インタビュー

宝島社トイズ、伝説のファッション誌の豆本「『CUTiE』豆本」と、誰もが持っていたバッグ「「Cher」ミニトートバッグキーホルダー」をカプセルトイに!

【『CUTiE』豆本】
【「Cher」ミニトートバッグキーホルダー】
6月発売予定
価格:各500円(全5種)

 宝島社トイズは6月にカプセルトイ「『CUTiE』豆本」と「「Cher」ミニトートバッグキーホルダー」を発売する。価格は各500円。

 宝島社トイズは出版社・宝島社で様々な付録本を作っている編集局で2025年8月よりスタートした。宝島社は設立は1971年、サブカル関係、PC関係に加え、ファッション関連の雑誌が急成長、特に1990年代の『CUTiE(キューティ)』で人気を集め、200年代には豪華な付録をつけた『sweet』を展開、この豪華な付録をつけたファッション誌という路線はその後の雑誌に継続され、現在宝島社は「ファッション雑誌No.1」をキャッチフレーズとしている。

 『CUTiE』は1990年代にストリートファッション、クラブファッションを取り上げ、大ヒットした雑誌。一方の「Cher(シェル)」は原宿に拠点を置くファッションブランドであり、その人気の高いエコバッグを雑誌『sweet』の付録として販売したところ、100万部を突破。また、ブランドムックでも付録展開し、累計で280万部という大きな記録を打ち立てた。豆本は1990年代、ミニトートバッグの方は2000年代、2つの異なる時代の流行を感じさせるアイテムだ。

「『CUTiE』豆本」。雑誌『CUTiE(キューティ)』は1990年代のストリートファッション、クラブファッションを提示し、多くの女の子に影響を与えた
「「Cher」ミニトートバッグキーホルダー」。雑誌『sweet』の付録として販売された「Cher(シェル)」のエコバッグは2000年代のファッションを象徴するアイテムだ

 今回のカプセルトイは宝島社トイズのカプセルトイ参入第一弾となる。どちらも出版社である宝島社の歴史を語る上で、欠かすことのできない象徴的なアイテムとなっている。ユーザーは手に取ることでまるでタイムカプセルを開けたような気分になるという。

 今回は宝島社で多彩な雑誌の統括編集長を務め、開発局局長として宝島社トイズを担当する清水弘一氏に、宝島社トイズのカプセルトイ参入の背景と、「『CUTiE』豆本」と「「Cher」ミニトートバッグキーホルダー」の2つのアイテムへの想いを聞いた。

開発局局長として宝島社トイズを担当する清水弘一氏に2つのアイテムの詳細とその背景を聞いた

「パックトイ」の成功が、カプセルトイ参入の原動力に

――最初に清水さんの今回のプロジェクト、カプセルトイ「『CUTiE』豆本」と「「Cher」ミニトートバッグキーホルダー」における役割を教えてください。

清水氏:私はこの商品を販売するブランド「宝島社トイズ」全体を見ています。今回のカプセルトイは宝島社トイズのカプセルトイ参入第一弾になります。

――宝島社トイズは2025年の東京おもちゃショーで非常にユニークな切り口で商品を展開していて、とても印象に残っています。宝島社トイズそのものがどういうブランドであるか、教えてください。

清水氏:私たち宝島社は様々な雑誌を発行しており、児童書に付録をつけて販売しており、玩具を作っている業者さんとのつながりもありました。特に「知育玩具」はしっかりした玩具を付録としていました。こちらは「親が子どものために買ってあげる玩具」です。そういった書籍と玩具を展開していく中で、「親が買い与えるのではなく、子ども自身がほしがる玩具を作りたい」という想いで「宝島社トイズ」は生まれました。

 私たち宝島社トイズは「子ども達の直感に響くもの」が作りたかった。そこでコンビニ流通で袋の中にオモチャを入れる「パックガチャ」というフォーマットの商品を作りました。第一弾である「ぷにゅっとのびる! わくわくハッピーうんちーずBOOK」は、茶色、ピンク色、ラメなど様々な「うんち」のキャラクターフィギュアが12種類のうち1個入っていて、集めて楽しい商品です。子ども達に人気を博し、6万部も売れました。

「ぷにゅっとのびる! わくわくハッピーうんちーずBOOK」は様々な"うんち"フィギュアが封入された「パックガチャ」という形式で販売。コンビニ流通で6万部の販売を記録したという

