特別企画
ヘタ仙人の「プラモデルを楽しもう!」、エアブラシ、こんな感じで使ってます!
グラデーションやパール塗装でモビルドールメイの魅力をアップ!
2021年6月22日 00:00
こんにちは、ヘタ仙人です。これまで私は、スミ入れやウォッシング、ガンダムマーカーや水性ホビーカラーによる部分塗装などをご紹介してきました。そして今回はついに! エアブラシによる全体塗装について、やってみたいと思います!
とはいえ……とはいえ、私のペンネームをご覧いただければわかる通り、今回のネタは高度でして、そろそろ私には技術的/知識的に限界を迎えつつあります。私はハウトゥ記事の編集をすることはよくあるのですが、そこでプロモデラーの深い知識や経験、技術に触れています。それゆえに自分のことがよくわかる。プロがエアブラシ塗装を紹介するならまだしも、私がやっちゃうのは、正しい知識もなければ技術もないので抵抗があるのです。
そこで。
ちょっとアプローチを変えてみました。つまりは「こんなダメな俺でもエアブラシ塗装めっちゃ楽しくやってますよ!」的なお話です。いや、実を言うと、エアブラシ、まあ深いしうまくいかないことはあるのですが、めっちゃ楽しいんですよ! だから、前述したように知識や技術に自信のない私でも、「楽しんでいるか?」と問われれば、もう胸を張って「YES!」なわけです。というわけで、今回はヘタ流エアブラシのお楽しみレポートをお届けしたいと思います。
パーツに塗料を“吹いて”いく、気軽で面白いエアブラシの塗装
さてここで、「エアブラシとは?」みたいな話を始めると長くなりますし、まあだいたいご存知の方も多いでしょうから、簡単な説明だけに留めますと……
エアブラシとは、自分の好きな塗料を空気で吹き飛ばして霧状にして塗装する道具
です。具体的には、空気を送り出す装置であるところの「コンプレッサー」と、その空気を塗料とともに噴射する「ハンドピース」の2つから成り立っています。
なお、実は私は購入時、専門店で識者にアドバイスをいただき、当時で4万強くらいのお金をかけました。その心は、「弘法は筆を選ばずだが俺弘法じゃないから選ぶ」というところでしょうか。このあたりは、予算感だったり「ちょっと試したい」という動機だったり、個人的な要求のほうが大事だと思いますので、そのあたり見極めて購入されるのが良いと思います。
そういう意味では、「ガンダムマーカー エアブラシシステム」や、まずはお安いコンプレッサー・エアブラシのセットもアリかと思います。安いから悪いというわけでもなさそうですしね。
ただ、ハンドピースだけは、写真にもある「押して引く」タイプの「ダブルアクション」をおすすめします。使い勝手は人それぞれですが、エアブラシ塗装ではスタンダードなタイプなので、たとえば模型の記事などでも、このタイプでの吹付けを前提に記述されていることが多いからです。
次に、「エアブラシで何ができるのか?」という点なのですが、いい加減文字ばかりでダルいですよね? そのお楽しみについては、実際に塗装しながら紹介しましょう。まあ一言でエアブラシの楽しさを挙げるならば、「なんとこの俺が色のワンダーを引き起こしてるぜ! これ俺がやったんかスゲェ!」というところでしょうか。とにかくエアブラシ塗装は、プラモデルがめちゃくちゃキレイになるんですよ。しかも自分の手で(実はエアブラシがやってるのだとしても)。
というわけで、今回塗装するのはこちら。
ロボットでなくて恐縮ですが、曲面が多い点、髪の毛のような面積が広いパーツがある点を考慮すると、簡単にエアブラシ塗装が映えるかなと。また、後述しますがカラーリングが黒基調なのも、ヘタな私向きです。
では、まずは塗装のための下準備です。ゲート跡の処理と、合わせ目があれば、消しておきましょう……。が、実はこれが鬼門ではないかと思っています。なぜなら、めっちゃメンドクサイんですよ。いちいちゲート跡や合わせ目、パーティングラインをヤスリがけして(しかも複数のヤスリを使う)、神経を使えば時間もかかる。俺は色を塗りたいだけなのに……。こうして、作っている途中で放棄してしまったプラモデルが、私の部屋に増えていくわけです。
というわけで今回は、「塗り終わったときにあんまりバレませんように」という念を込めつつ、ゲート跡をちょいちょいカッターで切り取って平面らしくする程度に留めて先に進みました。
ただし! ただしここで、私としてはとても大切なことを申し上げたいと思います。すなわち、「メンドクサイから模型って楽しいんですよね」ってことです。そして、メンドクサイことをしたらその分、模型はきれいになり完成度は上がります。あ、私にはそれができないのですが、うまい人はほぼメンドクサイことをしています。神は細部に宿るわけです。
そしてまた、実はヤスリがけなどの作業は、メンドクサイだけではありません。ひたすらヤスリがけに没頭している静寂な時間というのもまた、模型の大いなる楽しみではないかと思います。もちろん無駄な作業をする必要はないし、効率的に作ったほうがいいのですが(そのためのノウハウなどは、それこそプロモデラーのみなさんが惜しみなく、雑誌や書籍、Webのコンテンツで我々に教えてくれています)、地味な作業も楽しいし、とても意味があることなのです。
