インタビュー
「ゲートルーラー」総責任者池田芳正氏独占インタビュー
ブシロードに訴えられた池っち店長、その心境を赤裸々に語る
2021年2月16日 00:00
- 2月収録
池っち店長こと池田芳正氏といえば、カードキングダムの創業者であり、YouTubeでのTCG動画配信の先駆者としても知られている。また、「バディファイト」の原作者や「ゲートルーラー」の総責任者でもあり、その言動がTCG業界を騒がせることも多く、好き嫌いが極端に分かれる人物でもある。
2004年から東京に軸足を移し、カードゲームショップフランチャイズ「カードキングダム」を設立。
その後、世界初のカードゲーム動画チャンネルを開始。
カードゲームユーザー、ショップ店員、ゲーム開発者、メーカーの社長という全ての立場での経験から、日本カードゲーム業界を盛り上げようと努力している。
池っち店長が総責任者をつとめる新TCG「ゲートルーラー」の第1弾の正式発売日は2020年12月25日であるが、その約2週間後の2021年1月8日にブシロードが発表した「池田芳正氏およびスタジオ池っちに対する訴訟の提起に関するお知らせ」というリリースは、TCGメーカーやTCG販売店、TCGプレーヤーに大きな衝撃を与えた。ブシロードが販売していた「バディファイト」というTCGで、池っち店長は原作者としてブシロードとタッグを組んでいたからだ(2015年7月にバディファイトの製作から池っち店長は離れている)。
ブシロードからのリリースについては、下記解説記事をご覧いただきたいが、リリースから約1カ月が経ち、訴訟はその後どうなったのか、また池田氏が総責任者である「ゲートルーラー」の今後はどうなるのか、是非知りたいと思っていたところ、池田氏から「話せることは全て話したい」というありがたい申し出があり、それを受けることにした。
最初に筆者のスタンスを明らかにしておくが、筆者はTCG好きのライターであり、池田氏のいわゆるファンでもアンチでもない。「バディファイト」は最初の2年半くらい子どもたちと遊んでおり、「ゲートルーラー」に関しても、ユーザー向け発表会などにも参加し、実際にスターターデッキやブースターボックスを購入し、公認大会や交流会、リモート対戦会などに参加している。それがきっかけで「ゲートルーラー」に関する記事もいくつか書かせていただいた。
池田氏にも数回お会いしたことがあり、TCGを製作する能力、世界を作り出す能力に優れており、背景世界などに関する知識の豊富さも素晴らしい人物だという印象は持っていた。ただ、同氏を好きか嫌いかと言われたら、少なくとも好きではない。嫌いと言うよりは苦手というのが正直なところだ(笑)。池田氏と筆者は年齢がほぼ同じで、PCゲームやSFなどにも詳しいといったところも似ているので(要するにオタクである)、多分に同族嫌悪みたいなものだと、自分では思っている。
このインタビューについては、筆者が疑問に思ったことを自由に質問をさせていただき、池田氏のコメントをフラットに記事にしている。
池田氏「こちらからの反論はなく、話し合いでまとまる予定でした」
――2021年1月8日にブシロードから「池田芳正氏およびスタジオ池っちに対する訴訟の提起に関するお知らせ」というリリースが発表されましたが、その訴訟について池田さんはどう考えているのでしょうか?
池田氏: 訴えられた事実関係については、僕の方から反論したり、争うところはあまり無いと考えています。僕が悪かったと思っていますし、謝罪もするべきだと考えています。ですがブシロードさんが賠償金として提示された額が適切かどうかについては、弁護士によると、法的に精査しなければならないところはあるようです。その上で、法的に認められた金額は速やかにお支払するつもりです。
この件は元々、2020年の年末以前から話し合いが続いていました。僕は話し合いの段階で、先方のお求めになる「どの記事を消せ」、「どの動画を止めろ」という要求には、一切の反論なく全て言われた通りに対処してきました。また、賠償金が求められればお支払いするつもりでした。また、ブシロードさんがツイッターで謝罪記事を公開するように求めていたので、ツイッターで公開する謝罪記事の草案も提出いたしました。その草案記事についてブシロードさんの精査を受けていた途中だったのですが、突然、寝耳に水で訴訟になってしまったのです。正直驚きました。
僕の誠意が足りないとご判断されたのだと思いますが、言われたことは全てやってきたので、どうして訴訟になったのか解りません。今でも全部言われた通りにして対処したいと考えているのですが、訴訟になった時点でそう簡単な話では無くなったようですね。
とは言え僕は、この件に関しては、全面的に僕が悪者だと思っています。実際に落ち度があったのですから。
――それでリリースが出た深夜に生放送で謝罪されたんですね。私も見ました。
池田氏: ありがとうございます。夜中なのに沢山の方に見ていただいて、感謝しています。
――民事裁判では、まず原告(ブシロード)が裁判所に訴状を提出し、裁判所が審理を行ない、被告(池田氏)に訴状を送付、被告が答弁書を裁判所に提出、法廷での口頭弁論という流れになりますが、約1カ月経った今はどのような状況でしょうか?
