特別企画
カッコイイレイアウトにどこまでもこだわれるカスタマイズ性! RCシャーシ「TC-01」はファンの心を燃え立たせる新時代シャーシだ!
2020年7月15日 12:00
タミヤRCカーの"第3世代シャーシ"となる「TC-01シャーシ」。その採用車種第1弾となる「1/10RC フォーミュラ E GEN2 チャンピオンシップカラー」の発売日が8月22日頃に決定した。
この商品の大きな魅力はその"未来"を感じさせるボディと、そのボディを乗せるために思い切ったレイアウト設定を行なったシャーシ(RCの車体部分)にある。RCファン必読のコミック「俺のサーキット」作者であり、かつて「タミヤRCカーグランプリ」にも出演した山口博史先生をして「こんなにカッチョ良いシャシーは見たこと無い!」(6月15日の御本人のTweetより)と言わしめた、従来のRCカーのシャーシの概念を覆すデザインなのである。
タミヤもその魅力をより多くのファンに伝えるべく、You Tube公式チャンネル「TAMIYAINC」のライブ配信でその特徴を語っている。「1/10RC フォーミュラ E GEN2 チャンピオンシップカラー」そして「TC-01シャーシ」を扱った回は数回あり、特に6月27日に配信された「タミヤRC_LIVE_2_TA07RR_TC-01のお話」はこれまでの集大成と言うべき濃い回となった。
今回はこの配信の内容を中心に、「TC-01シャーシ」と「1/10RC フォーミュラ E GEN2 チャンピオンシップカラー」の魅力についてお伝えしていきたい。
機能を極限まで凝縮、レイアウトそのものがカッコイイ「TC-01シャーシ」
まず、商品そのものの前に、モチーフとなった「フォーミュラE」から語っていこう。F1、F3などF(フォーミュラ)とは、"4つの車輪とドライバーが剥き出しという規格(フォーミュラ)"による国際レースを指す。そして「フォーミュラE(electric=電気)」は2015年に始まった、化石燃料を使わないフォーミュラである。
こう聞くとなんとなく「モーターで走るF1」というイメージが浮かんでくるが、実際に参加しているチームやドライバーが「まったく別のカテゴリーのレースだ」と断言している。これまでのフォーミュラーレースでは車体設計なども各チーム独自だったが、「フォーミュラE」では各社共有の車となる。1年目は完全なワンメイクだったが、2年目ではモーターやトランスミッションなどの「ドライブトレイン(駆動系)」を各チーム独自の物にできるようになった。
ガソリンエンジンならではの大音量のエキゾーストノート(エンジン音)がなく、各社独自のモーターが異なる音を奏でるという新しい特色だ。タイヤは「ミシュラン」社製ワンメーク、バッテリー容量の限界で最高速もF1に比べ低い。今回モデルアップされたのは2018年末に登場した現行の第2世代マシン「GEN2」で車体デザインは全チーム共通。カラーリングによって判別する事になる。
そのボディは複雑な曲線で構成されており、"むき出しでなくてはならない"というフォーミュラでありながらタイヤの前後にツーリングカーマシンの様なエアロパーツが張り出している。これまでのレースマシンとは一味違う、非常にユニークなデザインとなっているのだ。
「タミヤRC_LIVE_2_TA07RR_TC-01のお話」では、カスタマイズと実装に関して触れている。基本的な解説はこちらの「タミヤRC LIVE 2 フォーミュラE(TC-01)の詳細解説」で行なわれている。まずこちらの映像からシャーシの特徴を見ていこう。
タミヤが発売する「1/10RC フォーミュラ E GEN2 チャンピオンシップカラー」に採用される「TC-01シャーシ」は、このフォーミュラ Eの独特の形状のボディを走らせるという意味があるのは当然のこと。その上で"電動でのレース"という意味で電動RCカーこそフォーミュラEの先駆けであるという大きな意気込みの元、タミヤRC開発陣が一丸となって新シャーシで新しいRC体験を提案したいという想いが込められているという。言わば「時代が追い付いた」というタミヤの先見性も筆者はこの新シャーシから感じられる。
「タミヤRC LIVE 2 フォーミュラE(TC-01)の詳細解説」では、3分40秒当たりから、部品1つ1つまで「TC-01」シャーシの解説をしている。かつてないシャーシが、1つづつの部品を仔細に見ていくと、従来の物と共通であったり、踏襲したデザインで構成されている事が解る。
ここで映像とは別に過去のシャーシと比較して「TC-01シャーシ」の面白さに迫っていきたい。F1をモデルにしたRCカーは古くからあり、「TRF103 シャーシキットフォーミュラタイプ」は、その代表とも言える商品だ。
