特別企画

ヘタ仙人の「プラモデルを楽しもう!」、ハイクオリティなガンプラを気軽に作りたい! 今こそオススメ「RGシリーズ」

【RG 1/144 νガンダム】

開発・発売元:BANDAI SPIRITS

発売日:2019年8月10日

価格:4,620円(税込)

ジャンル:ガンプラ

 こんにちは、ヘタ仙人です。「コロナで巣ごもり需要が……」と言われるようになって久しく、どうやらプラモデル、特にガンプラも大人気だそうで。私の周囲も、ホビー系に興味のなさそうだった人が「昔作っていて、またちょっと買ってみた」といった人がチラホラと見られたりしています。

 そこで今回は、「中学くらいまではプラモ作ってたけど、コロナ堝だしまたガンプラ作ってみようかな」 という社会経験を積んだ大人な皆さんに向け、十分楽しめそうなアイテムとして1/144スケールのRG(リアルグレード)シリーズを紹介したいと思います。

【RG 1/144 νガンダム】
今回取り上げるのは人気の高い「RG 1/144 νガンダム」です

 ……が、この言い方、実はめちゃくちゃ語弊があるんですよ。だって、第1回でも書いたとおり、作りたければ好きなプラモデルを作ればいいだけなので。そして、ガンプラに限って言えば、RGシリーズ以外の、1/144スケールを中心とするHG(ハイグレード)やデフォルメ体型のSDが劣っているかというとそんなことはまったくなくって、さらに言えばいきなり1/100スケールのMG(マスターグレード)、1/60スケールのPG(パーフェクトグレード)を作るのも、好きな機体で興味があれば、超オススメだからです。言ってみれば、それぞれのシリーズは提供される方向性が違うだけの話なのです。

 ただし、1/100スケールのMGや1/60スケールのPGはたしかにスゴいのですが、いきなり大きいものを作ることに抵抗がある人もいるでしょう。翻って、簡単に組めてスゴい! と話題になった700円台のEGも、たいへん驚きのガンプラでしたが、その名の通り「エントリー」なので、組んだ方は「次」が欲しくなるのではないでしょうか?

【ENTRY GRADE 1/144 RX-78-2 ガンダム】
以前取り上げた「ENTRY GRADE 1/144 RX-78-2 ガンダム」。入門用としてオススメですが、次のステップに「RG」をおススメしたいです

 そこで、ガンプラの進化を極めてわかりやすく、しかもある程度可処分時間や作業環境をミニマムにして体感できるのはRGなのではないか? と個人的には考えるのです。社会人たる皆様におかれましては、可処分時間や飾るスペース、作業環境をなるべく簡便にしたいといった条件がある一方で、大人として、微細な彫刻(モールド)やギミックなどの最新技術を歯ごたえある形で楽しみたい、というご要望があるのでは? と考えます。その要望にかなっているのが、RGではないかなと。RGを作れば、「今どきのガンプラってスゴいね」と実感できるはずです。

 では具体的に、RGとはなんぞや? という説明を大まかにお伝えしてから、実際に1つ、組んでみたいと思います。

キラキラのリアリスティックデカール、細かいディテール……1/144スケールながら豪華な「RG」とは?

 RGとは、約10年前、ガンプラ30周年に登場した1/144スケールを中心に展開しているシリーズです。1/144スケールといえばHGシリーズがスタンダードなのですが、HGは設定画や劇中の再現を主眼に置き、主役機のみならずライバル機や量産型なども多数ラインナップされてるのが特徴です。

 一方RGは、立体的に映える細かいディテールやプロポーションを追求し、設定画や劇中からの発想をもとにスタイリッシュな方向にさまざまなアレンジを効かせているほか、複雑な関節ギミックなども採り入れていて、極限の密度感を楽しめます。

 また、異なる素材を組み合わせ1パーツの中に可動する関節を成形した「アドヴァンスドMSジョイント」を採用し、メタリックな素材を使ったシール「リアリスティックデカール」を同梱するなど、1/144スケールながらたいへん豪華な内容となっているのです。

 なお、RGの対象年齢は15歳以上。つまりはある程度の大人を対象にしたシリーズであることも、申し添えておきます。

実際に「RG 1/144 νガンダム」を作ってみる

さて、ここからは実作業を通してRGの面白さをご紹介しましょう。取り上げるのは「RG 1/144 νガンダム」(税込 4,620円)です。巷では「RG 1/144 Hi-νガンダム」が熱狂的な人気になっていますが、ガンプラ直撃世代の方にとっては、このνガンダムもまた、思い出深い機体ではないか? と思ったからです。発売も2019年8月と、比較的新しい製品でもありますし。なお、使った道具はニッパーとピンセット、綿棒だけですが、ニッパーのみでもまったく問題ないと思います。

まずは箱です。購入時や家に置く際に気になりますよね? サイズは390×310×66mmほどです。面積はそれなりにありますが、高さはないので収納にはそれほど困らないのではないでしょうか? なお、作業期間はこの箱を作業エリアにするのもアリですね。

この箱の中にどの程度のパーツ群(ランナー)が入っているかというと……

【パッケージ】
RG 1/144 νガンダムの箱。左端の工具箱と見比べていただければ、だいたいの大きさのイメージを掴んでいただけるかなと
大きなランナーは11枚、そのほか、小さなフィン・ファンネル用の可動パーツやビーム・サーベルの刃用のクリアーパーツなどが入っています。

 さて、これらのランナーから、説明書に従ってニッパーでパーツを切り出して作っていくわけですが、作業工程は以前ご紹介したので、今回はRGの楽しみ的な部分を中心に紹介していきます。