と、能書きはここまでにして、お次はいったん組み上げたキットを塗装しやすいように分解していきます。これは前回HG 1/144 ペーネロペーでもやった作業ですが、今回は部分塗装ではなくて、ひとかたまりとなったパーツに塗料を「吹いて」いきますから、たとえば前腕などはいったん挟み込んでいるパーツを取り外して再度組み直しています。2つのパーツをバラバラに塗って後でくみあげるよりも、1つにしてしまって塗装したほうが仕上がりが均一になるからです。
なお、パーツの保持は前回同様クリップ付きの竹串などを使っています。
そして、余ったパーツはなくさないように100均ショップで売られているチャック付きのビニール袋に入れておきます。
そして塗装を始めるわけですが、ここで、エアブラシ塗装をしたことがない方の、おそらくすべての方が気になるであろうお話を少し。それは、塗装環境についてです。飛沫が飛ばないかどうか? という点についていえば、「飛びます」。そして匂いがしないかどうか? という点については「します」。
なので、換気はしっかり行なうべきですし、私は使っていませんが、後々塗装ブースを導入したほうがいいですね。ちなみに私は、窓を全開にしたうえで、扇風機2台をまわして排気をしています。初めての方であれば、まずは窓際など外に近い場所で塗装してみてください。また、メンドクサイですが、私は一応マスクもしています。
では塗装をはじめましょう。まずは、メイちゃんのワンポイントとなっている、グリーンの箇所から。これは差し色なので、ちょっと遊んでメタリックにしたい! 今回はメタリックな感じを演出する方法として、「銀の上にクリアーカラーを重ねる」という手法を取りたいと思います。こうした塗り重ねこそが、エアブラシのお楽しみなのです。
どの部分をグリーンにするか? 下の写真を御覧ください。
さて、別パーツ化されている部分は、そのままメタリックのグリーンで仕上げるとして、太モモからくるぶしにかけて走るグリーンのラインは塗り分けをしなければなりません。この塗り分けは、あとあと処理します。では、まずは下地となる黒を塗ります。
なんで下地に黒を塗るの? と疑問に思われるかもしれません。この黒の上に銀を重ねて塗るのですが、黒が下地のほうが、ちょっと暗い感じになって、締まった感が出てカッコいいからです。が、この、銀の下地に何を塗るか? という選択は、実はかなり奥の深いものでして、銀の塗料によっても変わります。が、正直僕にはあんまりわかりません。とりあえず黒を下に塗ると、なんとなく銀がかっこよくなる気がしているからやっているだけです。黒の代わりにベージュなどを使うと、また風味が変わります。
というわけで、お次は銀を重ねていきましょう。
銀を塗ると、みるみる色が変わって面白いですよ。なお、ボディ中央の縦線は、わざと全部塗りつぶしていません。こうすれば、後々グラデーションがかかっていい感じになるかなと。こうしたグラデーションが作れるのも、エアブラシのよいところです。
脚部のラインにも、黒同様はみ出してもいいので銀を塗ってしまいます。
一通り銀を塗り終わったところで「ちょっと待てよ」と。太モモのラインなのですが、一番上には丸いモールドが施されています。ここも同じメタリックグリーンにしてしまうよりも、少し遊んでみたいなと。そうだ。ここだけ銀を残そう! 「マスキング」という作業を行ないます。
ここまで来たら、ラスト! クリアーのグリーンを重ねます。これが気持ちいい! この、「銀の上にクリアーカラー」は、エアブラシを買ったら、いちばんやっていただきたいことです。簡単にできちゃいます。
どうでしょう? これまで僕、そんなに難しいことしていません。なのに、こんなにきれいな塗装ができてしまうんです。
ちなみに、今回の「黒」→「銀」→「クリアーカラー」という塗料にも、ヒミツというか特徴があります。それは「エアブラシ塗装が不慣れでも意外といけちゃう色」ってことなんです。つまりエアブラシ塗装は、塗料の濃度やハンドピースと塗装面との距離、移動速度など、複数要素がからみあっていて、その調整がうまくいかないと塗面がツブツブしたり塗料がじゃぶじゃぶに垂れたり、といったことがあります。
しかし、黒だとそれが、あんまりないし、ムラがあっても目立たない。銀も同様です。ゆえに、とりあえずなんでもいいからぶっかけると、意外とこの写真程度にはなってしまうのです。いやもちろん、巧拙もあるし微妙な色合いを出すには? みたいな話になれば別なのですが。
ところで、未だ解決していない問題がありますよね? そうです、脚のラインです。これも「マスキング」をしないといけません。なにせ、ライン以外は別の色で塗るわけですから。でも、こんな線を残してマスキングするのって大変そう……。そこで登場するのが、キットに付属しているシールです。
これにてグリーンラインの塗装は終了。お次は、ボディスーツの大部分を占める濃いグレーというか、ほぼ黒の部分を次ページで塗っていきます。
(C)創通・サンライズ