特別企画

付録と侮ること勿れ! 超本格的なセルフレジ体験ができる「幼稚園」5月号の付録をつくってみた

4月1日ごろ 発売予定

価格:1,280円(税込)

 毎日1度は必ず通過するであろうレジ。商品の売買には欠くことのできない機械「レジスター」は、お馴染みのドロアー付きのレジから、集計機能を有するPOSレジ、キャッシュレス時代に対応するタブレットレジ、客が自ら会計を行なうセルフレジなど、価格にして数万円のものから中には数百万円のものまで、現在では実に多種多様なものが普及している。しかし、一方でおもちゃとなると“ごっこ遊び”用としては電卓付きのデフォルメデザインが主流。現実に使われているレジ、メーカーが製造しているレジと形がそっくりなものは意外にも少ない。

 そんな中、この度4月1日に発売される「幼稚園」5月号では、東芝テックのセルフレジ「WILLPOS-Self(ウィルポス・セルフ)」とのコラボが実現したというではないか。付録のペーパークラフトで本物とそっくりなレジを作り遊べると謳う今号。これは期待せずにはいられない。

 「幼稚園」は1931年創刊の小学館が発行する幼児向け月刊誌。幼稚園児に当たる4歳から小学校入学前の6歳までを対象として、現在に至るまで多くの子供の好奇心や感性を刺激する企画を掲載し続けている。特に「幼稚園」の人気を支えているのはそのハイクオリティな付録に秘密がある。近年「幼稚園」では様々な企業とコラボした付録に異様なほど力を入れており、その本格的で“胸アツな”付録は大人さえも魅了。2019年に江崎グリコとコラボした付録「セブンティーンアイスじはんき」は凄まじい人気で売切れが続出し、その勢いは創刊以来初となる重版が決定したほどだったという。

 その他には、バンダイナムコエンターテインメント完全協力のもと、手のひらサイズに再現されたアーケードゲーム「ワニワニパニック」や、ボタンを押すとアームが開閉するギミックが搭載されたセガの「UFOキャッチャー」など、こちらの付録については過去に弊誌や僚誌「GAME Watch」でも特集記事として取り上げ、その衝撃的なクオリティをすでに紹介している。

 そして今回「幼稚園」5月号の付録である「東芝テック セルフレジ」を実際に組み立てて一足先に遊ぶ機会を得た。幼児向け雑誌の付録と高をくくって泣きを見るほど、制作者の工夫と思いの詰まった制作キットに感動するとともに、紙だけで出来ているとは思えない圧巻の再現クオリティ、そして現実のシーンと変わらないセルフレジ体験を味わうことができた。不器用ながらも完成形に思いを馳せつつ組み立てに悪戦苦闘する筆者の様子を交えながら、その制作過程での面白さ、完成形の凄さをお伝えしていきたい。

本当に紙だけでつくるセルフレジ制作に挑戦!

 さて、さっそく制作に取り掛かる。キットとして入っていたのはパーツシート2枚、何かの電子ユニット1個、レシートと領収証が印刷されたシート1枚、輪ゴム1つの計5つ。パーツシートを広げてみるとまずその大きさ、パーツ数の多さに唖然。このパーツ達が一体どうやってレジスター本体になるだろう。何やら壮大な作品に着手するのかとワクワク感が高まってくる。

 「もしかして作るの結構大変?」と一瞬思ったものの、作り方は印象とは裏腹にとてもシンプル。本誌に掲載されている図入りの説明書の指示に従って制作を進めていき、また基本的にはパーツに折れ線があれば山折り、線上に「たにおり」と書かれていれば谷折りする。そして各パーツのツメにはそれぞれ番号が振られており、1から順にパーツを折り曲げたり取り付けたりすれば、あれよあれよという内にパーツ同士が形作られていく、というわけだ。なお、制作にはハサミとセロハンテープが必要となるので、あらかじめ用意しておくことをおすすめする。

 では早速パーツを外していくことにしよう。プチプチと心地よい音が耳に響きながらリズム良くパーツを外していく。パーツはハサミ等が必要ないよう簡単に手で外せるようになっており、小さい子供でも安心して遊べるよう設計されている。ここでのポイントはとにかく焦らないこと。素材が紙なので大雑把にやってしまうと、どうしてもうまく外れなかったり破けてしまうことがあった。焦らず丁寧に落ち着いて進めていくことが大事だ。このパーツがいったい何になるのだろう。プラモデルを作っているときのような完成形への期待を膨らませながら作業を進めていく。

際の部分は特に要注意!
大雑把にやって無理に外そうとすると
ああーやってしまった……

 各パーツには作る順番のほかにそれぞれ「なか1」や「ささえ」など、どの部分に相当するかもわかりやすく記載されている。途中「パトランプ」というパーツを外していたとき、お恥ずかしい限りだがパトランプって何だっけと思い調べてしまった。自分の気になるものを調べてまた新たな知識とする。パーツの取り外しは単純ではあれど、知らないものへの探求心や好奇心が刺激される作業だ。

