特別企画
タミヤのRCカーに挑戦! 原点に立ち戻りカスタマイズの基礎を考える! RCカーはどんなパーツで構成されて、今求める方向性は何か?
2021年10月25日 00:00
組み立て、サーキットデビュー、と続いたタミヤのツーリングRCカー TT-02シャーシ「NSX」チャレンジ。今度はレースに参加してみたいところだが、非常事態宣言延長に伴って、RCカーの世界でも引き続きイベントの延期、中止が続いている。そこで今回は、「カスタマイズ」を真っ正面から取り上げていきたい。
RCカーは、説明書の通りに組み立てて少し慣れれば、誰でも「走る、曲がる、止まる」といった走行が可能だ。前回お伝えした様に、ノーマルのままでも、専用コースをレースの様なスピードで走行するために充分な性能を備えている。
RCカーの組み立てキットは多くの人が購入しやすい価格で、組み立てやすく、メンテナンスや調整も容易になっている。しかしそれだけがRCカーの楽しみではない。部品を別売りの物に交換することも楽しみの1つだ。タミヤからはその為に「ホップアップオプションズ」シリーズとしてRCカーのカスタムパーツが販売されている。別売りのカスタムパーツ「ホップアップオプションズ」を導入することで、走行性能が向上したり、より細かく調整を行なえるようになり、自分にあった走行特性を持たせたりできる。部品そのものを耐久性のあるものに変えたり、衝撃に強い構造にすることもできる。もちろん、単純に見た目が変わってカッコ良くできるパーツもある。
実車で部品を変えたりしてチューニング(カスタマイズ)するのは部品そのものが高価だし、安全性にも関係するので一般のドライバーがおいそれとできないことも多い。しかしRCカーでは、別売りのカスタムパーツを購入して説明書通りに組み込めば誰でも性能を向上させるカスタマイズが可能になる。そのうえで試走を繰り返すことで"自分の走り"を追求できるようになる。
これまでも筆者は「コミカルアバンテ」、「NSX」でカスタムパーツを組み込んでいるが、今回はあえて原点に立ち戻り、改めて大上段から「カスタマイズとはどういうものか」を語っていきたい。RCカーのパーツ構成をしっかり取り上げ、そのうえで自分がこだわった「タイヤの接地のアプローチ」を語っていきたい。
バッテリー、ギア、モーターにサスペション……。様々な選択で"自分のマシン"を組み上げる楽しさ
そもそも「カスタマイズ」を行なうための「カスタムパーツ」とはなんだろう? 総論としてカスタムパーツは、組み立てキットのコストパフォーマンスに優れたノーマルパーツに比べ、多少高価だが、材質、デザイン、重量、剛性などでより優れた別売り部品だ。今回はカスタマイズをテーマにしているので、この機会にRCカーはどんなパーツで構成されているのかの基本的な要素を紹介していきたい。
まず、RCカーは走行に「バッテリー」に充電した電力を用いる。バッテリーは「ニカド」と「ニッケル水素」、「リチウム」といった種類がある。「ニカドバッテリー」は急速充電に適し、優れた放電特性、扱いやすいパワー特性を持ち、ビギナードライバーに最適だ。オンロードカーからオフロードバギーまで車種を選ばず幅広く使われている。
「リチウムバッテリー」は急速充電に適し、大放電が可能な優れた放電特性を持つとともに、高い安全性も特徴だ。バッテリーを放置しておくことで蓄えていた電力が減ってしまう「自己放電」が非常に少ない。さらにニカドやニッケル水素バッテリーでは顕著な、完全に放電しない状態で再充電を行なうことで蓄電量が低下していく「メモリー効果」が発生しないため、放電器を使用して電池のコンディションを整えるなどのメンテナンスが不要で、約1000回もの充放電が可能となっている。それぞれ利点があり、自分にあったバッテリーを選ぶ事ができる。
そしてバッテリーから供給された電力は、「スピードコントローラー」という、自動車のアクセルとブレーキの役割を兼ねた回路を通ってモーターへ供給される。「スピードコントローラー」は、冷却用ファンの有無や、スロットルの位置を記憶させてアクセルやブレーキをコース状態に応じて変えるプリセット機能、バッテリーの状態に応じて電源をカットする機能などの違いがあり、予算や好みに応じて選ぶ事ができる。
RCカーのエンジンにあたる「モーター」は、キット標準の「540モーター」も永遠のベストセラーと言っていい信頼性とパフォーマンスで、サーキットによっては、「540モーター」限定でのレースが盛んなほどだ。タミヤではさらにトルクや最高速などを追求したカスタムモーターや、消耗品である「ブラシ」を省いてメンテナンス性を向上させたレーシーな「ブラシレスモーター」も用意している。
「モーター」にはピニオンギヤと呼ばれるギヤ(歯車)が付いている。その小さなピニオンギヤが回転し、連動してより大きなスパーギヤが動く事でモーターの動力をタイヤに伝え、回転させる。この際にタイヤが1回転するのに必要なモーターの回転数を示す、ギヤ同士の歯車の比率を「ギヤ比」と言い、一部を除いて変速機の無いRCカーの走行の性質を決める大事な要素となる。
一般的にギヤ比を大きくする(ピニオンギヤの歯数を減らす)と、加速が良くなる代わりに最高速度が遅く、走行可能時間が増え、ギヤ比を小さくすると逆になる。ギヤ比が大きければコーナーの多いテクニカルなコース向きで、ギヤ比が小さくなると直線が多い高速コース向きとなる。
TT-02シャーシは4WDなので、スパーギヤにドライブシャフトが連動し、前後の車軸を回転させる。ドライブシャフト、車軸も材質などで複数の種類がある。そして車軸と連動するタイヤはモーターのパワーを路面に伝え、コーナリング時には遠心力とも戦う大事な部分だ。
それだけに走行する路面に合ったタイヤ選びはセッティングの重要なポイントとなる。RCカーのタイヤの多くは「中空ゴムタイヤ」と呼ばれ、実車と同様にゴム製で内部が空洞になっており、材質や硬さ、幅、表面の状態のバリエーションが豊富に用意されている。タイヤは、RCサーキットなどコンディションのよい路面でグリップ力を発揮する、表面に溝のない「スリックタイヤ」と、ホコリや小砂利が浮いた路面や凹凸のある路面ではスリックよりも好グリップを発揮する「ラジアルタイヤ」に大別される。
また、モーターやギヤなどのメカを搭載するシャーシも材質によって車体剛性が変わる物もある。他に路面からの衝撃を吸収したり車体の傾きを調整するサスペンションやダンパー、前輪を左右に動かすステアリング系なども変更が可能だ。
紹介した各部に対し、自分にあったパーツを購入し、交換しながら効果を確かめていくのも楽しみだ。
以上、RCカーをカスタマイズするポイントの基本と、膨大なカスタムパーツのごく一部を紹介してきた。RCカーの多くはシャーシをそっくり置き換えられるぐらいに豊富なカスタムパーツがあるので、それぞれやってみたいポイントを選んで、好きなカスタマイズをやっていくことになる。
今回は、その中から上記で説明した様に重要なタイヤに注目し、特に"足回り"に注力してTT-02シャーシ「NSX」のカスタマイズを行った。なぜタイヤか、どうして足回りにこだわってみたのかを次の項で説明していきたい。