特別企画

「ガンダム 水星の魔女」からガンプラ「HG 1/144 ダリルバルデ」を全塗装

グエルの失意と復活をイメージした黒と赤のツートンカラー

【HG 1/144 ダリルバルデ】

発売元:BANDAI SPIRITS

発売日:2022年12月3日

価格:2,090円(税込)

 今回は「機動戦士ガンダム 水星の魔女」より「HG 1/144 ダリルバルデ」の作例を紹介します。ジェターク・ヘビー・マシーナリーの開発した第5世代実証機に各所ディテールアップを行ないつつ、グエルの心境の変化をカラーリングで表現していきます。

ジェターク・ヘビー・マシーナリーの開発した第5世代実証機

 今回作成するダリルバルデはTVアニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」にてベネリットグループ御三家の一つであるジェターク・ヘビー・マシーナリーが開発した第5世代実証機です。本機は次世代のドローン兵器技術をモビルスーツで運用することを優先課題として建造されました。本機には革新的技術とされるGUNDフォーマットは採用されておらず、モビルスーツとしての正統的進化系となっています。

 パイロットはジェターク社の御曹司であるグエル・ジェターク。ダリルバルデはスレッタが駆るガンダムエアリアルとの決闘で使用され、一度目は敗北し機体は大破しました。その後グエルはアスティカシア高等専門学園を離れ、テロ事件の渦中で実父を誤ってその手にかけてしまうなど、激動の人生を歩むこととなります。

「機動戦士ガンダム 水星の魔女」に登場するダリルバルデの設定画。
Season2では新武装を搭載し再登場しました。
グエル・ジェターク表情集。今回の作例でイメージするのはテロ事件を経て失意にある頃の彼です。

少ないパーツ数でプロポーションがしっかりと再現されたキット

 プラモデルとしてのダリルバルデはこれまでの作例にて紹介したキットたちと同様にポリキャップ、ABS不使用のキットとなっており、塗装派のユーザーにも優しい仕様となっています。また、外装パーツが赤一色ということもありランナー数はエフェクトパーツ、台座パーツを除くと3ランナーとなっており、すっきりした印象です。また、各外装パーツが大きく成形されているので組み立てもしやすい印象です。

組み立てやすく、素組みでもばっちりと仕上がります。

「HG 1/144 ダリルバルデ」をツートンカラーに全塗装

 ダリルバルデを制作していきましょう。今回は劇中にて廃人同然となっていたグエル・ジェタークが復活していく様子をカラーリングにて表現してみます。

今回使用したツール類今回は大きな改造を行なわなかったためこれまでに使用したものと特に変わりはありません。
今回使用した塗料類。外装のカラーリングをツートンとしているので使用した塗料の種類は少なめです。

 まずはキットの仮組を行ないます。

仮組を行なったダリルバルデ。本キットには台座が付属することも嬉しい点です。

肉抜き穴を埋めて重量感をアップ

 今回制作するダリルバルデにはつま先パーツやフロントアーマーに肉抜き穴が発生しています。このままでは各種ポー人をした際に肉抜き部分が見えてしまい、プラモデル感が際立ってしまいます。これらの肉抜き穴の加工に、今回はプラ版を使用した方法と、パテを使用した方法の2種類を使います。穴を塞ぐことでパーツに重量感を持たせ、どの角度から見た際にも完成度を高めることができます。

肉抜き穴のあるつま先パーツ。ここではプラ板を使用した方法にて肉抜き穴を塞いでいきます。
適当な大きさにカットした0.3mm厚のプラ板を接着します。
はみ出た個所を切除すれば穴埋め完了です。

 フロントアーマー等、肉埋め箇所が曲面の場合はポリパテを使用して肉抜き穴を塞ぎます。

肉抜きのあるフロントアーマー。曲面に対してはポリパテを使用して肉抜き穴を塞ぎます。
パテを盛り付けたフロントアーマー。硬化時の肉痩せを考慮して多めに盛り付けます。
はみ出た個所を削り、残った小傷はラッカーパテで埋めれば穴埋め完了です。

先端をシャープ化し、兵器としてのディテールをアップする

 ガンプラは安全性向上のため尖った個所を丸く整形しています。このままでは兵器としてのリアルさが損なわれますので、先端をシャープ化しましょう。

先端をシャープ化するかかとパーツ。爪部分の先端が丸くなっています。
シャープ化する箇所をデザインナイフで切り欠きを付けます。これにより先端に接着するプラ板の接着強度を確保します。
先端にプラ板を接着します。プラ板は1mm厚を使用しています。
はみ出た部分をやすりで整形すればシャープ化完了です。

エッジのシャープ化とモールドの彫り直しでパーツにメリハリを与える

 本キットは曲面を多用した形状となっていますが、各部に装甲同士の接合部や平面となっている個所があります。よく見るとパーツのエッジが丸みを帯びているほか、分割されている装甲板が1パーツにまとめられてるのが気になる部分です。今回はエッジのシャープ化とモールドの彫り直しでメリハリを出しましょう。