池田氏: 訴状は受けとってますが、その内容はこれから弁護士に法に照らし合わせた形で検討していただきます。僕の感情で簡単に、「全部僕が悪かった」というのは簡単ですが、法的には良いことではないようです。口頭弁論の1回目が3月上旬なので、今はまだ和解の話すらできません。今後、口頭弁論でお互いの法律的な主張が展開されていきますが、通常、和解の協議も同時に進んでいくようです。今回の件が和解に終わるかどうかは分かりませんが、始まったばかりなので、まだ出廷することはありません。
――秘密の漏洩があったとされるDiscord酒場(※1)に関しては、オープンというわけではなく、来てくれている視聴者へのサービスという意図があったわけですか?
※1……カードキングダムDiscord店内に設置されているチャットルーム「Discord居酒屋」のこと。ここで池田氏は、ブシロードとの守秘義務違反に相当する発言をしたとされる
池田氏: そうですね。酒場はあくまで酒場だと思ってたんです。みんな普通に(リアルの)酒場ではいろいろ話しているじゃないですか。それが法にひっかかるんだったらおかしいと思ってたんですが、要するに中に入って録音していた人がいたってことなんですね。
――木谷会長やブシロードについて何か思うところがありますか?
池田氏: ブシロードはあくまで木谷会長が中心で、木谷会長の会社ですが、日本TCG中興の祖だと思います。その立ち上げの頃から、木谷会長のTCG関係の知恵袋としてご協力させていただけたことは、僕の人生の誇りの一つです。もちろん、僕の方が木谷会長から学ばせていただいた事の方が多いので、とても感謝しています。今でも最も尊敬する人です。
大遊の社長は退任して「ゲートルーラー」の開発に専念する
――ブシロードからのリリースを受け、大遊の代表取締役社長を退任されて、「ゲートルーラー」の開発に専念する旨を発表されましたが、「ゲートルーラー」の対外的なイメージにはやはり悪影響があったと思います。それについてはどうお考えでしょうか?
池田氏: はい。イメージが大事だと思ったので、社長として残ることをやめました。最初は広告塔として僕が目立つ必要がありましたが、そろそろ潮時だったので、タイミングとしては適切だった思います。
――昨年末に大遊が、「ゲートルーラー」の広報責任者および制作進行責任者を募集していましたが、人材は見つかりましたでしょうか?
池田氏: はい。優秀な方が数名いまして、今最終トライアルの実施中です。今後はスタッフも拡充されますので、公式サイトなどもより充実していくと思います。
――大遊の代表取締役を降りても、「ゲートルーラー」の開発への影響はないのでしょうか?
池田氏: 全然ないですね。僕は元々社長として経営判断や人事を司るのがメインの仕事ではなく、ずっと現場にいた本田宗一郎さんみたいなものですから、ゲームを作る仕事を続けているだけです。今回の人事で大遊がダメージを受けることはなく、むしろ良い意味でここからスタートだと思っています。
――最近、池田さんのTwitterアカウントの運用の仕方が以前とは変わり、荒れることが少なくなり、TCGコミュニティにとって好ましい状態になってきています。「ゲートルーラー」公式アカウントからの情報発信も前より多くなっていますが、今後もこうした運用がされていくのでしょうか?
