レビュー

モデルガン「S&W M360J “SAKURA”」/「S&W M37 J-police 警察仕様」レビュー

気分は刑事ドラマ! 2つのモデルガンを"発火"させてみる!

 モデルガンの楽しさは"発火"にある。販売されている「キャップ火薬」を薬莢型のカートリッジに詰め、モデルガンに装填し、引き金を引く。まるで実際に銃を撃ったかのように銃から破裂音が突き抜ける。トイガンを持って撃った時を想像して「バーン」と口まねをするあの感じが、火薬でできるのは、爽快感がある。

 発火の前にまずモデルガンとしての感触も触れておきたい。今回触ることができた「S&W M360J “SAKURA”」と「S&W M37 J-police 警察仕様」は共にHW(ヘビーウェイト)という金属粉を練り込んだ樹脂で構成されている。モデルガンは樹脂製だがこのHWで実銃に近い重さ、質感を実現している。

 引き金やエジェクターロッド、ハンマーなどは亜鉛ダイキャストが使われているので、金属感もしっかり感じられる。拳銃を構えるのはやはり自分が映画やドラマの登場人物になったかのような感覚があって楽しい。特に今回は警察拳銃をモチーフにしたモデルガンである。気分は刑事ドラマだ。

【気分は刑事ドラマ】
キャップ火薬をカートリッジに装填していく。モデルガンはこの準備も楽しい

 筆者が昔見ていた「太陽にほえろ」や「西部警察」、「あぶない刑事」などは大型拳銃を撃つヒーローが多かった。大型拳銃も魅力があるが、小型拳銃もシブイ魅力がある。昔の刑事ドラマだと小型拳銃はベテラン刑事の持ち物だったが、リアル志向の刑事ドラマの場合は今回の「S&W M360J “SAKURA”」や「S&W M37 J-police 警察仕様」を使うキャラクターも多そうだ。木村拓哉さん主演のドラマ「教場」でもM37が登場した。

 火薬をカートリッジに詰め、弾倉にセットする感覚は独特のリアルな感覚があって楽しい。モデルガンの場合は1発1発カートリッジに火薬を詰める。ちょっと手間ではあるが、この作業が楽しいのだ。サブマシンガンやアサルトライフルなどの場合はこの火薬を詰める作業を、数十発、百発以上もやるのだ。それを一瞬で消費する、と言うのも面白い遊びだ。

 火薬を鳴らすモデルガンは発火させる場所も気をつけなくてはならない。拳銃の形をしたモデルガンから発砲音が響くのだ。事情を知らない人に見られて、不安を与える事態は避けたい。きちんと許可を得た空き地など発火させる場所は選びたいところだ。筆者は幸いにも両親が畑を持っているので、了承をとってここで発火してみた。

 発火は動画でお見せしたい。この日は真夏の太陽が照りつけておりかなり暑かったが、銃を構えて引き金を引くと「パーン」と火薬の破裂音が響き渡り、暑さを吹っ飛ばす爽快感があった。カートリッジは先端に穴が開いており、カートリッジ内での爆発による衝撃音がまっすぐ銃口へ抜ける。この衝撃が前に抜けていく感じが良いのだ。シングルアクションでじっくり銃を構えて引き金を引く。ダブルアクションで連続して引き金を引く。映画やドラマのガンアクションの楽しさを追体験できる。やはりこの"発火"は独特の楽しさがある。

 発火するとキャップ火薬のかすが残る。モデルガンは発火した後はカートリッジを洗うなど、手入れもきちんとやっておきたいところだ。

【タナカ、モデルガン「S&W M37 J-police 警察仕様」を発火する】
【タナカ、モデルガン「S&W M360J “SAKURA”」を発火する】

他の銃と比較して実感するM360Jの小ささ

 今回触ることができた「S&W M360J “SAKURA”」は"小型拳銃"である。せっかくなので筆者のコレクションと並べてみたい。以前レビューしたM29は大型動物を一撃で仕留められる威力がある「44マグナム弾」を発射できる大型拳銃である。並べるとやはり大きさは段違いだ。改めてこの銃を振り回すダーティーハリーがどれだけ型破りな刑事なのかがわかる。

 グロック17はアメリカの警察で多く使われている拳銃だ。グロック17は装弾数が17発。5発のM360Jとは3倍以上の弾数が違う。アメリカと日本の警官が立ち向かう犯罪は全く違うからこそだと思うが、並べるとやはり警官の装備の違いを実感させられる。今回はもう1つ、357マグナムを撃つことができる中型リボルバーM19とも並べてみた。

 大きさだけを見るとM360Jは小さいが「日常的に腰につけて歩き回る」と言うことを考えた時、小型軽量のM360Jは他の拳銃に比べ負担が少ないというのも見逃せない点だ。射撃するような場面が少なく、取り回しがしやすく、携行している負担が少ない。M360Jは日本の警察官が携行する銃としてどういった能力を求められているかも実感できたと思う。

【他の銃と並べてみる】
大型拳銃M29と並べる。M29が"大砲"であることが実感できる。こちらはレビューで取り上げたタナカのモデルガン「M29 6.5インチ “ダーティハリーモデル”」
アメリカの警察で使われるグロック17と。写真に使用したのは、東京マルイ「ガスブローバックガン グロック17 Gen.4」
中型拳銃M19と比べてもM360Jの小ささがわかる。こちらはハートフォードの「M19 2.5インチ モデルガン組み立てキット」

 今回触れることができた「S&W M360J “SAKURA”」と「S&W M37 J-police 警察仕様」は比べることで現在の警察が使っている拳銃がどんなものかを知ることができた。特にM360Jは原型であるM36からどのようなところが強化されているか確認することが出来、楽しかった。

 警察が使っている拳銃というのは独特の憧れを感じさせる。小ささ、装弾数、グリップ、ランヤードリング……。警察の小型拳銃だからこその"ドラマ性"がある。構えてみて、発火させてみて、物語を考えてみて自分をドラマや映画の登場人物に重ねてみるのが楽しい。この2つはモデルガンの入門用としても良いと思う。手に取ってみてはいかがだろうか?