特別企画

「カラシニコフ突撃銃」への我が“偏愛”、26年のサバイバルゲーム歴の中で思い出に残るAKエアガンを語る

共産趣味サバイバルゲーマー26年目の証言。忘れえぬ4挺のカラシニコフ

ノーマルで「使える」完成度、東京マルイ「スタンダード電動ガンAK-47」

【スタンダード電動ガンAK-47】
東京マルイ「スタンダード電動ガンAK-47」。1994年6月発売、価格は31,800円。写真は筆者が改造し、スナイパー仕様にしている

 東京マルイのロングセラー、スタンダード電動ガン「AK-47」。ノーマルのまま、サバイバルゲームで「使える」有効射程距離を実現した初の「AK」エアソフトガンである。新しいメカボックスを搭載し、可変HOPを標準装備していた(AK以前のシリーズは、初めHOP無しで発売)。

 HOP(ホップ)システムはBB弾を打ち出すチャンバー内に「ホップパッキン」をつけることで、これにBB弾をこすらせることでバックスピンをかけ飛距離を伸ばす。可変HOPはこのバックスピンの強弱を調整できる機構で、弾を届かせたい距離までHOPを調整できる。BB弾の弾道は気温や湿度で変化するので、30m以上先の的にきちんと弾が届くように調整できる可変HOPはサバイバルゲームの強い味方だ。

 筆者は現在47Sは手放し、手元には「AK-47」のみ。カスタムパーツでモダナイズド(近代化改修)し、スナイパー仕様にしている。発売から四半世紀以上経つが、実射性能に関しては未だ一級品だ。

【スタンダード電動ガンAK-47】
クルディスタン労働者党の指導者、アブドゥッラー・オジャラン元党首のワッペンを付けて、クルド民兵スナイパー風にしてみた。スリングは旧ソ連のPPSH41用
リアサイトを外して上下から挟み込む専用マウントベースと1・5~倍のズームスコープを載せている
マガジンキャッチスプリングが柔らかい東京マルイならではのカスタムパーツ、マガジンのクイックリリースアダプター。人差し指でマガジンをリリースしての素早い交換を可能にしている
マズルはKM企画のAKMタイプに変更し、サプレッサーの取り付けも可能
「この指がISから街を守った クルド人スナイパーの手記」クルド民兵スナイパーの苛烈な闘いを垣間見る事が出来るオススメ書籍!

想い出の逸品、トップクラスの外観、FTC「五六式歩槍」

【五六式歩槍】
FTC「五六式歩槍」。1991年12月発売、価格は58,000円。

 今は亡き国内メーカーFTC社が1991年12月に発売したのが、初の中華圏ローカライズAKの製品化「五六式歩槍(=小銃)」であった。この製品は、同社代表の御子息が、江古田にあった「ギャリソン」主催の「中国射撃ツアー」に参加した事をキッカケに誕生している。人民解放軍の演習場で軍用銃を取材、採寸し、撃ちまくって開発された今見ても希有な製品で、「思い出深い」となると外せない逸品だ。

 自主規制により主要部分はABS製だが、金属プレスのレシーバーカバー、美しいリアルウッドストックなど、当時としては間違いなくトップクラスの外観だった。一方で実射性能は今ひとつで、58,000円とエアソフトガンとしては非常に高価だった事も災いし、営業的には苦戦した。

 筆者も当時は(今もあまり変わらないが)貧しかったので(ご飯が食べられなくて、迷彩服はアメリカサイズのXSが余裕で穿けた)、58,000円にさらに予備マガジン、銃剣、内部ユニットの交換……と非常に痛い出費だった。

【五六式歩槍】
五六式歩槍の特徴である折りたたみスパイク銃剣は商品には付属せず(この状態の戦場写真も多く問題は無い)、「ギャリソン」から別売りされていた。説明書は漫画家・チャーリーにしなか先生描き下ろし。「射撃ツアー」の告知も見える
銃剣はソフビ製なのでお湯で煮て伸ばす
フルオート=連(連発) セミオート=単(単発)の漢字刻印に注目
筆者は実用性を考え、内部機構をKM企画のユニットに換装してある
東京マルイから「AK47」が発売されるまで愛用した

金属部品を多用した革新的リアルさの電動ガンRS「56式」

【56式】
RS「56式」。2007年4月発売、価格は72,000円(参考価格)。輸入品なので、価格は変動する

 FTCの「五六式歩槍」から16年を経て、2007年に香港のRS社(リアルソード)からリリースされたのが、この「56式」である。

 RSは本社こそ香港だが、開発や製造は大陸にある実銃メーカーの協力を受けている(唯一正式な許可を得て56式を製品化したと謳っている)。その為、金属部品を多用し、ホンモノと見紛うリアルな外観を再現している。見た目は無論だが、全体の硬性もエアソフトガンの常識を遙かに越えており、人を殴れば間違いなく凶器になるというシロモノでもある。

