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「エアソフトガン超入門」 第7回:2021年電動ガン30周年に新しい波が来る! 東京マルイが描くエアソフトガンの未来

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2021年、「電動ガン30周年」に登場する新たなる電動ガンを予想する!

 そして2021年は、世界初の電動エアソフトガン「電動ガンスタンダードタイプ ファマス 5.56-F1」が1991年4月に発売されてから30周年に当たる。

 この記念すべき30年周に相応しい、“電動ガン”を考えているという事を島村氏は明かしてくれた。詳しい話は聞けなかったが、その商品は「次の30年へ向けてのものとなる」とのこと。島村氏は軽機関銃をモデルにした「次世代電動ガン マーク46 モッド0」や「電動ショットガン SGR-12」といった最新技術を意欲的に盛り込んだ、言わば「東京マルイのF1マシン」であるこれらの商品がヒントになるということだ。

 このヒントから色々予想していこう。まずは、現在は高価格製品にのみ採用されているFET(電子スイッチ方式)をより汎用性を持った物に落とし込んでいくという方向性ではないか? FETは従来の機械的な機構ではなく、電子式のスイッチにすることで、オンオフのキレが良くなり、特にセミオート射撃の時に引き金を引いて弾が出て、放すとピタリと止まる、その正確な感触が大きな魅力だ。また、機械的スイッチと違い耐久性も高くなる。

 あるいは、誕生から12年経った「次世代電動ガン」が言わば“次々世代”としてよりリアルな機構を得ていく事も考えられる。ガスブローバックマシンガンの様にテイクダウン(分解)ができたり、反動がリアルになったり……夢はふくらむ。

【次世代電動ガン マーク46 モッド0】
「次世代電動ガン マーク46 モッド0」、軽機関銃を再現したこの2019年12月発売のこの商品は、電子制御による安全装置、給弾ベルトを揺らす仕掛けなど様々な機構が盛り込まれている

 もう1つ、現在、世界では急激な気候変動を受けて「SDGs(持続可能な開発目標)」達成の為に各国が動き始めている。カーボンニュートラル(CO2の排出量と吸収量とが±0の状態)実現の前倒しが進められている。ガソリンエンジン車の販売禁止はその代表だが、規模としては小さいながらもエアソフトガンも無関係とは言えないだろう。既に東京マルイでは「ノンフロンガス」を製品化しているが、その他の製品も鉱物油を原料にしない事が求められていく可能性もある。

 そういった意味では、既に30年前から「電気」をエネルギーにした製品を広めてきた東京マルイは先行者だとも言える。次の30年へ向けて、より環境にクリーンな電動ガンの開発も求められているのではないだろうか?

 「FET」、よりリアルな「次々世代電動ガン」、環境への配慮、これらは予測可能な未来である。さらに新しい何かを見せてくれるのではないか? 2021年の発表があるのか、現在は未定だが大いに期待したい。

「興味がある人にどう振り向いてもらうか」、2021年こそイベントの実施を

 2020年は新型コロナウィルス感染防止の自粛の中、静岡ホビーショーなど様々なイベントが軒並み中止となった。東京マルイも自社イベント「東京マルイフェスティバル」を実施しなかった。

 東京マルイにとって、イベントは力を入れて取り組む課題だ。それは「全く興味が無い人を振り向かせるのではなく、少しでも興味がある人にどう振り向いてもらうのか。そして好きな人にもっと好きになってもらいたい」という思いを持って島村氏が取り組んでいることである。エアソフトガンに興味を持つ潜在的なユーザーにどうリーチしていくか、それは様々なイベントに飛び込んでいくことだ。

 ニコニコ超会議であったり、東京オートサロンといったイベントに東京マルイが参加するのは、ただ闇雲に参加するのではなく、ユーザーへのアンケートを基に判断している。「東京マルイフェスティバル」で行なったアンケートの「エアソフトガン以外で興味がある事」への回答で、アニメ・ゲームの次がバイク・車の人気が高かったという。逆にスポーツは余り興味のある人がいなかったとのこと。

【マルデカ宣伝本部】
オンラインで情報を発信する「マルデカ宣伝本部」。イベントが参加できないため、実施された企画だが、毎回様々なアイディアを盛り込んで放送されている

 まだ感染防止のための自粛は続いていく中、イベント開催は制限される状況であるが、東京マルイはイベント参加を目指し準備を進めていると島村氏は語る。開催をアナウンスしている「ニコニコ超会議」、「静岡ホビーショー」へは既に申し込み済みだという。

 「マルフェス2021」開催の為の会場も抑えてあるという。その上でネット配信も継続しながら、記念すべき「電動ガン30周年」である2021年を特別な1年と位置付け、様々な施策を企画、計画中とのこと。

 島村氏はこれまでの「エアソフトガン超入門」を振り返り、読者に向かって、「今まで銃に興味はありつつエアソフトガンを知らなかった方が『エアソフトガン超入門』を読んで、東京マルイ製品に興味を持って頂けたらと思います。そして、低価格の物でも何でも良いので、1挺所有して、手にとって遊んでくれたら幸いです。そこが絶対に入り口になって、どんどん奥深くに入っていってもらえる筈です。そうして、エアソフトガンをご自分の生活の中に入れてもらえれば嬉しいです」と語りかけた。

 「エアソフトガンに練習はいらない」と島村氏は言う。誰が買っても、取扱説明書を読んで、撃てば的に当てるということを楽しめる。これは“弾が出る玩具”としてのしっかりした設計と高い品質管理を実現した東京マルイの商品だから実現した“当たり前のこと”だと島村氏は語った。

 例えば楽器は素人がいきなり買っても演奏できない。スポーツや車の運転など大概のものはある程度楽しむために「練習」が必要なのだ。しかし東京マルイのエアソフトガンは、組み立てなど必要なしに、完成品として入手でき、誰でも同じ条件で弾を発射して的に当てられる。この楽しさをもっと多くの人に楽しんで欲しい。

 その上でこの弾が出る玩具でいかに遊ぶか。サバイバルゲームはその大きな“遊び方”の1つであり、競技性を強めた遊びなども提示されている。また、コスプレや、アクション映画や西部劇をモチーフとしたサバイバルゲームなど、シチュエーションを求める方向性もある。エアソフトガンでどう遊ぶか、その可能性はまだまだ広がっていくのだ。

 「みんなが大好きな千葉のディズニーランドにもアトラクションのいくつかは的を撃って点数を競うものです。お祭りや温泉の射的だってやれば楽しい。それは人間の本能ですから」と島村氏は言う。

「エアソフトガン超入門」では東京マルイの取り組みを深く聞くことができた。ぜひ読んで欲しい

 全7回に渡って、東京マルイ製品を教材に、エアソフトガンの基本を中心にお届けした「エアソフトガン超入門」。エアソフトガンを紹介しながら、実銃にも触れつつという事で濃い内容となった様に思う。

 コッキング、ガス、電動というパワーソースのそれぞれの特色、その利点や特徴を活かした仕組みなど、エアソフトガンの理解を深める一助となり、少しでも興味を持って頂ければ幸いだ。筆者自身も身近にある東京マルイのエアソフトガンに関して、改めて長く疑問に思っていた事が氷塊したり、意外な事実を知る事が出来たりと、個人的にも学ばせて頂く事が多かった。島村氏にはこの場を借りて感謝したい。