池田氏: 好ましいと言っていただけると油断するので(笑)、今後とも気を付けて楽しい情報のみ発信しようと思います。ツイッターの炎上を通して、悪魔と遊ぶと悪魔になる、ということを思い知りました。今後はご心配を掛けないよう心掛けます。
「ゲートルーラー」は自分の集大成
――「ゲートルーラー」は私も先行発売からプレイしていて、とても面白いTCGだと思っていますが、ルーラーによってルールが変わるというユニークな着想はどのようにして得られたのでしょうか?
池田氏: 昔から大体このパターンなんですが、 ハリー(※2) や奥さんとバカ話をしていると、「待てよ、……それマジでありなんじゃね?」とすごいアイディアに気づくんですね。つまり僕は、バカバカしい話をしつつも、「以前は駄目だったが、今なら行けるのでは?」という、常識を破れるようなアイディアを探しているのかもしれません。
普通、新しい考え方や発想をしたとして、それを試して9割失敗して1割成功だと、基本的に失敗から学んで9割寄りの判断を下す人間になるのだと思いますが、僕は失敗して痛い目に遭った経験よりも、オリジナリティで成功した経験の方を重んじる性格なので、その1割がどんどん膨らんでいった感じです。
昔、コロコロコミックの村上編集長に、「池田さんは天才だ」と言っていただきました。ですが僕は即座に、「村上さんの仰る天才って、一種の狂人でしょう?」と言って苦笑いされましたが、要するに僕みたいな新しすぎる発想をする人間とか、オッサンなのに小学生向けのギャグ漫画を書いてる漫画家さんとかは、普通じゃない人が多いんですよ。コロコロの人たちがすごいのは、そういう人たちを伸ばせるスキルがあるっていうことなんです。
ましてや「原作者」っていうのは、普通の人間の成功体験では育たない。独自の発想での成功体験を大量に持っている変人でないと、自分の作る世界のすべてをノータイムで決定していける「原作者」には育たないんです。僕は勉強やスポーツで育まれるべき「普通の成功体験」は0に近いのですが、クラスや近所で新しい遊びを流行らせたり、オリジナルのゲームを作ったり、TRPGの世界設定を作ってゲームマスターとして20年で500人ぐらいのプレーヤーとプレイを続けてきたりと、オリジナルの成功体験だけは物心ついたときから大量に積み重ねてきました。だから「他人のルールに合わせる」という社会には適応できない落伍者であり、社会不適合者なのですが、自分の世界はいくらでも作れるんです。だから「社会」の反対である「会社」は経営できたのかもしれません。
※2……遊縁代表取締役社長の播野拓一氏。遊縁はカードキングダムの直営店4店舗を運営している企業
――池田さんにとって、「ゲートルーラー」とは何でしょうか?
池田氏: 僕のオリジナリティは、私小説的に内にこもって作られているものではなく、TRPGのマスターやイベント開催者として、外部の人間に楽しんでもらおうと思って育まれたところが、特殊だと思います。「ゲートルーラー」は、その集大成なんです。お客さんに喜んで貰いたいという天然の、性根に染み付いたサービス精神の塊で出来てますね。
――「ゲートルーラー」の開発で一番苦労した点は何でしょうか?
池田氏: いやー、なんといってもテストプレイです。TCGデザイナーは皆さんこう思っているでしょう。「ルーラーによってルールが異なるということは、テストプレイの回数や密度は、ねずみ算式に増えていくはずだ。よくそんな恐ろしいことができるな!」と。もちろん、気付いてないわけじゃありません。それを理解した上で、土台を組みました。建物は土台さえしっかりしてれば、後は多少無茶なものを載せても大丈夫ですからね。「ゲートルーラー」の場合は、上に載せる建物を、別の土台に移植することも想定して作るわけですが、その都度土台をしっかりさせていけば、大体の建物は乗っかります。
また、日本のTCGプレーヤーは訓練された兵士ですから、エラッタや禁止制限はむしろ「ゲーム環境を楽しむためにはウェルカム」と言ってくださるので、最終的にはユーザーの皆さんの意見を聞いて、禁止制限で対応することも可能だと、そうした失敗もあり得ることを前向きに考えています。この辺りは、やはり遊戯王やデュエマという素晴らしい先人から学ぶところが大ですね。
――第1弾の販売の手応えはいかがでしたか?
