特別企画

タミヤのRCカーに挑戦! 原点に立ち戻りカスタマイズの基礎を考える! RCカーはどんなパーツで構成されて、今求める方向性は何か?

タイヤを重視! 「ホイールアライメント」を調整できるカスタマイズ

 カスタマイズパーツは単純な性能アップだけでなく、「目的」が必要だ。TT-02シャーシの「NSX」を導入したのはレースへ参加する為である。では何故レースへ参加するかと言えば、より速く、思った通りにRCカーを操縦したいから、そうする事で上手くいった実感を得たいからだ。実車のレーシングカーの開発においても「最高速重視」、「操縦性重視」という2つの方向性があるが、筆者としては操縦性を重視したい。

 操縦性を向上させるためには何が一番重要か? それは「タイヤ」である。RCカーにおいてタイヤが何故大事かと言えば、「唯一地面と接している部分だから」という事に尽きる。速いモーターを積んで最適なギヤのセッティングを行なっても、タイヤがプアー(すり減っていたり路面と合っていなかったり)であれば、回転する力を地面に効率よく伝えられず、思った通りの走行はできない。実車でもタイヤは非常に重要視されるが、RCカーでもそれは変わらない。

 路面に合ったタイヤの種類を選ぶのがその為に必要だが、「NSX」に標準装備の「レーシングラジアルタイヤ」は、いつも練習しているタムタムの屋上サーキットに合っていると感じた。そこでタイヤそのものは変えずに、タイヤをRCカーに装着している足回りに目を向ける事にした。

 タイヤが路面に対してキチンと接し、回転する力を発揮できるかは大事なポイントだ。タイヤが上下左右、路面に対して最適な状態になっていなければ上手く回転しないからだ。そのタイヤを車体にどういう状態で付けるかを「ホイール・アライメント」と言い、それは足回りのカスタマイズによって変える事ができる。

 この、RCカーの車体の上、前、横から見た時のタイヤの角度「ホイールアライメント」は、車の操縦性、直進安定性にも関わる大事な要素なので、詳しく説明したい。

 まずRCカーを上から見た場合に、シャーシに対してタイヤが平行な場合を「トー角ゼロ」と呼ぶ。そこから若干内向きに「ハ」の字にすると「トーイン」、外向きにすると「トーアウト」となる。

画像はタミヤ公式サイトより。トー角とはどういうものかがしっかりわかる

 トー角の性質は前後のタイヤで変えたりと一概には言えないが(詳細はタミヤ公式サイトを参照されたい)、トーインだと直進安定性が増し、トーアウトだと逆にコーナーでの操縦性が良くなる。

 続いてRCカーを前から見た場合に、タイヤの地面に接地する面の角度をキャンバー角度と言う。

こちらはキャンパー角。ネガティブキャンパーにすることでコーナーでのグリップ力が高まる

 タイヤがハの字ならネガティブキャンバー、逆ハの字ならポジティブキャンバーとなる。ネガティブキャンバーではコーナリング時のグリップ力が高まるが、あまり付けすぎると直進安定性が低下してしまう。

 そしてRCカーを横から見た場合に、タイヤを支える部分が地面に対してどの程度傾いているかをキャスター角と呼ぶ。

キャスター角。標準のパーツではこういったタイヤ角の角度は調整できない。これらを調整するためにもカスタムパーツが必要なのだ

 キャスター角が大きくなるとマシンの直進性が高まり、ステアリングを切った際のマシンの反応は穏やかになるが、大き過ぎるとグリップが低下するなどの悪影響が出る。これらの角度は相互に干渉し合うので、どれが良いかは状況や、操縦者の好みで決める事になる。タイヤとその角度の重要性が解ったところで、実際にTT-02シャーシの足回りのカスタマイズを行っていく。

TT-02シャーシ「NSX」の足回りをカスタマイズ。「トー角」を調整して試走

 ホイールアライメントの中でまずカスタマイズする事にしたのが、トー角である。トー角の調整は、真っ直ぐRCカーを走らせるという基本的な操作に関わる部分で、特に必要性を感じ、効果が出やすいと思ったからだ。

 トー角の調整をしやすくするため、「ホップアップオプションズ No.1752 OP.1752 TT-02アップグレードステアリングセット」を購入した。これは「アルミレーシングステア」「アルミステアリングブリッジ」「ハイトルクサーボセイバー(アルミサーボホーン付)」をまとめたセットだ。樹脂パーツを長さを計ってカットしたり、逆ネジになっている部分があったりと車両を組み立てた時に比べて少し難易度があがるが、メカニックになった気持ちで楽しみながらやっていこう。

「ホップアップオプションズ No.1752 OP.1752 TT-02アップグレードステアリングセット」 価格6,600円(税込)。タイヤの角度を微調整できるだけでなく、TT-02シャーシのハンドリング性能をぐんと高める事ができる
カスタムパーツの説明書は、車両本体キットの組み立て説明書と違って、若干省略している部分がある。(ネジの原寸大の図が無いなど)。良く読んで組んでいこう
「コミカルアバンテ」でもお世話になった、青く染められたアルミパーツ。組み込むとアクセントになって見た目もカッコ良くなり、愛着が増す
樹脂製のサーボホーンを金属部品を多用する「ハイトルクサーボセイバー(アルミサーボホーン付)」に変える。シャーシやサーボの種類によって使用する部品が違ってくるので良く確認しよう
特に難しかったのが、「サーボセイバースプリング」の取り付けだ。3つの金属パーツを少し開いて取り付けるので、力とコツが必要だ。ラジオペンチで開いて何とか組み込んだ
最後にサーボをシャーシに固定し、微調整可能なロッドでステアリングと繋いで完成だ

 以上のカスタマイズを行って、お馴染みタムタム大宮店屋上サーキットでNSX3回目の走行を行った。筆者の操縦技術では、交換した事での性能の向上を認識はできなかった。しかしタイヤのトー角の微調整が可能になった事による操作性の向上はすぐに実感できた。

【タミヤのRCカーに挑戦!  車載カメラでコースを走る】
車載カメラでの映像。ボディの天井の裏側にカメラを逆さにつけてあるので、ボディに対してサスペンションとタイヤがどれぐらい動いているかが良く解るところが注目だ。最後、壁に激突してサスペンション部が外れてしまった