特別企画

「うわー! こいつ動くぞ!!」、夢に見続けた“動くガンダム”を目の前で見た感動! 「ガンダムファクトリー」ディテールレポート

会場:山下ふ頭

開催時期:12月19日~2022年3月31日まで

入場料:大人1,650円(税込)

 先日”実物大ガンダムを動かす”プロジェクトである「ガンダムファクトリー横浜」内覧会を取材しました。思い返せば2010年のガンダム30周年で東京・お台場の潮風公園に全高18mの巨大な実物大「RX-78-2ガンダム」立像が立った時から10年、その時誰もが夢見た”動く”ガンダムが横浜の山下ふ頭に出現したのです。

【東京・お台場 潮風公園】
この時描いた夢が現実に……

 2014年に”動く実物大ガンダム”プロジェクトを包括する「ガンダム・グローバルチャレンジ」が立ち上げられ、世界からトップの技術を集結して建造された「RX-78F00ガンダム」は、「腰で支える」、「台車に乗せる」、「ドックに格納する」という手法を取ることで安全に全身を動かす、という仕様になりました。

 過去の実物大ガンダム立像を追っかけまわしている筆者としても”動く”ことになった実物大ガンダムがどういう構造・ディテール・演出なのかなど非常に興味深く、この時を待っていました。それではさっそく会場内に入ってみましょう。

ついに目の前に”動く”ガンダムが!

 ガンダム30周年を記念して建造された実物大ガンダム立像はアニメ放送時にファンが夢見た「実際にガンダムが目の前にあったら……」を現実のものにしてくれました。それはそれはリアリティをもって眼前に現われ、頭部しか動かないにも関わらず400万人を超える来場者を記録しました。

 潮風公園に立ったその日からファンには次の目標が自然と沸き上がったものです。「これ全身が動いたらすごいことになるぞ……次は歩くよね!?」……ファンとはなんと素直であり残酷なものでしょうか。まさにTVでアニメを見ている子供に戻ったようでもあります。これは立像を立てた運営サイドも同じ感想だったようで、そのプロジェクトはすぐに検討に入ったそうです。

【ついに眼前に現われた”動く”実物大ガンダム】
【横浜・山下ふ頭 ガンダムファクトリー横浜】
TV放初放送から40年の時を超え、待ちに待った瞬間が!

 さすがに単独で歩かせることは叶いませんでしたが”全身を動かす”ということであれば2020年頃なら巨大なシリンダーで動く重機も存在していたり、内部の鉄骨製フレームはもちろん外装をカーボン素材を利用して軽量化できるし、人型ロボットの重心の取り方や姿勢制御などの基礎研究も進んでいるなど技術的にはクリアできそうな要素がそろっていました。要素はそろっても建造はそう単純なことではないでしょうが、まさに40年以上前に設定された未来の巨大ロボットの実現に時代が追い付いている状況だと感じました。

 アニメに登場する巨大ロボットを動かそうなんて”子供のたわごとでしょう?”などと表現される方もいるかと思いますが、アニメ「ガンダム」も実物大「ガンダム」も大の大人が必死になって生み出した”現実”なんですよね。国や県、各関連省庁を巻き込み、実現してくれるメーカーや会社を探し交渉する。

 単純な思い付きや夢かもしれなかった実物大ガンダム立像を動かすプロジェクトを進めるためには一筋縄どころではない高いハードルをクリアしていく必要があったはずです。ガンダムで育ったファンが様々なところの第一線で働いている、というのも大きな影響力があったのではないでしょうか。各々が並々ならぬ情熱をもって難題をクリアし、夢を実現させたスタッフの皆様に感謝を申したいと思います。

【ガンダムファクトリー横浜:ガンダム起動】
思わず「うわー!!」って叫んでしまいました。こいつ、動くぞ!!

 実際に動いている様子はなめらかすぎてまるでCGを見ているかのようでもあります。現実に今動いているのですからその情報量の多さに脳が圧倒されているのではないでしょうか。ガンダム本体もちょっと目を離すとさっきまでとは別の場所に移動していてゆっくりに感じられる動きでも実はあっという間の出来事でまさに瞬き厳禁というくらい動いているのだと驚かされました。

 演出で駆動音が付けられているので詳細はわからないのですが、ガンダム本体からはモーターなどの音がまったくと言っていいほど聞こえてこなかったのが印象的です。あれだけたくさんの可動部を持ち、様々な部位が同時に動いているにもかかわらずノイズの類は聞き取れませんでした。今後経年で聞こえてくるかもしれませんが、そういう機械が動く音も聞いてみたいですね。

【ガンダムファクトリー横浜:腕上げ、射出!】
RX-78F00ガンダム、起動を確認。カタパルト接続用意!

 関節はガンダム本体でハンド部を除いて24自由度(すべて電動)ということで、頭部・腕部・脚部はもちろんのこと、上半身の回転も実現されていてそのポージングには想像を超える表現力が与えられています。歩行のモーションの場合、腕と脚だけが動くと途端に”おもちゃ”感が出るでしょうからこれはすばらしいことですね。歩行、腕上げ、カタパルト射出姿勢にしてもそこへ至るまでにガンダム全身のパーツがそれぞれミリ単位で絡み合って動き、各部位の面がその都度で角度を変えることで日の光を反射して立体感を強調します。

 ガンダムが乗っている台車「ガンダム・キャリアー」からガンダム腰部を支えるアームにも上下の昇降機構と前への押し出し機構があるため前傾姿勢もとることができ、カタパルトからの射出姿勢も表現できます。今回の内覧会とオープン後のしばらくの演出では披露されないようですが、立膝のモーションもあるようです。立膝から立ち上がるモーションがあれば劇中でも見られる動作ですのでこれは迫力満点ではないでしょうか。これも楽しみですね。

 大腿部の裏にはその巨大な質量を支えるべく太いシリンダーが内装されているようです。ガンプラで表現されているように大腿部の外装が単純にスライドするのではなく複雑な開き方をしているのがわかります。人間の体の中でも大腿部がもっとも太く中身が詰まっていて、”太もも”と呼ばれるのには意味があるとわかります。

【ガンダムファクトリー横浜:格納】
オープン当初は30分おきに、発進Ver.と格納Ver.の演出が行なわれる予定です。ガンダム・ドックに格納されるとデッキの方へ顔を向けます。ボディも回してくれるのでぜひデッキから見てみたいものです