インタビュー

「戦士の銃」は松本零士作品の武器を立体化する「LEIJI SMALL ARMS COLLECTION」の始まり!

第4のコスモドラグーンも企画進行中! そしてプロジェクトのその後も!

 「戦士の銃 コスモ・ドラグーン」で最初に発売されたのが、「シリアルナンバー4:星野鉄郎モデル」だ。「銀河鉄道999」で主人公・星野鉄郎がタイタンに住む老婆から譲り受けた銃である。コミックでは当初は強力ではあるものの「宇宙を旅する一流の男の持ち物」という扱いだったが、劇場版でそのデザインが明確に規定され、その後様々な設定が明らかになっていく中で、宇宙に4丁(後に5丁)しかない、宇宙で最も優れたコスモガンとなる。

 「シリアルナンバー4:星野鉄郎モデル」は劇場版に登場するデザインそのまま、黒く染め上げられ、トリガーガード部分は金色の真鍮製となっている。コルトドラグーンを原型としたその銃は全長約45cm、重量約1.5kgと非常に大きく重い銃だ。その取り回しの難しさ、銃の反動と威力の大きさは、この銃を手に入れたばかりの鉄郎の行動で非常に印象的に描かれる。

【シリアルナンバー4:星野鉄郎モデル】
星野鉄郎が使っていた戦士の銃を再現。真鍮製のトリガーガードが特徴

 ハートフォードの「戦士の銃 コスモ・ドラグーン シリアルナンバー4:星野鉄郎モデル」はそういったエピソードに浸れる“本物の感触”を持ったモデルガンだ。それは、原型であるコルトドラグーンの質感にこだわり続け、モデルガンを作り上げたハートフォードと、数十年間戦士の銃の“理想”を追い求めている高木氏の両者だからこそ実現した製品なのだ。

 この「シリアルナンバー4:星野鉄郎モデル」の半年後、2018年の12月に発売されたのが「シリアルナンバー1:キャプテンハーロック・モデル」である。こちらはハートフォードの職人による「エイジド加工」、「ケースハードン処理」により、使い古された雰囲気が演出されている。筆者が手にしたのはこのモデルである。

【シリアルナンバー1:キャプテンハーロック・モデル】
歴戦の勇者であるハーロックが使っている銃であることをイメージし、ハンドル部分などに塗装がはげた「エイジド加工」。実銃の焼き入れの雰囲気を再現した「ケースハードン処理」が施されている。ハートフォードのモデルガン技術を注ぎ込んだ商品だ。

 さらにハートフォードは2019年12月には美しいシルバーメッキ(ジュピターフィニッシュ)にアイボリーグリップ、銀のスカルメダリオンがついた「シリアルナンバー3:メーテルモデル」を発売した。さらに2020年5月にトリガーガード部分を黒染めの金属に変更した「戦士の銃 コスモ・ドラグーン 鉄郎2020モデル」も発売している。

【シリアルナンバー3:メーテルモデル】
美しいシルバーメッキ(ジュピターフィニッシュ)にアイボリーグリップ、銀のスカルメダリオンがついた「シリアルナンバー3:メーテルモデル」。これまでのコスモドラグーンと大きく雰囲気が違うモデル。シルバーメッキとアイボリーグリップは、SAAなどでも人気のアレンジだ

【シリアルナンバー4:星野鉄郎2020モデル】
再販に当たりトリガーガード部分を真鍮製からハーロックモデルと同じ黒染めのダイキャストモデルにしたもの

 2018年から再販も含め積極的に展開されている「戦士の銃 コスモ・ドラグーン」だが、1度の生産数は数百丁という単位のため、高価な商品にもかかわらずあっという間に売り切れてしまう。現在はどのモデルも入手しづらい状態だ。再販にも版権元への許可が必要であり、また、再販としても生産は小規模なため、欲しいと思う人は、ショップでの販売情報などで細かくチェックしてほしいと加藤氏は語った。

 「戦士の銃 コスモ・ドラグーン」の反響は大きかった。これまでのハートフォードのファン層とは異なるユーザーも来店するようになった。また店舗の常連にも松本零士氏のファンは多く、そういった方々が持ち寄ったコレクションが並ぶ「松本零士コーナー」が自然発生的にできているという。