「TRF103 シャーシ」は非常にシンプルで、後輪駆動で、細長いボディを搭載する為に一見してコンパクトにまとめられているのがわかる。また、凸凹の路面を走るのが前提の、着地の衝撃を吸収する必要があるオフロードの車両と違って、平面を走るオンロードのシャーシは足回りも比較的シンプルにまとめられる。
「TRF103 シャーシ」はさらにコンパクトで、衝撃を吸収する伸縮装置の「ダンパー」は通常4本のところ、寝かせた1本のみとなっている。RCカーは走らせる事が前提で設計されていており、従来のフォーミュラタイプシャーシは、特にデザイン的から実用性を追求した機能美の美しさが感じられる。
それに対し、「TC-01シャーシ」はまず、視覚に圧倒的ダイナミズムを訴えかけてくる。それは先程述べた様に、フォーミュラタイプのスリムな形状のまま、実車以上となる四輪駆動(実車のフォーミュラEは後輪駆動)を採用、ダンパーは4本のままに、寝かせて効かせたサスペンションなど、ツーリングカー同様の足回りを搭載しているからだ。
「少ない面積に同じ容積で、かつ低い高さで家を建てる」と言ったらSFに出てくる「四次元立方体」、「ハイパーキューブ」の世界になるが、それを三次元で実際にやってしまったとも言える。特殊な形状のボディーを搭載するために徹底的に低くまとめられ、かつコンパクトにするために1つ1つのパーツは従来の物と同じ形状でありながら、モーターを真ん中に縦置きに搭載、結果として「入れ子細工」の様に複雑に組み合わさり、隙間がほとんど無い様に見える。言わば部品が繋がり合う事で全体を形成し、SFチックなフォルムを醸しだしている。
人が乗っていようと、外から操縦しようと、レースであれば、コースをいかに速く周回するかが正解である様にも思える。だがRCカーには、走らせるのとは別に、自分で1から組み立てる、という工程が存在する。完成した速いRCカーを走らせるだけでは味わえない、自ら造り上げる感動。タミヤが「TC-01シャーシ」に込めたのは、改めてそれを伝えたい、味わって欲しい、という願いであると感じた。だからこその四輪駆動であり、4本のダンパーであり、製作意欲をかき立てずにはいられない、かつてないフォルムであった。
筆者自身、半世紀を生きて色々なメカを見てきた目にもパッと見で「かっこいい」という感想が洩れるし、今風に言うならば「エモい」。見ているだけで新しさ、「どんな走りができるんだろう」という期待がこみ上げてくる。新しい玩具を前にしたワクワク感が感じられるのだ。「いかに走るか?」が問われるRCカーにおいて、見ただけでエモーショナルに、感情を揺さぶってくるシャーシというのも、そうは無かった様に思う。
高いカスタマイズ性がRCファンの情熱を燃え上がらせる!
「TC-01シャーシ」の斬新さはもちろんそのレイアウトだけでなく、拡張性にある。前述したタミヤRC_LIVE_2_TA07RR_TC-01のお話」では、映像後半で「TC-01シャーシ」に使用可能な各部のオプションパーツを取り付けた、前住氏特製「DX(デラックス) エディション」を前に、「TC-01シャーシ」の可能性を知ることができた。この映像では様々なカスタマイズの可能性を言及しており、「自分でもカスタマイズしてみたい」という感情が強く涌き上がった。このカスタマイズを紹介していこう。
4輪駆動のRCはモーターのエネルギーをゴム製のベルトで伝える「ベルト駆動」と、長い棒を使って前後輪を動かす、「シャフトドライブ方式」があり、「TC-01シャーシ」はシャフトドライブ方式を採用し4WDを実現している。前後がいかに滑らかに動くかが走行時に重要なポイントとなる為、モーターに付いている駆動用の「ピニオンギア」を緩めて、前後の車輪の動きを確認する事ができる。
そして今回の「DX エディション」では各所の軸受けにあるボールベアリングは「TRF(タミヤレーシングファクトリー)」の名を冠した「フッソシールベアリング」を使用。「タミヤのベアリング史上最も軽い(回る)」と前住氏が断言するだけに、選択肢に入れたいところ。また、同じく走行に重要なダンパーも「TRFダンパー」に変えられている。
さらに前住諭氏が「マスト」と強調したチューニングポイントが「サスマウント」。直進している車はステアリングを切る事で、直進し続けようとする慣性力に対して向心力を働かせて曲がるが、反対方向に遠心力が発生する為にサスペンションと車体が傾く=ロールする。従来のシャーシに比べ、「TC-01シャーシ」はコーナーで「ロールしやすい」との事で、リヤサスマウントで低重心化してそれを防ぐ事で様々な路面に対応できる様になるとの事。