 ここから「パックガチャ」は広がり続けています。「のび~る! 最強リアル海のいきもの大集結BOOK」はリアルな造形なのに、びよーんと伸びる海洋生物フィギュア。「王者は誰だ!? 最強動物フィギュア&パズルBOOK」はパズル要素があって組み立てるとリアルな動物フィギュアができる。「パックガチャ」の価格は600円から900円ほど。子どもがコンビニで見つけて、「あれが欲しい!」と思わせ、気軽に買える商品を展開しています。おかげさまでかなり好評なんです。

――今回発表した「『CUTiE』豆本」と「「Cher」ミニトートバッグキーホルダー」は子ども向け商品ではなく、年齢が高いユーザー向けですね。

清水氏:パックガチャで『JILL by JILL STUART ふわもこファー&ロゴチャームセット BOOK』という、20代女性をターゲットにしたアクセサリーを封入した商品を展開したのですが、これが好評だったんです。宝島社はファッション雑誌に強い出版社で、この商品はパックガチャのユーザー層を広げるための挑戦でしたが、手応えを感じました。

 そして私たちは「カプセルトイ」にも勢いを感じていました。カプセルトイを専門で扱うショップなども登場し、市場が大きくなっています。パックガチャのノウハウをカプセルトイにも活かしたい、というのが今回の挑戦です。

こちらは『JILL by JILL STUART ふわもこファー&ロゴチャームセット BOOK』。20代女性をターゲットにしたアクセサリーを封入している。この商品のヒットがターゲット層を広げるきっかけになった

 カプセルトイは、従来の子ども向けのいわゆる“オモチャ”とは変わってきているのではないか、と私たちは考えました。“キダルト”と呼ばれる大人も意識した商品、そして外国からの方が魅力を感じるインバウンドという視点も見逃せません。より幅広い層が購入するジャンルに成長しており、ここに私たちのビジネスチャンスがあるのではないか、それが参入の理由です。

――カプセルトイはこれまでの雑誌販売の販路を活かした書店・コンビニ流通とは異なり、カプセルトイならではのルートというか、参入・販売するための方法があると思います。そういった新しいジャンルへの開拓はどのように実現したのでしょうか。

清水氏:これまでは出版の流通で展開していましたが、パックガチャのおかげで玩具業界へのつながりが生まれ始めました。ハピネットさんと関係ができ、カプセルトイが展開できるようになりました。

『CUTiE』と『sweet』は自分がカワイイと思ったものを着たい女の子への雑誌

――パックガチャでの大人向け商品の手応え、カプセルトイ販売ルートの確立という背景はわかりました。それにしても平成(1990年代)に人気を博した宝島社のストリートファッション誌『CUTiE』の豆本と、2000年代に流行したブランド「Cher」のミニトートバッグキーホルダーというのはかなりエッジの効いたラインナップですね?

清水氏:宝島社には「ファッション誌」のイメージがあります。その強みを前面に出したくて、この2つを選びました。

 『CUTiE』は実はもう休刊していて今はありません。しかし当時は大きな人気を得て、隔週刊で販売するほどの雑誌へと成長しました。もう1つのカプセルトイのモチーフとなった「「Cher」のバッグ」というのは原宿のショップブランドのエコバッグなのですが、これを宝島社の雑誌『sweet』の付録として販売したところ、100万部を超える大人気を博しました。その後、ブランドムックでも累計で280万部の販売を記録しています。『CUTiE』は1990年代、『sweet』は2000年代と時代は異なりますが、どちらも宝島社にとって"かけがえのない想い出“なんです。

 特に「Cher」のバッグは、“街を歩けばみんな持っていた”といわれるほどのヒットになりました。当時の若い女性向けファッションに大きな影響を与えたバッグでした。現在、「Cher」というブランドでの展開はなくなりましたが、当時一世を風靡した雑誌と、その付録をぜひカプセルトイで、ユーザーにアピールしたいと考えたのです。

 メインターゲットはもちろん、『CUTiE』の読者だった方、『sweet』の読者だった方に懐かしさを感じて買ってもらうことです。このアイテムをバッグやスマホに着けて、「あの頃こうだったよね」といった話題にして興味を持ってほしいです。

――なるほど、ユーザーへのアピールはもちろんですが、「宝島社のヒットの記憶」を形にしたかった、というのはあるんでしょうか?

