特別企画

【年末特別企画】HOBBY Watchライター陣が選ぶ2020年オススメ「ボードゲーム/カードゲーム」

 筆者はライター歴30年近くになるアラフィフライターで、若い頃はPC/IT系の記事を中心に執筆していたが、昔からオモチャは大好きで、独身時代も次世代ワールドホビーフェアに行ったり(子どもができてからは子どもと行ってるので、もう20回以上は行っている)、バンダイから出ていた「ジターリング」にはまって、イベントの追っかけをしたりしていた。

 最近は、TCG/DCG関連の記事を書くことも増えているが、そのきっかけとなったのが、小学校1年生のときに「デュエル・マスターズ」をやりたいと言い出した娘だ。私の世代だと学生時代に「デュエル・マスターズ」や「遊戯王」はおろか、TCGの元祖「マジック・ザ:ギャザリング」もまだ存在しなかったので、TCGに触れたことはなかったが、娘が家でデッキを二人分並べて、いったりきたりして一人でプレイしているのを見て、さすがに可哀想に思い、私もその1年後くらいに「デュエル・マスターズ」を始めた。

 娘はTCGオタクで、10種類以上のTCGのプレイ経験があるが、私が主にやってるのは、「マジック・ザ:ギャザリング」と「デュエル・マスターズ」で、デュエル・マスターズについては、タカラトミーの公認ジャッジ資格を取得し、GPや超CSなどにフロアジャッジやスコアキーパーとして参加している。TCGだけでなく、「ベイブレード」や「爆丸」のようなボーイズトイも好き。

 TCG以外のボードゲーム(カードゲームも含む)はそれほど詳しくないが、ボードゲームなどのアナログゲームで遊ぶのも好きだ。今年初めてゲームマーケットに参加したが、さまざまなアナログゲームが出展されており、とても興味深かった。今回は、2020年に発売された「ボードゲーム/カードゲーム」のオススメ商品として、「ゲートルーラー」、「OXtA cube」、「パクモグ」をチョイスした。ボードゲームは、1プレイ時間が短く、誰でも気軽に遊べる「軽ゲー」から、実際にプレイして楽しかったものを選んだ。

2020年オススメ「ボードゲーム/カードゲーム」その1:「ゲートルーラー」

発売日:2020年12月26日
価格: スターターデッキ 1,500円(税別)
・プレイ人数:2人
・対象年齢:14歳以上
メーカー:大遊

 「バディファイト」の原作者としても有名な池っち店長こと、池田芳正氏が考案したTCGである。「ゲートルーラー」の最大の特徴は、「ルーラー」によってデッキ構築ルールや召喚ルールなどが変わる「ルーラーシステム」を採用したことだ。

 第1弾では全部で5種類(うち2種類は体験版のルーラー)のルーラーが用意されているが、異なったルーラー同士でも対戦できるため、TCGの異種格闘技戦のような感覚で遊べる。また、VR空間内で、バーチャルキャストを使った対戦も可能であり、ルーラーの構築ルールをQRコードで参照する仕組みになっているなど、令和時代の新しいTCGの形を示した製品である。

 以前は新作TCGが年にいくつも登場していた時代もあったが、そここ数年、新作TCGの登場が減っており、さらにコロナ禍の影響もあるなか、「ゲートルーラー」は2020年に登場したほぼ唯一の商業ベースのTCGであり、TCG好きとして注目していた。

 正式発売前のユーザー向け発表会やプレリリースでの大会などにも参加し、実際に自分でデッキを組んでプレイしてみたが、「全てのTCGを包含する」というのは言い過ぎだとしても、確かにルーラーが違うと、デッキ構築セオリーもプレイ感覚も大きく変わるため、第1弾のカードプールでも、すぐに飽きてしまうようなことはない。