 そして、2000年代初頭は「安かろう悪かろう」のイメージが強かった中華圏電動ガンのイメージもガラッと変えた革命児という意味でも、思い出深い逸品だ。性能も実用レベルのこの「56式」の不満な点を強いてあげるとすれば、人民解放軍仕様ではなく、プレスレシーバーの後期型でかつ、アルファベット表記の海外輸出仕様を再現しているところであろう。

【56式】
この「56式」から漂うホンモノ感にAKフリークは打ち震えた
折りたたみ銃剣は樹脂製(下)が標準装備。さらに別売りでアルミ製(上)も用意されている
RS製のホンモノ度の証である付属品。マガジンは後部にリブの無い五六式タイプを再現。東京マルイと互換性が無いコダワリ具合。クリーニングキットも実銃に準ずる形で、右上はリアサイトを分解する為の専用の工具
RS版はプレスレシーバーのモデル化なのでFTCとは細部が異なる。スリングスイベルはストックに移設されている

粗々しさで醸し出すホンモノ感、E&Lエアソフト「AIMS」

【AIMS】
E&Lエアソフト「AIMS」。

 床井雅美氏著「AK-47&カラシニコフバリエーション」でひと目見て、その独特の攻撃的なバーチカルグリップに魅せられたのがルーマニア製のAKシリーズである。

 筆者はこのモデルを再現しようと悪戦苦闘したことがある。1990年代にはLS製AKのグリップを改造し、その後東京マルイ用に発売されたグリップも入手したがそのあまりに原型とかけ離れた太さにガッカリした。そして2010年代にようやく納得のいく製品が発売された。のである。

 E&Lエアソフトは、2012年になって誕生した香港の新興メーカーで、俗に「汚いAK」と呼ばれる、金属パーツの荒々しい表面処理が特徴。RS同様に実銃メーカーと関係が深く、実銃のパーツを各部に流用している。当然全体の硬性も非常に高く、「ホンモノ感」は満点だ。

 リアサイトなどもしっかりAKM仕様になっている。一方で内部機構に関しては、ホップレバーやバッテリーの収納が洗練されていない点など、エアソフトガンとして若干使い難い部分がある。

【AIMS】
東ドイツで開発されたサイドスイング式のストック。ソ連式に比べれば比較的使いやすい
マガジンは東京マルイと共用
プレス合板を再現したカッコ良いバーチカルグリップ。スリングは旧ソ連タイプ

 先日SNSで「似た様な銃を何丁も買っているな」と奥方に指摘される「ミリオタあるあるネタ」がバズっていたが、改めて眺めると多過ぎる感はある。サバイバルゲームの実射性能ではハッキリ言って、東京マルイのスタンダード電動ガンの「AK47」があれば良い。
 ただ、やはり「カラシニコフ突撃銃」への熱い想いを満たすには、恐らくカミさんから見れば「同じAK」な、細部の違う7丁を並べる事が必要な事でもあるのだ(震え)。今持っているのはそれぞれ思い入れがある型なので持ち続けたいし、各メーカーの違いを比較するのも楽しい。

 今後さらに、やはり東京マルイ5・45×39mm口径の次世代電動ガン「AKS74U クリンコフ」は持っていたいし、新発売のガスブローバックマシンガン「AKM」は是が非でも手に入れたいものだ。結果、合計9丁となったらもう満足なのか、物足りなさを感じるか、自分でも良く解らない。

【AKS74U】
東京マルイ、次世代電動ガン「AKS74U」
【AKM】
今春の発売が迫る東京マルイのガスブローバックマシンガン「AKM」

 改めて筆者にとって「AKコレクションで大事にしていること」を自問自答してみたが、「大事にしすぎないこと」、「想い入れ過ぎないこと」というところは持っていたい。AKは宝飾品ではない。特に実銃は水に浸そうが泥に塗れようが確実に作動するところが大きな魅力だ。さすがに電動ガンを水浸しには出来ないが、ガンガン使って傷ついたり錆が浮いたり、自分色に染めるのが楽しい。

 そして何度か述べたが、AKはオリジナルのソ連製から派生して、世界中でローカライズされてきた。旧共産圏諸国はソ連とライセンス契約を結び技術協力を受け、さらに独自の機構を盛り込んだりした優れたクローンを産み出した。そこから勝手に生産する国やアングラの銃器工場での劣悪なコピー品も独特の味わいがある。

 筆者としては、エアソフトガンも、そんなローカライズされたAKとして楽しみたいと思っている。左右貼り合わせのプラモデルから始まったLS製は当時の資料の少なさを考えると驚かされる。FTCの五六式は、個人的に親しくし、サバイバルゲームも楽しんだ同社のI氏の誠実さを思い出す。

 東京マルイのカッチリした実用性の高さは流石と唸らされる。RS、E&Lは実銃メーカーの臭いが漂う流石の出来で、それをコピーしたと思しき中華圏の製品も、「それもAKだ」と受け入れられる。

 それぞれのAKの味を噛み締め、サバイバルゲームを通して自分色に染めていく。それが自分にとってのAKの愉しさである。このコラムを生暖かくご参笑頂けたら幸いだ。本稿が貴方のAK選びの一助となる事を願いつつ……。

筆者のガンラックにずらりと並べてあるAKコレクション