 なおRGは、脚(下側)から組み上げていくスタイル。なんとなく、実物を建造している雰囲気も味わえるというわけです。まあ、実物が脚から作られていくかは謎ですが、建造物として捉えた場合は、土台からってことでしょう。

【足の組み立て】
カカトと足首関節です。関節中央にキラリと光るのは、メタリックシールであるところの「リアリスティックデカール」。大方は完成後に貼りますが、ここは入り組んでいる場所なので先に貼っておく指示があります。
太ももと膝関節です。ももの外装でほとんど隠れてしまう部分ではありますが、1/100スケールのMG同様、内部にも細かい彫刻(モールド)が施されています。こういう部分を見ながら作るのも、RGの楽しみのひとつです。
脚部のフレーム(骨組み)がほぼ出来上がりました。外装を被せると見えなくなる部分なのに、これだけ完成度高く表現されています
【足を動かしてみる】
しかも膝関節を曲げると、隠れていたパーツが連動して顔を出したり曲がったり。モールドの細かさとともに、こうした、工業製品としての面白さも実感していただきたいところです
脚部が完成しました。RGならではの細かいディテールが確認できると思います。また、本来は白一色の箇所も、薄いグレーパーツが使われるなど、イメージを損なわず、かつ細かい色分けがなされていて、唸ります
関節を可動させました。曲げた「だけ」です。曲げただけなのに、ほとんどの外装が連動して動き、内部メカが顔をのぞかせています。この動きだけでも、十分楽しめるところでしょう
別の角度から。ヒザや足首の外装が、可動にあわせて分離しているのがわかります

 いかがでしょう? 1/144スケールのサイズに、MGと同じ……とまでは言いませんが内部メカや装甲のスライドまでを詰め込んだ密度感は本当に楽しい。また、細かいディテールも見るだけで楽しいですね。ここは同じ1/144のHGとの違いになって、まさにRGならではの面白さですね。

なお、RGは組み立てやすいか? といえば、ガンプラそのものが、プラモデルの基準としては組み立てやすさではトップなので、そういう意味では組み立てやすいです。もちろんこれは個人差がありますから人それぞれで、言ってみれば「自転車に乗るのは難しいか?」と同じような話になりますね。

 では一歩下がって、「プラモデルそのものは組み立てやすいか?」といえば、たとえば実物をプラモデル化した「スケールモデル」というジャンルもあって、それは組み立てやすさよりは細密さなどを重視していたりはしますし(その中でも組み立てやすさを重視した製品もある)、そもそも千差万別なので一概には言えません。

 しかし、少なくともガンプラは、細密さと組み立てやすさが両立した存在であることは間違いありません。RGに話を戻せば、ガンプラのMGを組み立てた方であれば、全く問題はないでしょう。HGでも大丈夫だと思います。

【ボディの組み立て】
腰まで組み上げました。ここまで1時間ちょっとでしょうか。別に早組み競争ではないので、数日間にわたって、自分なりの発見をしながら、ゆっくり作業されるのも良いと思います
ボディを作っています。こちらも脚部同様、内部メカがしっかり作り込まれています。この状態を見るだけでも楽しいでしょう。赤丸の部分を御覧ください。コクピットハッチの▼印がモールドされています
ボディ部分まで組み上げました。いよいよ人の形に近づいてきました
人型に近づけば、やっぱりこうして寝かせたい。我々がνガンダムに初めて会った、あの瞬間に近づいているわけです(まあ、まだ頭はないですが)
【腕部・頭部の組み立て】
お次は腕部。ここは、装甲の隙間から内部フレームのパーツが微妙に顔をのぞかせているのが魅力です。こうした表現は細かいものの、作業的にはパーツをはめていくだけの簡便さは、大人視点で感動するポイントではないでしょうか?
手首が内側にグイッと可動するのも、ポイントですね。ポーズ付けのときに力強さが加わります
腕部も取り付け終了。あとは頭を組み立てて……
またしつこく“あの状態”を楽しんでしまいます。
と、そればかりでもしょうがないので、立たせました。ひとことで言えば「カッコいい!」となる瞬間です

 やはりνガンダムはアムロが搭乗した最後の機体だけあって、RX-78-2ガンダム的なスタンダードさを感じますね。僕だけかもしれませんが。そこになんと、ライフルでもないのにビームを発射する奇妙な武器「フィン・ファンネル」が装備されているところは、何年経っても魅力的です。

 そもそも背の高いMSなのに、フィン・ファンネルの効果でシルエットがさらに上のほうに伸びていて、RGでもその特徴を十分に楽しめますね。まあそれを言うならHGも同様で、HGもなかなかかっこいいのですが。ともあれ以下で紹介するように、νガンダムの特徴であるフィン・ファンネルの造形やディテールの細かさなどは、「作って良かった~」と実感できます。

【バックパックと武器の組み立て】
バックパックの組み立てに入ります。こちらも、ほぼ隠れてしまうのにこのディテールです。そして、白いパーツがかぶさることで、マルイチモールドが色分けを伴って完成します
バックパックの完成です。しつこくて申し訳ないのですが、赤丸で囲んだ部分は、グレーのフレームパーツが顔をのぞかせている箇所。パーツを組んだときに「おお~」と感動する部分なのです
ビーム・ライフル、ニュー・ハイパー・バズーカ、シールドも組み終わり、完成! と行きたいところですが、νガンダムのシンボルである、アレがまだです
そう、フィン・ファンネルですね。ひとつひとつ完成させていくよりも、パーツ数がそれほど多くない(各パーツの見分けが付きやすい)点を鑑みて、予めすべてのパーツを切りとってしまい、流れ作業をすると楽です
ついに完成しました! 赤丸はシールド先端のパーツ。他のνガンダムのキットでもよく付け忘れまして、自分的にはνガンダムあるあるです