 また、カード名や設定コンテスト、音楽グランプリなど、ユーザー参加型企画が多いことも「ゲートルーラー」ならではだ。「バディファイト」と似たゲーム進行で、最初からクライマックスみたいな展開になるため、1ゲームが短時間で終わりやすいことも、時代の趨勢に合っている。体験デッキ+αのPDFデータが公開されているため、自分でプリントアウトすれば無料で体験できることも魅力だ(プリンタがなくても、コンビニプリントなどを利用できる)。気軽に遊べるTCGとしてオススメしたい。

【ゲートルーラー】
「ゲートルーラー」第1弾のブースターパックの箱
「ゲートルーラー」第1弾のスターターデッキ2種類
「ゲートルーラー」をプレイしているところ

2020年オススメ「ボードゲーム/カードゲーム」その2:「OXtA cube」

発売日:2020年11月14日発売
価格:3,300円(税込)
プレイ人数:2~4人
対象年齢:8歳以上
メーカー:CGCGスタジオHD

 木製キューブコマを使って遊ぶボードゲーム。キューブコマには○×+△のマークが描かれており、そのマークによって動かせる方向が決まっている。キューブコマの色は4色あるので、全部で16個のキューブコマが用意されている。

チェスや陣取り合戦のような頭を使うゲームから、単にキューブコマを積み上げるだけのバランスゲームまで、さまざまな遊び方で遊べることが特長であり、パッケージには「shibuya.」、「shinjuku.」、「ikebukuro.E」、「kanda.」という4種類の遊び方が書かれた説明書が入っている。相手のキューブコマの上に積み重ねることで、相手のキューブコマを取ったり、自分のキューブコマで相手のキューブコマを支配できるところが面白い。

 基本となる4種類のゲームは、どれもルールはシンプルなのだが、実際にやってみると、奥が深い。キューブコマの数が少なく、ボードのマス目の数も少ないため、次の一手の選択肢が狭そうだが、積み重ねたキューブコマを分離したり、合体させたりすることができるため、実はかなり多くの選択肢があり得る。1回のプレイ時間も10分程度と短いため、もう一度プレイしてみようという気になる。

 ○×+△のマークが書かれた4色の色鮮やかな木製のキューブコマは、手触りもよく、お洒落で、インテリア雑貨的な感覚で部屋に置いてもよさそうだ。コンポーネントがシンプルで自由度が高いため、自分たちで新たなゲームを考案して遊ぶこともできる。ボードも折りたため、パッケージも220mm×160mm×40mm(縦×横×高さ)とコンパクトだ。ちょっとした空き時間に気軽に楽しめるボードゲームなので、年末年始に帰省する際などに持っていくのはいかがだろうか。

【OXtA cube】
「OXtA cube」のパッケージ
「OXtA cube」のパッケージ内容。16個の木製キューブコマとゲーム用ボード、キューブコマ用ポーチ、遊び方説明書が入っている
2人用の積み上げチェス型ゲーム「shinjuku.」をプレイしているところ
最大4人で遊べる積み上げ型バランスゲーム「ikeshinjuku.」をプレイしているところ

2020年オススメ「ボードゲーム/カードゲーム」その3:「パクモグ」

発売日:2020年12月11日発売
価格:1,980円(税込)
プレイ人数:3~7人
対象年齢:6歳以上
メーカー:ピチカートデザイン

 ジェスチャーとカルタを掛け合わせたボードゲーム。おままごとなどでよく食べ物を食べるふりをするが、その楽しさをボードゲームにしたものだ。取り札と読み札が36枚ずつあり、「おにぎり」や「ピザ」、「スパゲッティ」などの食べ物の絵が描かれている(読み札には名称も書かれている)。箸とフォーク、スプーン、ナイフといったカトラリーが用意されているのも面白い。

遊び方は簡単で、まず取り札をバラバラに広げ、カトラリーを中央に置く。読み札を裏にして、1人につき3枚ずつ配る。最近おいしいものを食べた人が最初の手番になる。手番の人は、読み札から1枚引いて他の人に見られないように確認し、その食べ物を食べるふりをする。カトラリーは使っても使わなくてもよい。他の人は、その食べるふりで「何を食べているのか」を推理し、その食べ物の札を取るというゲームだ。