 ちなみにパトランプとはいわゆるパトカー等につける回転警告灯のことで、レジにおいては遠くからでもレシート切れや釣銭不足を把握できる警告灯の役割を担っている。

 こうして全てのパーツを外してみるとなかなか壮観な眺めになった。やはりパーツ数は31個と個人的には多い印象だ。ただし今回はパーツ数の全体をイメージできるよう、敢えて先に全てのパーツを外してから制作している。中には細かいパーツもあるのでパーツの紛失に多少なりとも不安があれば、作り方の順番通りにパーツを外していくといいだろう。

取りはずしたパーツ数は全部で31個となる
今回のパーツの中で一番大きなパーツとなる「まわり」

いよいよ組み立て開始! ワクワクとイライラが紙一重な工作の醍醐味を満喫

 それではパーツの準備ができたところでいよいよ組み立て開始となる。作り方は先にお伝えした通り、各パーツのツメにある番号と付属の説明書に従うだけ。基本は山折りで指示があれば谷折り、その他手順も直接パーツの方に印字されている。工具も特に必要としないが、細かい作業用にピンセットなどを用いて作ってもいいかもしれない。制作がかなり楽になるので適宜判断していこう。

パーツには直接作り方が印字されている
折り目は基本山折りで折っていく
対応する番号のところにツメを差し込む
「ぬく」とあればその部分をくり抜いていく
こういう部分は自分の爪で行なうよりも道具を使う方がやりやすい

 まずは「なか」と書かれたパーツを作っていく。最初のうちは説明書の指示を理解するのに少し時間がかかることもあったが、慣れてくると徐々に制作スビードも上がってリズミカルに組み立てを進めていけた。

 その中でも序盤の手順3はなかなかの難所で、組み立てた「なか」パーツ同士をドッキングしていくのだが、指示は「くみたてて、とりつける」とあるだけ。これが思うように嵌らずイライラ感が募ることもあった。しかし、このイライラ感を味わい乗り越えていくことこそ工作の醍醐味だ。どうやったらうまくできるだろう、なぜうまくできないのだろうと頭を使い手を動かして考えてみる。作り方の言葉足らずさはその思考の楽しさを知ってもらうための一工夫であるように感じた。

このパーツにあるパーツを取り付けて…
このように組み合わせる。これはいったい何のパーツになるのだろうか

 続いては、レジの外装部分・機械部分が印刷された「まわり」や「した」などのパーツを用いて、いよいよレジ本体の制作に取り掛かっていく。指示通りに実際に折っていくとようやくその大きさがイメージできた。これは想像していたよりも大きなものとなりそう。紙幣やコインの投入口もリアルに再現されており、完成形への期待が高まる。

 ここまで作り上げたパーツをどんどんつなげていく。いよいよ完成に近づいてきたかとさらにワクワクしてくる。また各パーツのツメを同じ番号が書かれている箇所に押し込んでいくとき、スポッと入るのがこれまた気持ちいい。ただ紙を固くして頑丈な造りとしているためか、中には結構はめ込むのに苦労したところもあった。破けないように、破けないようにと細心の注意を払いパーツを取り付けていく。「あーーピンセットが欲しいー!」と悪戦苦闘しているうちにレジ本体の下部分が完成した。

大きな「まわり」を折り曲げて
さきほど苦戦したパーツをドッキング!
レジの機械部分もお目見え
紙幣やコインの投入口がリアルにプリントされている
どんどんパーツ同士を組み合わせていく
いよいよ取り付けていくぞ!
気持ちよーく差し込めるときもあれば
どうしてうまく入らないのーー!? と叫びたくなるときもあった
遂に完成形が見えてきた!

 次に手のひらサイズの電子ユニットをレジ本体の上部に設置する。これはセンサーユニットで、あのピッというレジ特有の音と金額の読み上げ、バーコードのスキャンを行なう本付録の心臓部となっている。電池はボタン型電池LR44が2個が必要だが、すでに電池はセットされており絶縁テープを外すだけで使用可能だ。なお、電池カバーを外す際にはドライバーが必要となる。

 最後に、レジのバーコードリーダー部分とモニター部分に相当する「うえ」パーツを、レジ本体上部へ覆いかぶせるように取り付けていく。これで会計を行なうレジ本体部分の出来上がりだ。しかし今回作っているのは「セルフレジ」。さらに「かごおきば」と「マイバッグおきば」、そして「パトランプ」をそれぞれレジ側面に取り付けることで、遂にレジ本体が完成した。

最後の大仕事。「うえ」を取り付ければ、完成はもう間近
画面表示、センサー、レシート発行口の位置が合っていればOK
「かごおきば」も
正面から見てレジ右側に取りつけていく
「マイバッグおきば」は
レジ左側に差し込むだけですぐに出来上がり
レジが遂に完成!
550mlのペットボトルとの大きさ比較。写真に写るマイバッグや食品を次につくっていく

 ここまでの所要時間はだいたい1時間半ほど。完成形に近づいていくほど組み立て作業に没頭して、気が付いたら時間を忘れて工作を楽しんでいた。途中、思いがけず孤軍奮闘することとなったが、ここまでの苦労が気にならなくなるほど達成感で胸がいっぱいになった。目の前に現われた「レジスター」は、本当に紙だけで出来ているとは思えない大満足の完成度で、しかもメーカーのもの、現実にあるものがそのままミニチュアサイズとなって再現されているのには感動した。