特別企画

ヘタ仙人の「プラモデルを楽しもう!」、戦車のプラモデルってどんなもん? 「1/35 ドイツIV号戦車G型 初期生産車」~まずは塗装しないで作ってみた~(後編)

【1/35 ドイツIV号戦車G型 初期生産車】

開発・発売元:タミヤ

発売日:2021年7月

価格:4,620円(税込)

全長:187mm

全幅:82mm

こんにちは。ヘタ仙人です。今回は、タミヤの「1/35 ドイツIV号戦車G型 初期生産車」(税込 4,620円)を、色を塗らずに組み立てよう! という記事の後半戦となります。前回は車体を製作いたしましたが、今回は砲塔を作って完成までもっていきます。

前回は車体を製作しました。まずはボディを作って履帯を組み立て、最後に車体の上面を作っていくという工程です。これで実は、あらかた作業は終わり……というか、精神的に地味に思える(まあ、私は、ですが)作業はおしまいで、今回は派手な砲塔部分だったり、パッと見てわかりやすいアクセサリ部分、そして戦車に華を添えるフィギュアの製作をやっていきましょう!

 やっぱり戦車といえばその砲塔が目立つ部分ですから、それを形作るのはひたすら楽しい。僕にとっては、ロボットで言えば顔の部分と申しましょうか。また、今回は土のうだったりフィギュアだったりと、砲塔も含めてですが直感的にわかりやすいものの組み立てが多いので、これまでのように「なんかヘンな筒作ってるなあ」(マフラー)とか「延々と輪っか接着してるなあ」(ホイール)といった事はありません……。が、うーん、それはそれで楽しいんですけどもね。というわけで、今回はとにかく形がすぐに分かって、且つ派手派手な部位をやっていくわけなので、テンションも上がり気味になるという感じでしょうか。というわけで、組み立てていきたいと思います。

G型ならではの43口径7.5cm砲KwK40」を搭載した砲塔の組み立て

 まずは大砲の基部から。この主砲は「43口径7.5cm砲KwK40」というものでIV号戦車G型の大きな特徴です。F型のIV号戦車が搭載していた「口径7.5cm KwK37」ではソ連の戦車T-34に刃が立たず、主砲をより強力な43口径7.5cm砲KwK40を搭載したのがG型なのです。ちなみにKwKは、「Kampfwagenkanone(カンフヴァーゲンカノン)」の略で、第二次世界大戦中にドイツのラインメタル社によって開発された戦車砲を指します。

 この主砲を「立体資料」的な好奇心を持ちながら組んでいきたいと思います。スケール/キャラクター問わず、自ら組み立てることで、その形状をより理解できるというのがプラモデルの楽しいところなんですよね。「こんなところが凹んでるんだぁ」とか「あ、これってフックだったのね」とか。

 大砲の基部は普通にパーツを組み合わせればおしまいです。上下に可動するようになっていますから、可動部に接着剤を付けないように注意ですが、普通に注意していれば問題ないと思います。むしろ、リベットや主砲脇の機銃など、細かいディテールを見て楽しんでください。

【主砲を組み立てる】
主砲基部の組み立て。説明書通りに組んでいけば問題ない部分です。細かいディテールを見て、楽しみたいところですね。

 そして、お次は砲身を基部にグサッと挿します。まあこちらも、単に挿すだけですね。奥まで通したときに、カッチリと噛み合う角度がありますので、そこだけ注意でしょうか。さらに、主砲の後端を組み立てますが、ここがまた、よい! 「あー、たしかに砲弾入れるところってこうなっていたなあ」と、ニワカ知識を総動員して楽しみました。

 今はYou Tubeなどで現代の軍隊が大砲を撃つ動画などが散見されますが、大砲って基本的な構造はあんまり変わらないんだなあ、なんて思ったりします。もっとも素人だから違いがわからないという話もありますけれど。ここは砲塔内部に存在する箇所なので、完成するとハッチの開口部からちょこっとだけ見えるだけになってしまいますが、機構がわかって楽しい部分かと。

【ここから弾を……】
43口径7.5cm砲KwK40後端を組み立て。「ここから弾が入ってフタみたいなのが閉じるんだなあ」などと楽しみながら作業しました。ググったり、資料を購入しておけば、もっと楽しめると思いますね

 主砲を作り終えたら、それを包み込む砲塔の組み立てです。車体同様、こちらも各面が板状になっていて、それらを箱状に組むことで形を成していきます。

【砲塔の組み立て】
砲塔の組み立て。箱のように組んでいけば出来上がります。きちんと噛み合わせのミゾが掘られているので、パーツがずれることはまずないでしょうが、隙間ができないように、接着したら多少はギューッと抑えておいたほうがいいでしょう

 やったー! 砲塔が形になってきた! と、お次はめんどくさそうなめちゃめちゃ小さいパーツを取り付けます。どうやらフックのようですね。ピンセットで優しくつまんで接着しました。こういう小さいパーツをピンセットでつまむときは、極力優しくつまんでください。というのも、ガッチリ力を入れてつまんでしまうと、「ピーン!」と外れて飛んでいってしまうという悲劇が起こる可能性があるからです。

