レビュー
ガンプラ「MG 1/100 ウイングガンダムゼロEW Ver.Ka」レビュー
16年ぶりの邂逅……ゼロ、俺たちにガンプラの未来を見せてくれ!
2021年3月23日 00:00
今回レビューするのは「MG 1/100 ウイングガンダムゼロEW Ver.Ka」です。発売は2020年11月末ですが、「PG UNLEASHED 1/60 RX-78-2 ガンダム」や「RG 1/144 ジオング」といったガンプラのレビューを優先したため、今回改めてレビューをします。
本商品のモチーフは、1995年に放送されたTVアニメ「新機動戦記ガンダムW」の好調を経て、1997年に公開されたOVAアニメ「新機動戦記ガンダムW Endless Waltz」で主人公の一人、「ヒイロ・ユイ」が搭乗するモビルスーツです。
「新機動戦記ガンダムW」という作品は、いわゆる”宇宙世紀モノ”とは別の時代で紡がれるガンダム・スト―リーで、同放送枠での「機動武闘伝Gガンダム」に続いてまた別のアナザー・ガンダムとして放送開始されました。Gガンダムから引き続き5人の主役(しかも全員”王子様”的)を迎え、モビルスーツもさらに洗練されたデザインで”イケメン・ガンダム”の走りとも言える作品となりました。
主人公「ヒイロ・ユイ」の”お前を殺す……”という衝撃のセリフや自爆するガンダム、”人類の革新”という宇宙世紀モノのファクターを捨て、”ゼロシステム”というパイロットに進む道を示すシステムが登場するといった違いを持ちながら多くのアニメファン・ガンダムファンを魅了して1997年にOVA作品として「新機動戦記ガンダムW Endless Waltz」が公開されるに至りました。近年(2010年~)では雑誌「ガンダムエース」誌上で「新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光」が掲載されるなど今でも人気の作品です。
カトキハジメ氏が送り出したOVA版「ウイングガンダムゼロEW版」のまさに”ウイング=翼”を持つガンダムのデザインは、世界的デザイナーであるシド・ミード氏に”ファンタスティック”と言わしめたそうです。メインユーザーである日本でももちろん大変な人気を得ていますし、旧キットで、「1/144 ウイングガンダム ゼロカスタム」という名称でしたが筆者の当時の仕事机の上にも釣り糸で吊って飾っていたのを思い出します。そう! このガンダムは名称も変わっているんですよね。
ガンプラ「MG 1/100 ウイングガンダムゼロEW Ver.Ka」とは
今回の「MG 1/100 ウイングガンダムゼロEW Ver.Ka」はその名の通り、Endless Waltzバージョンの「ウイングガンダムゼロ」であり、2004年に発売された「MG 1/100 ウイングガンダム Ver.Ka」と「MG 1/100 ウイングガンダムゼロEW」を16年の時を超え、漫画「敗者達の栄光」の要素を取り込みつつ完全新規でのVer.2.0とも言える内容となっています。
今キットのトピックスは完全新規であることはもちろん、ウイングガンダムゼロの初期設定にはなかった「ネオバード形態(大気圏内外の2仕様)」への変形を実現、ツインバスターライフルの両翼への懸架、ネオバード形態時の機首にもなるシールドを装備するなど盛りだくさんの内容となっています。
ことあるごとに何かしらのプラキットや完成品トイで発売されてきた「ウイングガンダムゼロEW版」ですが、今回ガンプラのメインストリーム”マスターグレード”版の発売前に発表されていた資料で見せてくれたポージングを実現するための可動性能など、見所たくさんのキットとなっています。発売日から少々時間が空いてしまいましたが筆者も作りたくてうずうずしていたキットです。それではさっそく組み立てて行くことで16年ぶりの邂逅を果たしていきましょう。
パッケージを確認。びっしりと詰め込まれたパーツ群に圧倒される
ガンプラでおなじみ4色成形のAランナーを始め、グレーの内部フレームも多彩なモールドが作り込まれているパーツがランナーに効率よくびっしりとタイトに詰まっていてその情報量に圧倒されます。そしてウイングガンダムゼロたるウイングが大きなパーツとして目立つCランナーは1枚の大きなランナーになっているので、半分に折っておくと作業がしやすくなります。両腕・両脚を構成する同じパーツは同じランナーが2枚ずつで構成されていて同時に切り出せば時短にもつながる嬉しい設計になっています。
ボディを組み立てる。これでもか! と詰め込まれたギミックとディテールに驚く
ボディの特筆すべき点ですがマスターグレードシリーズでは必ず再現されているコクピットとパイロットフィギュアですが、そのパイロット・ヒイロがとんでもない微細加工で再現されているのに驚かされました。さらにコクピットは前後移動で開閉状態を再現できます。そしてツインバスターライフルの両手持ちを自然に行なわせるための肩部移動と前屈動作を実現するための機構、ウイングを支えるバックパックの可動機構をも盛り込んだすさまじいまでの設計が行なわれています。
頭部を組み立てる。クマドリまで別パーツ化!
頭部も微細なギミックを搭載しています。耳にあたる部分が開く構造になっていて驚くとともにさらに情報量が上がることで作っていて楽しくなりますね。曲面のダボへの組み込みなのでちょっと難易度は高いと思われますが、角度を合わせるとバンダイスピリッツが培ってきたスナップフィットの技術によってスッとカッチリはまってくれます。目の下のクマドリ部までも別パーツ化されていますのでここもオリジナルカラーにしてもよさそうです。
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