レビュー

「FULL MECHANICS 1/48 メイレスケンブ」レビュー

HGケンブの構造をベースに、ディテールアップやギミックの追加を実現

 HGケンブと同様、説明書に準じた組み立ては脚部からスタート。内部フレームを再現している分、組み立て工程は多いものの、股関節の形状や、左右共通の足首など、基本的な構造はさほど変わらない。同じ機体のキットなので当然といえば当然なのだが、元のデザインがプラモデル化を前提としたものではないかということが予想できる。デザインの構造を作ることで理解できるという、プラモデルならではの喜びを感じられるのが実に楽しい。またあまり細かなパーツも存在せず、非常に作りやすい設計となっている。

股関節のジョイントから組み立て開始
太もも内部のフレームにジョイントとヒザの可動パーツを組み込む。
装甲で挟み込む
色分けされたパーツを取り付ける
センサーにメタリック3Dシールを貼り付け。緑と赤のどちらかを選べる
太ももが完成。センサー部の反射に注目

 太ももなど、一部のパーツはかなりボリュームがあるが、精度は非常に高く、HGケンブと比べると装甲のエッジがシャープに成形されていることが脚を組み立てている段階からわかる。パーツ表面のディテールも凹モールドだけでなく、凸モールドも多数見受けられ、パーツのゲート処理をするときに誤って切ってしまわないようにしたい。

 このFMケンブは、劇中で印象的だった四肢にあるセンサーの点灯をメタリック3Dシールにて表現している。付属するこのシールはPET素材でできた固いホイルシールで、脚と腕のセンサー部に貼り付けることで、角度によってキラッと光るのが完成後のいいアクセントになっている。通常起動時の緑と、リミッター解除時の緑を選んで貼り付ける仕様だ。

スネの組み立て。フレームに装甲を取り付ける
足首の関節とそのカバー取り付ける
足首の内側の装甲を組み立て
関節に装甲を被せる
反対側のセンサー部に丸いディテールパーツを取り付けてシールを貼ってスネの完成
足首の組み立て。つま先をジョイントで挟み込む
かかとを組み立て
つま先とかかとの間にジョイントを挟んで接続
足首の装甲。先端のワンポイントも別パーツで色分けしている
左右の分を組み立てる
左右と前の装甲を取り付ける。それぞれはボールジョイントで可動する
足首の完成。左右共通なので2つ作る
脚部を組み立て。スネと足首はジョイントの形に合わせてはめ込み、180度回転させることで抜けなくなる
脚部が完成。左脚も同じように組み立てる。完成した段階で、その大きさにはきっと驚くはず

 続いては胴体。腰部はリアスカートに内蔵された昇降機をギミックにて再現している。HGケンブではこのリアスカートの一部なども含め、機体の一部分の色分けをシールで表現していたが、このFMケンブはシールによる色分けは、センサー部以外に存在しないのも素晴らしいところだ。。

腰部の組み立て。これはリアスカート内部昇降機のジョイント
ステップとともに組み立てる
フレームに装甲と色分けのパーツを取り付ける
裏側に昇降機を取り付けて折りたたんでおく
腰のフレームにリアスカートを取り付ける
腰部のフレームに装甲を取り付けて完成

 胸部はこのキットの一番の注目点といえる部位だ。HGケンブでも再現されていた肩の前方へのスイング構造と胸部側面のシリンダーの連動の他に、このFMケンブはコクピットも造形している。ハッチの開閉ギミックはあるものの、組み上げてしまうとその内部はほぼ見えなくなってしまうのだが、ペダルや計器類などもちゃんと造形されているのが嬉しい。さらにはコクピットに着座する椎葉アモウのフィギュアも付属している。乗り込ませた状態で組むと、キットをバラさないと取り出せないので、選択は作り手次第だ。

シリンダーの組み立て。成形色は金色だ
肩関節との連動ギミックを組み立てる
両側のシリンダーが完成。ジョイントは腕の付け根となる
胸部フレームにシリンダーパーツを取り付ける
コクピットに乗り込むアモウのフィギュア。髪型などもちゃんと造形されている
コクピットの組み立て。塗装をしたい場合はこの段階で行おう
前面でフタをするようにしてコクピットが完成
背中側のフレームにコクピットが収まる
完成したコクピットを胸部フレームに取り付ける
コクピットハッチの組み立て。中央にあるのはパイロット用のバイザーで、折り畳みが可能
ハッチを胸部フレーム上面のパーツに取り付ける
完成した上下の胸部フレームを合わせる
胸部の装甲の組み立てて取り付ける
シリンダーを受けるパーツを取り付け
そのパーツをシリンダーごと前方にはめ込む
先端の装甲を取り付ける
背中の装甲を取り付ける
胸部下側の装甲とフィンを組み立てて取り付ける
腹部のジョイントを組み立て
胸部の下側に取り付ける
肩の両側に可動式の装甲を取り付け
胴体が完成

 腕もスケールアップによるディテールが施されたことにより、要所の再現度が上がっている。HGケンブでは大きめのシールを貼って再現していた肩の上面もフレーム構造によって違和感なく造形されている。前腕にあるハードポイントはフタとなるパーツで隠されていて、取り外すことで露出する仕組み。このフタも上側を押すと、てこの原理で持ち上がって外しやすくなる仕様で、細かなところまでよく考えられている。

腕の組み立て。腕側の肩ジョイントを組み立てる
肩のフレームの組み立て。未完成状態を再現するため、容易に分解できる
肩の装甲を取り付ける。こちらも分解できる仕組み
上腕の組み立て。フレームと装甲、センサーを組んでいく
肩に上腕をはめ込む。左右2組作る
前腕の組み立て。フレームと装甲を取り付ける
上端のパーツをハードポイントのフタを取り付ける
手首を受けるジョイントの組み立て
それぞれをはめ込んで腕の完成

 手首は腕側で受けるジョイントだけでなく、その根元にもスイング機構を設け、可動幅を広げている。なお、指の可動は親指のみとなっている。。一つ残念なのが、この手首のパーツが、平手・握り・武器持ちの3種の指パーツと共有されていて、交換のたびに付け替えなければならないのだ。またここに限っては動かすときに外れてしまうこともあったのだが、仕様上接着ができないのである。多少値段が上がってもいいので、別パーツとして用意してほしいと思った。

手首の組み立て。左側が共通の手のひら+親指のパーツとなる
交換用の手首をそれぞれ組み立て
完成した手首を腕に取り付けて完成。同じ要領で左腕も組み立てる

 そして頭部は最後の組み立てとなる。ここも見どころとなるのはやはりパーツによる色分けだ。HGケンブもかなりいい感じだったが、こちらはアゴの側面のダクトや後頭部なども別パーツにて色分けされていた。ただ色分けされているだけでなく、パーツの精度が高いため接合面にほとんど隙間ができないのも、BANDAI SPIRITSの成形技術が生きている。もちろん目となるカメラはクリアパーツで、HGケンブのレビュー記事でも触れた劇中同様の凹モールドで成形されている。

頭部の組み立て。カメラやジョイントを取り付けて挟み込む
後頭部に装甲を取り付ける
頭頂部に飾りを取り付ける
フィン、顔、アゴなどのパーツを取り付ける
首のジョイントを組み立てる
首のジョイントを取り付けて頭部の完成