インタビュー

「フィギュアーツZERO ゼタ / ベアトリクス」開発者インタビュー

サイゲームズフィギュア監修担当からのコメント

 今回の「フィギュアーツZERO ゼタ / ベアトリクス」にあたりコレクターズ事業部がアピールしたいポイントの1つとして、「『グラブル』担当者との連携」がある。フィギュアファンにとって、モチーフとなるキャラクターをいかに大事にしているかは重要なポイントだろう。ここまでのインタビューで版元との綿密なやりとりが伝わってきたが、サイゲームスのフィギュア監修担当からのコメントも紹介したい。昨今の状況を鑑みて、メールインタビューの形式となった。

――監修担当の方のゲーム開発での役割を教えてください。

A: 「グラブル」イラストチームに所属し、普段は主にキャラクターやモンスターの着彩を担当しています。ゲーム外では、「グラブル」関連グッズの監修も行っています。今回、「フィギュアーツZERO ゼタ / ベアトリクス」の監修を担当しました。

――キャラクターとしてゼタとベアトリクスの魅力的なポイントを教えてください。担当者個人の思いも聞かせてください。

A: ふたりとも鎧を身に纏いつつも、女性的なシルエットや、細部まであしらわれた装飾等、随所に魅力的なポイントが押さえられており、鎧の格好良さと女性のかわいらしさが共存しているところが魅力かと思います。

 個人としては姉と妹のような関係性かと思っています。突っ走るベアをたしなめたり反発しつつもちゃんと受け止めたりしてあげるゼタの姿は、深い慈愛や信頼を感じさせます。

――フィギュアーツZEROとなったふたりを見てどんな印象を持ちましたか?

A: いざフィギュアとして目の前にどんっと置かれると、原型師さんのお力もあり、イラストで感じていたキャラクターの魅力が何倍にも膨らんだ印象でした。なびいた髪や装飾が体と重なることで、どの角度から見ても情報量が多くて、すごいボリューム感だと思いました。また、とても発色が良く、フィギュアならではの外連味を感じられて新鮮でしたね。

――監修に当たり、気をつけたところはどこでしょうか。

A: なるべく原型師さんの作りたいイメージを損なわないように踏襲しつつ、シルエットの綺麗さや、衣装の齟齬がないか、露出が「グラブル」やゼタベアのイメージからから逸脱していないか等を監修しました。特に、イラストでは見られない背面や側面でも見栄えが良くなるよう、髪や衣装のなびき具合を意識したフィードバックを心掛けました。それ以外でも、立体物として成立させつつ、イラストと印象が乖離しないように意識して監修しました。

――そのうえで、担当者の方がフィギュアーツZEROで最もぐっとくるポイントはどこですか。

A: シルエットやディテールが格好いいのはもちろんですが、原型師さんが要所で少しだけ体のラインを調整してくださっており、そのハリのある立体感はイラストでは味わえないフィギュアならではの魅力かと思います。

――ゲームユーザーの方に向けて、メッセージをお願いします。

A: いつも「グランブルーファンタジー」をプレイしていただき、ありがとうございます。ぜひフィギュアを手に取っていただき、改めてゼタベアの格好良さやかわいさを感じていただけたらと思います。

ギミックも盛り込んだ次世代フィギュアの可能性

 「フィギュアーツZERO ゼタ / ベアトリクス」はコレクターズ事業部として久しぶりとなる美少女フィギュアであり、かなり力の入った商品である。今回はこれまで同社が培ってきた地続きのなかでのアプローチとなっている。だが、実際に美少女フィギュアを手掛けてみてわかったこともあった。同社の力を総動員して今できることをやってみたことで、思っている以上に手応えがあったと洲崎氏は語った。

 だが、今回の商品が必ずしも今後のフォーマットになるわけではないという。今回の大サイズの繊細なフィギュア表現は継承しつつ、新しい機構や特性を入れいていきたいとのこと。

【フィギュア表現の技術の蓄積】
これだけクオリティが高いと、どの角度から見ても楽しめる

 山本氏は“工場での量産過程”という今回のデコマス(彩色見本)を工場で量産する課題に現在取り組んでいる。山本氏は「Figuarts mini」の「ディズニー ツイステッドワンダーランド」の非常に繊細なフィギュア表現を商品で実現したこだわりを評価されての抜擢だという。「グラブル」でもその繊細な表現へのこだわりを活かすべく、現在工場とのやりとりを重ねているとのことだ。

【繊細な表現へのこだわり】
工場での量産に関しても、山本氏の厳しい目でチェックが行なわれる

 取材の最後に洲崎氏と山本氏から本作の発売を楽しみに待っているファンに向けて、メッセージを語ってもらった。

 山本氏は「ちょうどデコマスから量産に向かって進行中というところなので、今見ていただいている通りの商品が届けられるように頑張っています。ぜひご期待してください」と語った。

 洲崎氏は「いつも我々の商品を買っていただいている方にも、『グラブル』のユーザーの方にもフィギュアってこういう風に面白いんだよという部分を楽しんでいただきたいなと思います。いろいろな角度から見たり、色の質感を楽しんだりと、様々な要素をみんなで知恵を出して盛り込んでいます。『グラブル』はプレイしていないけどフィギュアには興味がある方、フィギュアは初めてだけど『グラブル』をプレイしている方にもぜひ手に取っていただいて、楽しんでいただけるといいなと思っています」と語りかけた。

【2つ並べたい!】
やはり、ふたつ並べたときのボリューム感は素晴らしい。カラーリングも、この2体の組み合わせで調整が行なわれているそうだ

 今のところシリーズ化については決まっているわけではないが、この辺りの情報に関しては、今後の同社の動向にも注目していたいところだ。実際にフィギュアを目の前で見た印象は、とても1万円以内に収まるフィギュアとは思えず、それこそ工芸品レベルのクオリティに感じた。個々の商品の出来も素晴らしいのだが、可能ならば2体同時に手に入れて飾りたくなってしまうレベルである。

 また、予約から1年ほど掛かってしまうほかのフィギュアと違い、今年の9月には入手できるというスピーディーさも嬉しいところだ。予約の受付は2021年5月30日の23時までとあとわずかだが、この機会を見逃さないようにしよう!

【プレミアムバンダイで購入】