レビュー
「FULL MECHANICS 1/48 メイレスケンブ」レビュー
2022年3月1日 00:00
HGケンブの構造をベースに、ディテールアップやギミックの追加を実現
HGケンブと同様、説明書に準じた組み立ては脚部からスタート。内部フレームを再現している分、組み立て工程は多いものの、股関節の形状や、左右共通の足首など、基本的な構造はさほど変わらない。同じ機体のキットなので当然といえば当然なのだが、元のデザインがプラモデル化を前提としたものではないかということが予想できる。デザインの構造を作ることで理解できるという、プラモデルならではの喜びを感じられるのが実に楽しい。またあまり細かなパーツも存在せず、非常に作りやすい設計となっている。
太ももなど、一部のパーツはかなりボリュームがあるが、精度は非常に高く、HGケンブと比べると装甲のエッジがシャープに成形されていることが脚を組み立てている段階からわかる。パーツ表面のディテールも凹モールドだけでなく、凸モールドも多数見受けられ、パーツのゲート処理をするときに誤って切ってしまわないようにしたい。
このFMケンブは、劇中で印象的だった四肢にあるセンサーの点灯をメタリック3Dシールにて表現している。付属するこのシールはPET素材でできた固いホイルシールで、脚と腕のセンサー部に貼り付けることで、角度によってキラッと光るのが完成後のいいアクセントになっている。通常起動時の緑と、リミッター解除時の緑を選んで貼り付ける仕様だ。
続いては胴体。腰部はリアスカートに内蔵された昇降機をギミックにて再現している。HGケンブではこのリアスカートの一部なども含め、機体の一部分の色分けをシールで表現していたが、このFMケンブはシールによる色分けは、センサー部以外に存在しないのも素晴らしいところだ。。
胸部はこのキットの一番の注目点といえる部位だ。HGケンブでも再現されていた肩の前方へのスイング構造と胸部側面のシリンダーの連動の他に、このFMケンブはコクピットも造形している。ハッチの開閉ギミックはあるものの、組み上げてしまうとその内部はほぼ見えなくなってしまうのだが、ペダルや計器類などもちゃんと造形されているのが嬉しい。さらにはコクピットに着座する椎葉アモウのフィギュアも付属している。乗り込ませた状態で組むと、キットをバラさないと取り出せないので、選択は作り手次第だ。
腕もスケールアップによるディテールが施されたことにより、要所の再現度が上がっている。HGケンブでは大きめのシールを貼って再現していた肩の上面もフレーム構造によって違和感なく造形されている。前腕にあるハードポイントはフタとなるパーツで隠されていて、取り外すことで露出する仕組み。このフタも上側を押すと、てこの原理で持ち上がって外しやすくなる仕様で、細かなところまでよく考えられている。
手首は腕側で受けるジョイントだけでなく、その根元にもスイング機構を設け、可動幅を広げている。なお、指の可動は親指のみとなっている。。一つ残念なのが、この手首のパーツが、平手・握り・武器持ちの3種の指パーツと共有されていて、交換のたびに付け替えなければならないのだ。またここに限っては動かすときに外れてしまうこともあったのだが、仕様上接着ができないのである。多少値段が上がってもいいので、別パーツとして用意してほしいと思った。
そして頭部は最後の組み立てとなる。ここも見どころとなるのはやはりパーツによる色分けだ。HGケンブもかなりいい感じだったが、こちらはアゴの側面のダクトや後頭部なども別パーツにて色分けされていた。ただ色分けされているだけでなく、パーツの精度が高いため接合面にほとんど隙間ができないのも、BANDAI SPIRITSの成形技術が生きている。もちろん目となるカメラはクリアパーツで、HGケンブのレビュー記事でも触れた劇中同様の凹モールドで成形されている。
©2021 SUNRISE BEYOND INC.