清水氏:時代を創ったというか、当時の最先端を表現した雑誌として多くの女性の記憶に残っていると思います。他のファッション誌とは一線を画した存在でした。

 『CUTiE』は当時なかった「ストリートファッション」というものを読者に意識させた雑誌だと思います。街を歩いている女の子を、そのストリートを背景に写真を撮る。グラビアに写っている女の子が、有名な女優やアイドル、モデルではなく、普通の女の子や、読者に近い感じのモデルなんです。

1990年代のストリートファッション、クラブファッションを取り上げたファッション雑誌『CUTiE』。「『CUTiE』豆本」は当時の流行を振り返ることができるアイテムだ

 「今のストリートはこんな感じなんだ」というのを提示するようなファッション誌は当時どこにもなかったんです。有名なモデルや、専属モデルではなく、読者が親近感を覚える「自分もこうなりたい」と思わせるファッションを提示した雑誌でした。

――2つのカプセルトイのモチーフとなった雑誌『CUTiE』と「Cher」のミニトートバッグについてもう少し教えてください。

清水氏:『CUTiE』は街やクラブにいる女性をそのまま撮影したような雑誌でした。当時はファッション誌と言えば豪華なスタジオや、ロケでモデルを撮るような、読者が住む世界とは違う写真を撮る雑誌しかなかったんです。

 その中で本当に街にいる女の子を撮る『CUTiE』は、「実在のファッション」を見ることができる雑誌でした。雑誌に写真が載り、インタビューを受けた女の子達が有名になっていくという、シンデレラストーリーと言える流れもありました。今の雑誌で言う「読者モデル」のはしり、といえるかもしれません。

「Cher」のバッグを付録とした『sweet』は2000年代に大ヒットとなった

 『CUTiE』は音楽も大きな要素でした。当時宝島社は「音楽誌の出版社」の傾向も強くて、『CUTiE』も音楽誌からの流れもあったんです。そういったスタッフが創る音楽とファッションという切り口も斬新で、ただファッション、ただ音楽じゃなくて、「カルチャー」を伝える雑誌だったと思っています。ダンスミュージックや、ライブハウスなど、ファッションと音楽が融合していく、そういう時代の先端を紹介する雑誌でした。

 それ以前は「モテ要素」を追求する女の子のための雑誌が多かったんだと私は思っています。「男の子に見てもらうためのファッション」が主流だった。『CUTiE』や『sweet』は、「自分がカワイイと思ったものを身につける」、ファッションの主体が「誰かに見られる」ではなく「自分の中のカワイイと思う世界を表現する」、「本当に自分が好きな物を身につけたい、おしゃれは自分の表現だ」、そういう女の子の想いを後押しした雑誌でした。

当時の“時代を変えた力”を濃密に感じさせる「『CUTiE』豆本」

――その宝島社にとって大切な想い出を形にしたのが今回の2つのカプセルトイなのですね。商品の魅力を深掘りしていきたいです。

清水氏:「『CUTiE』豆本」は、当時の雑誌を長さ50mm、幅40mmのサイズで表現しました。もちろん雑誌全部を表現できないのでモデルの方が写ったグラビアが中心で、当時の雑誌を飾ったモデルさんと、そして何より当時のファッションが楽しめます。

 種類は全5冊。「吉川ひなのver.」、「宝生 舞ver.」、「あんじver.」、「篠原ともえver.」は全16ページ。今でも活躍なさってる方々の当時の姿、そして彼女たちの魅力を際立たせるファッションが楽しめます。平成時代のカルチャーに触れることができます。現代の女の子にも「あの時代はこんなファッションがあったんだ」と楽しんでもらえると思います。

当時の時代をぎゅっと凝縮した「『CUTiE』豆本」
5種のうち4つはそれぞれのモデルのグラビア。凝ったカットを集めたとのこと

 4冊はグラビア誌のような体裁ですが、5冊目は「スペシャルver.」として、「当時の『CUTiE』」を濃密に感じさせるものとなっています。連載していた岡崎京子さんのマンガ『リバーズ・エッジ』のワンシーン、当時を感じるスナップ企画などを掲載しており、全64ページになります。他の4冊とはちょっと違う雰囲気のアイテムとなっています。