 こういった反響の元、ハートフォードと高木氏は「LEIJI SMALL ARMS COLLECTION」を拡充すべく今後の企画を練っている。その中で気になるのは「戦士の銃 コスモ・ドラグーン」の今後である。設定では戦士の銃は5丁ある。シリアルナンバー、1、2、3、4、そして0だ。現在は1のハーロックモデル、4の星野鉄郎モデル、3のメーテルモデルが商品化されている。そうなると……2のエメラルダスモデルはどうなるか、期待がかかる。

 宇宙の海を進む女海賊・クィーン・エメラルダス。彼女が持つ戦士の銃はどんな仕様となっているのか、高木氏と加藤氏、化学反応を起こした2人がどのような仕様を実現するか期待はふくらむ。

【ファンが作った松本零士コーナー】
ファンから様々な資料が送られてきた。上には松本氏と加藤氏の記念写真や、高木氏が松本氏に見せた戦士の銃の試作品などもある

 コスモドラグーンの展開に加え、次なる「LEIJI SMALL ARMS COLLECTION」では、「コスモガン」がある。松本氏のコミックスではコルトドラグーンをベースにした戦士の銃のほか、様々なキャラクターが持っているSF銃(コスモガン)がある。それが「十四年式拳銃」をベースにした架空銃だ。十四年式拳銃とは第2次大戦前に大日本帝国陸軍が開発・採用した自動拳銃で「南部十四年式」とも呼ばれる。

 外見のイメージとして突き出た細い銃身や、底部に丸みがあるグリップからルガーP08に似ているが、内部機構は大きく異なる。第2次大戦の日本軍の主力拳銃として幅広く使用された。“松本作品”ではこの銃をアレンジした「コスモガン」が様々な作品で登場する。「銀河鉄道999」ではアニメ版で様々なキャラクターたちが使用する銃として描かれる。高木氏はこの銃の原型を作成し、松本氏の許可を得た上でイベントなどで試作品として展示している。

 今回その試作品を見せてもらった。後部のボルトや、銃の先端のチューリップ型のフラッシュハイダー、銃身に被さるハンドル型の飾りなど戦士の銃と共通する意匠もある。オートマチック拳銃がモチーフ元なだけによりSFテイストがより増している感じだ。こちらはまだ商品仕様としては未決定の部分が多く、版権の確認など商品化はまだまだ時間がかかるという。

 しかし、繰り返すが「LEIJI SMALL ARMS COLLECTION」はまだまだ続く。高木氏の構想は大きく、松本氏のコミックスに出てくるすべての携帯火器を立体化・商品化する、というのが夢なのだ。そしてその先には「本物の戦士の銃を作る」という大いなる目標がある。

【コスモガンの試作品】
戦士の銃との共通の意匠も感じられるコスモガン。こちらもかなり大型の銃になりそうだ

 加藤氏は読者へのメッセージとして、「私たちはものを作る立場です。私たちの商品を買って頂いたお客様が、このフラストレーションが多い現代の世の中で、少しでもほっとして頂ければそれは本当に製造者冥利に尽きます。モデルガンは弾が出ないからこそ、より想像の世界を膨らませて遊ぶことができる。それは私が子供の頃、木の鉄砲の模型を振り回していたあの頃と同じです。その楽しさが癒やしになってくれれば、と思います」。

 高木氏は「僕は作家であると思っています。その作家として『戦士の銃 コスモ・ドラグーン』には持てるすべてをつぎ込みました。好評を頂いてとてもうれしいですし、これを糧に次の作品へチャレンジしたいと思います。買っていただけたお客様には本当にありがとうございますという言葉しかありません」と語った。

【高木氏の戦士の銃】
高木氏がすべてをつぎ込んだという「戦士の銃 コスモ・ドラグーン」。その想いはとても魅力的だ

 非常にワクワクさせられる話だった。筆者自身「戦士の銃 コスモ・ドラグーン」を手にしてから西部劇への思い、そして古式銃への思いは強まり、ハートフォードの商品を熱心にチェックするようになった。西部劇の映画のBlu-rayなどを買ったりもしている。本格的なテンガロンハットも入手予定である。戦士の銃は新しい趣味の世界の扉を開いてくれた。

 高木氏と加藤氏のタッグによる「松本零士氏の世界」はこれからもさらに拡充していく。「戦士の銃 コスモ・ドラグーン」はマイルストーンであり、ゴールではないのだ。これからどうなっていくか応援したいし、メディアとしても追いかけていきたい。