみると、その差が歴然と目に見えた。今後の参考にするため、「ZEROクラス」優勝者のワカヤマさんに話を聞いてみた。ワカヤマさんは「TA-07」シャーシ、レーシングスリックタイヤで今回参戦した。モーターの取り付け位置を変えられるといったカスタマイズ性の高いシャーシに標準的なタイヤを使用している。筆者の「NSX」もカスタマイズパーツをかなり投入しているので、マシンの性能には大きな差はないと感じた。コースを走った経験によるセッティングの煮詰め方で大きな開きが出ている様だ。
ワカヤマさんは小学生の頃にRCブームを経験した世代で、10年程前にRCカーを再開、5~6年前はかなり走り込んだという。最近は月に1回、レース当日に練習して参加するだけとのこと。この走り込みの経験が今回の優勝につながったのだろう。まずは走り込み、というのが話をして得た感想だ。