池田氏: 想定以上に売れました。ただ、やはり今回の訴訟の影響は大きく、訴訟後の伸び幅は少なかったです。伸ばせるのは春からだと思います。そのための大きなプロモーションは用意しますので(筆者注:このインタビューの後に公式サイトで、全国20カ所以上での「ミニグランプリ」企画や「ゲートルーラー」TCGサークル活動のバックアップに関する情報が公開された)。
――ハイレアリティパックは基本的に各弾毎回登場するのでしょうか?
池田氏: 今のところその予定です。前回の仕様はご好評いただいたのですが、開発陣としてはもっと凄いものをお届けしたいと考えているので、第2弾は更にバージョンアップさせたいと考えています。
自分で印刷できる無料カードはプロモーションとしては失敗
――自分で印刷できる無料カードの展開はどうなるのでしょうか?
池田氏: 率直に言って、あんまり需要がなかったんです(笑)。
――私もそうかなと思っていました(笑)。
池田氏: 結局、濃い人たちしか遊んでなくて、プロモーションになってないなあと。無料カードがあるから始めようという人たちがいなかった。予定では、やってくれる人たちがいるのであれば、どんどん出して行こうと思っていたんですが、そもそもカードショップで遊んでいる人たちがいない状況で出したところでどうなのとか。僕はお金がない中高生達にこれで遊んでもらいたいなと思ってたんですが、そもそも今の中高生はTCG自体やってる人が少ないんですよね。僕も大きく考え直さないといけないなって思ったのが、今のTCGのプレーヤーってほとんどフリーターなんですよ。要は社会人でも大学生でもないフリーター層。
フリーターの人たちがわざわざ楽しむために、自分で印刷した紙をチョキチョキ切って、無料のカードゲームで遊ぶかっていったら遊ばないですよね。実利があるものか、そもそも友達の中で流行ってるものしか遊ばないので。これはそもそも学生とかがお金がなくても楽しんでもらえるように思って、良かれと思ってやったことなんですが、需要がなかったなというのが正直なところで、だから粛々と少しずつ続けて行くしかないかなって感じですね。お店のシングル在庫を守るために、基本的にダブルレア以上のカードをタダで使えるようにするつもりはありませんでしたが、タダで手に入るカードがあるというだけでお店様にもマイナスになりかねないので、残念ながらこれを続けるかどうかは今後次第ですね。
――公式サイトも最初は不満がありましたが、最近はかなり改善されていると思います。カード別のFAQやよくきかれる裁定のFAQなども欲しいところです。
池田氏: はい。今は少人数で手が回っていませんが、もうすぐメンバーが増えてどんどん良くなります。我々はメーカーとして生まれたばかりで「普通ならできていて当たり前のこと」ができていません。生まれたばかりの会社でしたから、「他所はできてるんだから、やって当たり前」と言われましても、正直手が回りませんでした。我々は赤ちゃんですから、手を引いていただかないと立てなかった。それを育てて下さる器の大きさが、TCG業界の流通様やユーザー様にあったおかげで、なんとか成長できつつあります。
池田氏「第2弾は有り体にいって最高」
――第2弾(※3)が3月25日に発売されますが、売れ行きについてはどう予測されていますか?
第2弾……3月25日発売予定の「ゲートルーラー」拡張パック第2弾「邪神襲来」のこと
池田氏: 普通のTCGは、第2弾の売上げは第1弾の半分ぐらいになりますね。「ゲートルーラー」もそれを想定しています。
――第2弾の初期出荷数は、第1弾に比べると減ると発表されていますが、再出荷以降は潤沢に出荷できるのでしょうか?
池田氏: ちょっと生産数を少なくしすぎたと思っています。第2弾が売り切れたら、すぐに再生産ということになるでしょうが、船便ですから1カ月以上遅れると思います。
――第2弾のウリ、セールスポイントについて教えてください。
池田氏: 第1弾がさらに面白くなり、また、第2弾からの新ルーラーやギミックで「別のゲームのような味わい」が出てきます。僕が言うのもなんですが、有り体にいって最高です。ゲームとしてめちゃくちゃ面白いです。色々騒ぎがあって敷居が高く感じられている方も多いと思いますが、「純粋に、桁外れに面白いトレーディングカードゲームを体験してみたい」という方は、ぜひお試し下さい。
――新型コロナがこれだけ蔓延している中で、新規TCGを発売するというのは、かなりリスクが高い行為だと思います。ある程度収束するまで待つという考えはなかったのでしょうか?