 「いやピンセットですらムリ!」という方は、コヨリのようにした両面テープの先に小さなパーツを付けて接着し、ある程度乾いて固定するまでジッと耐えるとか、そういうやり方もいいかもしれません。いったんパーツ同士がネバっとくっつけば、完全に接着剤が乾くまでは多少位置移動もできますから。

 そういう意味では、素早く乾いてしまう流し込みだけではなくて、白いフタの粘り気がある接着剤もあると作業が楽でしょう。もっともこのあたりは個人差がありますから、自分に合った接着剤を、試しながら見つけてみてください。

【超小さい】
わー! 小さい! これらのパーツを砲塔の側面に接着していきます。「失敗するかも」という心配は御無用。小さいから失敗するかもしれませんが、逆に言えば小さいから失敗してもまあ、それほどバレないのでは? と思います。
うまくいきましたー! と、言いたいところですが、まさに失敗しています。フックのカギ状の部分が、しっかり入り込んでいません。もう少し角度を変えて押し込まねばならなかったのです

 まあちょっと、フックは失敗してしまったのですが、どうやら砲塔はそれらしい姿になったようです。このあと上面なども接着しますが、その前に主砲基部がよく見えるこのメカメカしい感じもカッコいいので、しばし見入ってしまいました。

【形になってきました】
いよいよ形になってきた砲塔。主砲の後端がカッコいいですねぇ。しばらく眺め回して楽しみます

 砲塔上面のパーツや細かいパーツも接着し、形ができてきたところで、その後端にある荷物箱(雑具収納箱)を組み立てます。実は、IV号戦車のプラモデルはこれまで何回か作っているのですが、ここが雑具収納箱だと初めて知りました……。ミリタリーファンならば常識なんでしょうなあと思いつつ、新しい知識が得られて嬉しいですね。

 組み上がった雑具収納箱を砲塔に取り付ければ……おお! 見慣れたIV号戦車の砲塔だ!

【さらにパーツを取り付ける】
雑具収納箱も、例によって板を箱状に組む形式です。
キューポラや左右のハッチはこれからですが、もう完全に砲塔の姿に。

 さてほぼ出来上がった砲塔ですが、車長が顔を出す場面が印象的なキューポラを作らねばなりません。これがまた複雑な形でして、跳弾を防ぐ形状が模索され、より進化したのだそうです。そしてこの複雑な形状を再現するために、こちらも細かいパーツを地道に貼り付ける作業となっているのですが、先ほどのフックに比べれば、指でつまめる程度の大きさなので、まあ苦労はしませんでした。

 あとは砲塔の上からキューポラをかぶせて接着するだけです。これにて砲塔が完成です。

【キューポラを取り付ける】
キューポラの作業中。表面のみならず、内部もきっちり作ることになります
キューポラをかぶせて、さらにハッチや細かいパーツを取り付けました。いやぁ……ディテールも細かくゾクゾクしますね~

 そ・し・て! ついに! ついにIV号戦車G型初期生産車の完成です!

【IV号戦車G型初期生産車完成!】
IV号戦車G型がついに完成!

 いやぁ~、意外と時間はかかったけれど、出来上がるとそれなりのボリュームになりますし、何度も何度も何度も何度も言いますが、ディテールが細かくて楽しい! しかも自分の手で作り上げたこの細かいパーツのカタマリというのは、見ていて飽きません。僕はやっぱり塗装することがすきなのですが、そうはいっても形状が楽しめてしまうこの作業もいいものですね!

戦車兵と歩兵、5人のフィギュアを組み立ててセット!

 ……と、実は。キットはこれだけじゃないのです。まだまだ楽しみは続きます。そう、フィギュアが待っているのでした。

 フィギュアは全部で5体。戦車兵のほか、追随する歩兵も含まれています。パーツ割りがメカと違って独特なので、1人ずつ注意しながら作ります。

【フィギュアを組み立て】
キット付属のフィギュア
車長のフィギュア。単体だと何をしているのかわかりませんが、まあそこは後々のお楽しみということで
5人をサクッと作り上げました。なお、先ほど「細かい!」と言っていたフック付近には、水筒がぶら下がって(接着しているのですが)います

 フィギュアも組み終わり、土のうなどのアクセサリを車体に配置すれば、今度こそ本当に完成です!

【今度こそ本当に完成!】
祝! 完成! IV号戦車G型とフィギュア5体のセット内容すべてを組み終わりました

 いやぁ……。長かった。長かったのだが、やっぱり満足感高いですね~! 普段の私はロボットものばかり作っていて、もちろん楽しいし好きなのですが、スケールはやっぱり実在するものが立体化されているだけに、すべてのパーツに現実の役割があって、それを「これってなんだろう?」などと思いながら(調べたりもしつつ)組めるのが楽しいですね。

 それに、ギミックがない分組み立て作業のすべてが「かたちづくり」という1点に絞られる点もまた、楽しいところ。つまりロボットの場合は関節やフレームを組んでいるときは結果がベールに包まれているというか、「いったいコレってどーなるの?」と思いつつ組み上げると「おー! なるほどすげぇ!」となります。対してスケールキットはその場その場で「今から〇〇組みまーす」「できた。おー! すごい」と、小刻みに結果がわかって楽しい、というところでしょうか。

 では、次ページで完成したキットをじっくり見ていきましょう。