 ルールがとても簡単で、幼児から大人まで、誰もが楽しく遊べるボードゲームだ。ジェスチャーだけで、食べ物を当てさせるというのはなかなか難しく、ユニークなジェスチャーをするプレーヤーへのツッコミも楽しい。

 手番の人のジェスチャーで、誰も正解者が出なかった場合は、手番の人の得点にならないので(誰かが当てたときには、その読み札を得点としてカウントできる)、勝つためには一所懸命にジェスチャーをして、誰かに正解してもらわないといけないというのも、ルール的によくできている。

 老若男女が楽しめるパーティゲームとしての完成度は高く、できるだけ大人数でプレイすると、より盛り上がるだろう。また、小さい子に対しては、食べ物の正しい食べ方を習得するという食育的な要素を持つボードゲームとしてもオススメだ。パッケージも、153mm×100mm×37mm(縦×横×高さ)とコンパクトなので、気軽に持ち運べる。家族みんなで遊ぶにもぴったりのボードゲームであり、小学生くらいのお子さんをお持ちの方には特にオススメしたい。

【パクモグ】
「パクモグ」のパッケージ。イラストもかわいらしい
「パクモグ」のパッケージ内容。読み札と取り札、カトラリーが入っている
「パクモグ」をプレイ中の様子。食べ物を食べているジェスチャーをして、何を食べているのかを当てさせるゲームだ
Amazonで購入

2020年オススメホビー記事!

 2020年のオススメ記事は、大遊から登場した新TCG「ゲートルーラ-」に関する2本の記事「全てのTCGを包含できる? 新TCG『ゲートルーラー』のルールがついに公開!」と「正式発売前にすでに炎上中? 新TCG『ゲートルーラー』ユーザー発表会&プレリ大会レポート」。

 どちらもお陰様で予想以上に多くの方に読んでいただけたようだ。正式発売前から、Twitterなどで炎上気味だった「ゲートルーラー」だが、「好みは分かれるだろうが、TCGとしては面白い」というのが、筆者のフラットな評価だ。Twitterでも実際にプレイした人が増えたことで、好意的な評価が増えている。まだ正式発売から数日しか経っていないTCGなので、誰もが横一線でスタートできることも魅力だ。運営に対する先入観や不信感から、触れずに敬遠している人もいるだろうが、TCG好きの方なら是非一度プレイして欲しいと思う。

 もう1つのオススメは、タカラトミーから登場した「ボトルマン」のレビュー記事「ペットボトルキャップを撃って遊ぶ!「ビーダマン」ならぬ「ボトルマン」が登場」だ。

 今高校1年生の娘が小学校1年生くらいのときに、「クロスファイト ビーダマン」が登場し、ブレイクボンバー対戦セットなどを買って遊んでいたのだ。「ボトルマン」は「ビーダマン」の系譜に繋がるシューティングホビーで、娘と息子が一緒に遊んでいるのを見て、昔のことを思い出した。もちろん、令和時代に登場した新製品だけあり、Switchとの連動機能など、ホビーも時代にあわせて着々と進化していることを実感させてくれたオモチャだ。

 2021年の抱負というか望むことだが、やはりコロナ収束の一言に尽きる。DCGやコンピューターゲームと違って、TCGやボードゲームは対面で遊んでこそのゲームだ。確かに、Discordなどを使えば、TCGのリモート対戦はできるし、それはそれで楽しいのだが(場所や時間の制約に縛られないメリットもある)、やはり目の前の相手とコミュニケーションをとりながらプレイする楽しさにはかなわない。2020年は「デュエル・マスターズ」も「マジック・ザ:ギャザリング」も、最大規模の大会であり、お祭り的な側面もあるグランプリの開催が中止になり、とても残念だった。2021年は、コロナの脅威が去り、再びグランプリが開催されることを切望している。