パーツのエッジ出しはゴッドハンドのエッジ出しヤスリやタミヤのモデラーズナイフを使用してエッジを立てていきます。力を入れすぎないように注意しながら加工していきます。
モールドの彫り直しは、ファンテックのスジ彫りカーバイト0.15、超硬けがきニードル10°の中から適宜選択して使用していきます。
加工前のパーツ(左)と加工後のパーツ(右)の比較。エッジとモールドがはっきりすることでパーツのメリハリが出ます。

合わせ目を段落ちモールド化して簡単に処理する

 水星の魔女キットの多くは合わせ目がほとんど目立たないように設計されていますが、ダリルバルデには数か所の合わせ目があります。流し込み接着剤で処理をしてもいいのですが、今回は段落ちモールド化して、合わせ目を一つのディテールへ加工します。

合わせ目のある腰パーツ。中央に合わせ目が発生します。
スジボリ堂のBMCダンモ 段落ち幅 0.2mm 0.4mmを使用して段落ちモールドを作成していきます。今回は0.4mm幅を選択しました。
段落ちモールド化した腰パーツ。合わせ目がディテールとなりました。

 以上でディテールアップは完了です。パーツを洗浄したら塗装に入っていきましょう。

ブラックとレッドのツートンカラーに全塗装

 今回の塗装は全体をブラックに、外装の一部パーツをレッドに仕上げていきます。まずは下地をガイアノーツの「サーフェイサーエヴォ」で整えました。

サーフェイサーを塗布したシールドパーツ。パーティングラインの処理忘れ等があればこの時点で処理を行ないます。

 サーフェイサーが十分に乾いたら、ブラックに仕上げる箇所を塗装していきます。ブラックにはガイアノーツの「Ex-ブラック」を使用しました。

ブラックを塗装したシールドパーツ。艶やかに仕上がりました。

 ブラックに塗装したパーツは乾燥後につや消しのコーティングをしておき、続いてレッド部分を塗装していきます。レッド部分の塗装にはサフの上から直接レッドを塗装してもいいのですが、グレーの下地ではレッドの発色が悪くなってしまいます。そのため、一度下地色としてピンクを塗布した後に、レッドを塗装していきます。下地のピンクにはガイアノーツの「サイバーフォーミュラカラー ピンク」を、仕上げ色にはガイアノーツの「ブライトレッド」を使用していきます。

下地のピンクを塗装した大腿部パーツ。下地にピンクを使用することで赤の発色がよくなります。
仕上げ色を塗装した大腿部パーツ。鮮やかなレッドに仕上がりました。

 レッド部分には光沢コーティングをして塗装完了です。

グエルの復活をイメージしたダリルバルデ

 早速完成したダリルバルデを見てみましょう。

【正面】
左:塗装前、右:塗装後
【側面】
左:塗装前、右:塗装後
【背面】
左:塗装前、右:塗装後

 成型色と比較して大きく印象が変わりました。

ポーズをつけてみました。ランダムにレッドを配置することで雰囲気を大きく変更しています。
頭部はメインカラーをブラックにしつつも、円状のパーツをレッドとすることでアクセントを加えました。
肩部分のアップ。ブラック部分はつや消し、レッド部分は光沢とすることで色だけでなく質感も差別化しています。
ビームサーベルを構えてみました。本体のブラックとビームサーベルのパープルがダークヒーローの雰囲気を醸し出しています。
足裏など加工前は肉抜き穴のあった個所も穴埋めをしているので違和感がありません。
足裏はプラ板を貼っただけなので近寄るとツルツルして見えます。ここにモールドを彫ってディテールを追加すればさらに完成度を上げることもできます。

 いかがでしょうか。ツートンカラーで塗装を行なう際はつい左右対称にて塗装してしまいがちです。今回のようにランダムパターンで配色を変えるとまた、違った雰囲気にすることが可能です。さらには同じ外装パーツでもツヤ消しと、光沢によって雰囲気に差をつけるのも面白いと思います。この記事をきっかけに、自由な発想でプラモデルを塗装してみてはいかがでしょうか。

今回使用した工具一覧
使用工具品名
ニッパーGSIクレオス Mr.シャープネスニッパー両刃タイプ
ニッパーゴッドハンド アルティメットニッパー5.0
ナイフタミヤ モデラーズナイフ
やすりピットロード PY07「フィルムスティックやすり 400番」
やすりゴッドハンド エッジ出しヤスリ
カンナHEMIxIPD ぷら用カンナ
スジ彫りファンテック スジ彫りカーバイト0.15
スジ彫りファンテック 超硬けがきニードル10°
接着剤ウェーブ ×3G高強度
今回使用した塗料一覧
工程使用塗料
下塗ガイアノーツ サーフェイサーエヴォ
下地色ガイアノーツ サイバーフォーミュラカラー ピンク
上塗り(ブラック)ガイアノーツ Ex-ブラック
上塗り(レッド)ガイアノーツ ブライトレッド
トップコート(つや消し)クレオス Mr.スーパークリアーつや消し
トップコート(光沢)ガイアノーツ Ex-クリアー
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