池田氏: できのいい棍棒(「ゲートルーラー」)ができたから、こいつで戦いましょう、というゴリラ理論なんですよ。要は、コロナで大手メーカーが大掛かりなプロモーションできないところで、ゲリラ的に売ろうと。ゴリラ的に売ろうと。コロナなんかでカードゲームは負けないよっていう、エールを込めてです。もちろん、実際にはコロナのダメージは大きいんだけども、みんながカードゲームを諦めてしまわないような、諦めていない人達がいるよねっていうことで、そのためのやり方を考えて出したわけです。
――「ゲートルーラー」では、一部のカードイラストに過去に他の製品などで使われていたものが再び使われていますが、もちろん、イラストレーターさんに連絡して利用料を払っているわけですよね?
池田氏: もちろん全てのイラストで、許可をとっています。作家様がピクシブ等で発表されているイラストを使用する場合、作家様に連絡を取り、1枚幾ら、という金額を作家様にご提示頂き、お支払しています。
また、FoW(Force of Will社が販売しているTCG)で使用されているイラストを使わせている場合がありますが、実はあれら全てのイラストはFoW側の買い切りとなっています。作家様は全て「権利は全てFoWで、どの様に使おうとも全て権利元であるFoW側の自由」という契約に合意した上でイラストを提出しています。にもかかわらず僕は、FoW側への使用料だけでなく、少額ではありますが作家様に追加でお金をお支払いさせていただいています。本来は全く支払う必要のないお金なのですが、作家様へのリスペクトとして支払わせていただいています。
――それはイラストレーターさんにとってはありがたい話ですよね。新たに仕事をするわけでなく、追加でお金がもらえますし、何よりも広く自分の絵が使われることは嬉しいでしょうし。私も以前、雑誌の記事が出てからしばらくしてそれをまとめたムックに掲載されたり、Webの記事が中国語版に翻訳されたりして、二次使用料をいただいたことがありましたが、ちょっとしたボーナスみたいな感じで嬉しかったです。
スターターデッキにルール説明書やプレイマットを入れなかったのは失敗だった
――スターターデッキに、プレイマットやルール説明書を入れなかった理由は何でしょうか?
池田氏: はい、これは率直にいって失敗だと思っています。出せば良かったと反省しています。普通の家電製品とかもQRコードで説明書をWebで見るようになっているから、それでいいだろうと理屈で考えてしまったんですね。文章で書いたらそれはそれでコストがかかるし、間違ったことを書いたら、後から修正も大変だから。製作日時も足りなかったので、これはQRコードで何も問題ないだろうと思ったら、意外とやっぱり実際の紙のルールが必要だと思ってる方が多くて、それはデジタルカードゲームじゃなくて、実際のアナログカードゲームを買っている人達ですから、気持ちはそっちだったなということで、失敗でした。
――でも第2弾のスターターデッキにもルール説明書やプレイマットは付かないんですよね?
池田氏: 第2弾では付けるつもりで今頑張ってます。まだ確定じゃなくて今作っているところなので。おそらく付くと思います。
――ルール説明書やプレイマットが付いても、第1弾と変わらない値段で出せるわけですよね? そうすると最初から付けていればよかったという話ですが。
池田氏: それはもう「すいません」としか言いようがないです。今回は反省を込めて、我々の利益率を犠牲にして説明書を付けます。
――「ゲートルーラー」の海外戦略はどうなっているのでしょうか?
池田氏: 鋭意進めております。まだ計画段階で詳しいことはお話しできませんが、英語版と中国語版の生産予定があります。夢ですが、2021年末にはリモートでの世界交流戦、2022年には世界大会が出来るといいですね。
――最後に「ゲートルーラー」ファンや池っち店長のファンに対してコメントをください?
池田氏: 僕は大した能力のない、自己評価も高くない人間ですが、TCGとTCGファンの方々のおかげで生きてこられました。そんな僕ができる唯一の恩返しは、TCGに関した「面白いもの」を作る事です。これからも色々騒ぎは起きるかもしれませんが、面白いものを作る事、期待して下さる方々が楽しんで下さるコンテンツを作っていく、その点は裏切りたくないと思っています。
――ありがとうございました。