 載っている記事写真はすべて当時の『CUTiE』に掲載されていたものです。当時の時代の空気までも詰め込んだタイムカプセルのような豆本となっています。

 実はグラビアですが、当時のモデルの方に連絡を取り、許諾をとるのが大変だったんです。特に宝生 舞さんは現在は引退なさり、芸能活動をなさっていません。その宝生さんが許諾してくれた本、というところも魅力の1つかもしれません。宝生さんはこちらの企画に喜んでくださり、当時の私を見てほしいと言ってくれました。

他の豆本が16ページに対し、「スペシャルver.」は64ページ。コミックスや特集ページなど、『CUTiE』という雑誌そのものを振り返ることができる

――この豆本を見ると当時の時代とファッションが楽しめる、ということですね

清水氏:あの頃だからこそ実現できた“勢い”も感じてくれればうれしいですね。グラビアには独特のアングル、当時は常識破りだった背景など凝ったカットもあります。今のグラビアではできないような撮り方もあるんですよ。ファッション誌を見ている方にはそういったポイントも見所です。当時人気を集め、時代の最先端を描いた独特のパワーを感じていただけるはずです。

 例えば水着のカットは、「セクシーさ」を追求していない。「カワイイ」を伝えるための写真なんです。海外にロケに行くほどコストをかけたのに、そのモデルさんならではの個性を強調する写真ではなく、ぱっと見その方だとはわからない、ファッションが主役に感じさせるカットとか、冒険している写真を厳選して掲載しています。当時の新しさに加え、今のグラビアとも異なる、時代そのものの力を持ったファッションの写真に注目してください。クリエイターの方が見ても学びがあるかもしれません(笑)。

 この豆本で使われている誌面はすべて実際に宝島社が残しておいた本からスキャンしました。そこも苦労しましたね(笑)。

手触り、文字の大きさ、「ミニトートバッグ」としてのバランスを追求

――「「Cher」ミニトートバッグキーホルダー」はバッグなどにつけるアクセサリーというイメージの商品でしょうか。バッグにバッグ型アクセサリーをつける、というのも面白いですね。

清水氏:カプセルトイではバッグにつけるアイテムは定番といえます。このミニトートバッグの大きさは私自身も「このミニトートバッグにはものは入れられないんじゃないか?」とも思ったんです。社内からは「ちゃんと収納できるようにバッグにボタンをつけてバッグが閉じるようにするのはどう?」という意見もあったのですが、担当者は「それでは元のデザインと違ってしまって意味がない!」と強烈に反論しました。そんな強い想いをこめたプロダクトです。

 モチーフとなった「「Cher」のバッグ」は、ファッション雑誌『sweet』の付録として世の中に出ました。「Cher」は原宿のセレクトショップを構えブランドグッズを展開、特にエコバッグが人気を博しました。その「Cher」のエコバッグを雑誌の付録として販売した『sweet』は100万部を超えるヒットとなったのです。その後ブランドムックも展開し、累計では280万部売れました。私たちの印象では街を歩く女の子のほとんどが付録の「「Cher」のバッグ」を持っていた、という印象です。

「「Cher」ミニトートバッグキーホルダー」は当時の商品を作ったデザイナーが監修を担当、細かいところまでこだわりを持って作られている

――そのバッグのミニ版を、今回カプセルトイとして手に入れられるのですね。

清水氏:カプセルトイ「「Cher」のバッグ」は、大ヒットした時のデザインを再現しています。大きさは約・縦65×幅85×奥行き35mm。種類は5種類。ミニサイズですが、ブランドは非常にこだわっています。特にこだわったのは生地です。

 元々のエコバッグが上質な生地を使っていました。縫製もしっかりしていて、使い勝手が良かった。この感触、雰囲気をちゃんとカプセルトイでも再現しようとしています。

 生地ですが、同じ生地を使うとミニトートバッグにすると“感触”は変わります。生地の繊維の大きさがミニトートバッグにすると違って感じてしまうんです。そこで繊維の小さい、見た目や感触もミニサイズに合わせた生地を使っています。

 文字のデザインも、実はオリジナルと比率を変えてます。ミニカーや模型がサイズを縮小して表現するとき、バランスを変更するのと同じです。非常に細かく「小さくしたからこそのバランス」を色々なポイントで調整しました。クオリティを追求したのはオリジナルのデザインを担当したデザイナーさんに監修をお願いし意見を聞けたからです。ミニトートバッグとして新しく「Cher」のバッグを作った、といえるかもしれません。