この「ロール」に対応する為、ダンパーをより直径の大きなビッグボアに替える事もオススメで、さらにダンパーのスプリングの硬さを変える事で、自分に合ったセッティングが試せる。サスペンションのアームは前後共通となっているため、前住諭氏のマシンはフロントを引きダンパーとし、車軸も細かく変更され、リアのダンパーには硬めのオイルを入れるセッティングとなっているそうだが、それでもリアがロールするという感想も聞く事が出来た。
さらに前輪は、水平よりも前を外向きにハの字に拡げる「トーアウト」に、リアは内向きに「トーイン」で調整している。この調整は最初はキット標準の一体型の物で試さないと、なにが問題なのか解らなくなるというアドバイスもあり、初心者はまずはキット標準で組んである程度走り込む事も重要かもしれない。
また、デファンレンシャルギアは、メンテナンスをしっかりして良い状態を保てるなら「ボールデフ」への変更も可能だが、高速走行させると痛み易くなるデメリットもあるとの事で、悩ましいところだ。
そして各部の解説後には、いよいよ実走。この「DXエディション」完成後に動作チェック程度を済ませた段階で前住諭氏自らのコントロールでタミヤサーキットのコースを周回する、貴重なシェイクダウン走行の映像が流れた。
前住諭氏はタミヤのワークスチームTRFの中心人物で、日本を代表するRCカーレースの1人。世界選手権で何度も頂点を極めただけた人物だけに、非常に見事な走りを見せる。2周目の周回から早くもコーナーを攻める本イキの走りだ。
レースにおいて、高速でコーナーに侵入する時に「アウト・イン・アウト」、「スロー・イン・ファーストアウト」というセオリーがあるが、まさにそれを正確に実現し、サーキットのコーナーにピタッと沿って曲がっていく挙動に驚かされる。
そして「TC-01シャーシ DXエディション」は、世界トップレベルの前住氏をして、「コーナーの旋回が速い」、「今まで体感した事が無い次元でコーナーに進入できる」
「新世代の走り」、「走ってて楽しい加速感」という感想が漏らされる。
まず見た目で圧倒されたTC-01シャーシだったが、チューンした「DX エディション」によって、その走りのポテンシャルを実感した。何しろ世界の頂点を知る第一人者が「こんなに速く曲がってくるの?」という速さでかつ操縦し易いと興奮気味に語る様子を見れば、実際に走らせて確かめたい衝動に駆られてしまう。
とは言え、一方で、「その世界最高峰の技術を持つ前住諭氏だから走れるんでは?」という考えも当然沸くわけだが、しっかりそれに対する解答として、タミヤのりっくんこと砂原陸氏による実装も行なわれた。
市販品ではなく前住諭氏の為にカスタムされた「おニューボディ、おニューマシン」
という事で、砂原氏は慎重にコースの真ん中を走行。残念ながら激しい雨が降り出して、攻める走りに移る前に切り上げとなったが、「真ん中を走ろうと思って、その通り真ん中を走れる操縦性」という事で、世界最高峰のTRFレベルでなくとも、思った通りに走れるという操縦性が証明された実走映像となったと言えるだろう。
こうしてシェイクダウンを終えて前住諭氏は「初心者向けなのか中級者向けなのか?」という、一般に販売される製品の性質に触れ、「走行レベルで言うと、初心者までカバーしきれるぐらいキャパが拡い」と断言しつつ、「物造りとしては初心者向きでは無い」と、微妙なニュアンスを吐露。
その理由は、「組み立てる上での工程、説明書の番号も多い。飽きちゃう人には不向き」とのことで、「組み立てを楽しめる初心者向け」という結論となった。また、8分割のボディ製作に砂原陸氏も3時間かけたそうだが、「完成すると感動」と熱く語った。
そして最後、「TC-01シャーシ」は「TS050」のボディを搭載して、「タミヤチャレンジカップ・GTクラス」にも出場可能なので(フォーミュラEクラスも新設される)実際にボディだけ載せ変えて走った前住諭氏の映像が流れる。結果としては「リアの安定感はフォーミュラEより増す」との事で、GT部門においてダークホースとなる、と太鼓判。ドライブシャフト方式はベルト駆動に比べ重量があるが、軽量化する事でツーリングカーのシャーシと対等にポテンシャルが発揮出来そうで、今回の配信を参考に挑戦してみるのも良いだろう。
今までにない魅力に溢れるデザインの「TC-01シャーシ」は、走りの面でも「今までにないコーナリング」を見せ、従来のシャーシに勝るとも劣らない性能である事も解った配信となった。発売日がますます待ち遠しい新製品が「TC-01シャーシ」採用「1/10RC フォーミュラ E GEN2 チャンピオンシップカラー」だと言えるだろう。