 “自立”にもこだわりました。ちゃんとバッグだけでも置いて倒れず形を保つこと。これはサイズを小さくしたからこそこだわったポイントで、ちょっとした小物入れの役割も持たせました。付録付きムックを制作する中でヒット商品にはいくつか共通点があり、デザイン重視のアイテムでもどこかに実用性を持たせると消費者の心に刺さることが多いです。

しっかり立つように設計。ミニトートバッグならではの実用性を取り入れている
本物のバッグとの大きさ比較
布の繊維の大きさや文字のバランスが異なる。小さくなったからこその感触を大事にしている

 個人的にはバッグの印刷が本当にうまくいったな、と気に入ってます。そのまま印刷するとただのっぺりした印刷になってしまって、オリジナルの“かわいらしさ”がでない。カワイイバッグ、ではなくなってしまうんです。サイズに合わせて採用した生地にしっかりあった印刷、そして文字などのバランス、持ち手のサイズ感……。かなりこだわり、ちゃんとオリジナルを縮小したカワイイバッグができました。

――豆本も含めてですが、これだけこだわりを込めたアイテムをスマホやバッグに着けて楽しむ人、清水さんはどんなユーザーを想定していますか?

清水氏:企画当初は『CUTiE』や『sweet』を読んでいた女性、当時に想い出がある女性に手に取ってもらおうと考えていました。

 しかし「カプセルトイ」というジャンルはそれだけではない、もちろんメインのターゲットは“当時の女の子”ではありますが、おしゃれに興味のある人、カプセルトイというジャンルそのもののファンの方、1回500円という低価格も“遊び心”を刺激します。雑誌の知識が全くない人も面白がって買ってくれるのではないか、そういう期待があります。今のカプセルトイの人気の勢いは、より幅広い層にリーチできると思っています。「そういえばあのとき街で見かけたな」というような人もカプセルトイを回してほしいです。

 カプセルトイは本当に雑誌制作と全く違う方法論があると再認識しました。私たちはこれまで読者を明確に設定し、そこに集中してその読者が読んで面白い雑誌を制作し、手に取ってもらえるデザインを追求してきました。ところがカプセルトイ業界は「これは誰が買うんだろう?」と思うようなアイテムでも大ヒットになったりする。面白い世界だと思っています。

――とても魅力的なプロダクトだと思います。次回作はどうでしょうか?

清水氏:まだはっきりとは言えないですが、いろいろ考えています。まだまだ宝島社には休刊した本があります(笑)。雑誌そのものをただ復刻しても時代には合わない。今回のカプセルトイのように、現代の人に懐かしがってもらえるアイテムを作っていこうと思います。本や付録、当時流行ったものをどうカプセルトイにするか、ご期待ください。

――読者へのメッセージをお願いします。

清水氏:ネット販売はほしいものを検索して目的の物を買うことができる。でも実際に売り場へ行くと、目的のものだけではなく、面白いものや興味を惹かれるものに出会います。書店でたくさん並んでいる雑誌の表紙が気になったり、立ち読みしてみて買うことにする、買い物の楽しさって”出会い”だと私は思うんです。カプセルトイは売り場にたくさん商品が並んでいて、自分のお金をどれに使おうか迷ったり、買うはずではなかった物に興味を持つ。そういうことが自分の世界を広げることだと思います。

 今回販売する2つのアイテムは私たち自身も時代を遡り、連絡を取れる関係者を探すような苦労とこだわりで完成しました。ぜひ手に取っていただき、アイテムに封じ込められた「当時の時代」を感じてください。そしてその想い出を誰かと分かち合ってほしいです。

――ありがとうございました。

清水氏の言葉からは「本を出版することのこだわり」が強く感じられた


 「『CUTiE』豆本」と「「Cher」ミニトートバッグキーホルダー」、今回発売する2つのカプセルトイは非常に魅力的なアイテムだと感じた。"時代"を封じ込め、手にすることで自分を振り返ることができる。しかも形にすることへの情熱もしっかり感じさせられるのだ。確かにファッションや当時の知識に強い興味がなくても、つい手に取ってみて、それが時代を学ぶきっかけになるような“"磁力”を持った商品だと思う。

 それとともに清水氏の雑誌作り、もの作り、そして書店で本と出会うような、デジタルとは違う「出版社」ならではの強烈なこだわりも感じた。「今の時代に、自分たちが育て上げ形にしてきたブランドをどうユーザーに認識させるか?」というテーマを追いかけている情熱が感じられた。今後も注目したい。