インタビュー

「次世代電動ガン MP5」に「ガスブロAKM」! デカ広報・島村氏が語る、「2021年の東京マルイ」

 2021年が終わろうとしている。弊誌は2021年も積極的に東京マルイの活動を取り上げてきた。今回は東京マルイのデカ広報こと、島村優氏に「2021年の東京マルイはどんな年だったか」、「2022年の東京マルイはどんなことをするのか」という2つのテーマでインタビューを行なった。本稿では2021年の東京マルイの活動を島村氏と共に振り返っていきたい。

 2021年は“新型コロナウィルス感染防止”に明け暮れた年だったと言える。2020年に引き続き、イベントは自粛、外出も外食も制限される中、サバイバルゲームも感染防止、自粛行動が求められた。

 そういった中、東京マルイの新製品発売は積極的だった。“コンパクトキャリー”をテーマにした「固定スライドガスガン LCP」と「BODYGUARD 380」。今後ラインナップを大きく広げていく「ガスブローバックマシンガン AKM」、そして電子トリガーやリポバッテリー対応など様々な新しい挑戦を盛り込んだ「次世代電動ガン MP5A5」、他にも多数の新商品を発表・発売し大きな話題を集めた。

 インタビューではこれらの新商品を振り返りつつ、オンラインを通じた広報活動など島村氏と東京マルイが2021年どんな活動をし、どういった想いを持ったかを掘り下げていきたい。

今回、東京マルイのデカ広報こと、島村優氏に2021年を振り返ってもらった

新商品展開、売り上げは好調だったが、やはりお客様と直接お会いしたい

 まず最初にぶつけた質問は「2021年の東京マルイはどうでしたか?」という非常にざっくりした質問だ。島村氏は少し考えてから「製品ラッシュの年でしたね。新型コロナの影響が2020年から引き続き大きく、皆さんと顔を合わせるイベントが全くできなかった。これがやっぱりつらかったですね」と語った。

 東京マルイはイベント出展に積極的なメーカーだ。ホビーショーはもちろん、東京コミコン、ニコニコ超会議、さらには大阪オートメッセなどの車関連のイベントにも出展している。さらに東京マルイ独自のイベント「マルイフェスティバル」も開催していた。それが2020年の2月から2021年の12月現在まで、2年近くイベント出展を行なうことができなかった。

 「2020年の2月に大阪オートメッセに出展したのが最後でした。今年は本当にオンラインでしか皆様に商品紹介ができませんでした」と島村氏は語った。およそ丸2年イベントに出展していないという。2年ぶりに2022年2月に開催される予定の大阪オートメッセに東京マルイは出展を申し込んでいるが、開催されるかはまだわからないのが現状だ。

【東京マルイフェスティバル6】
2019年11月に開催された「東京マルイフェスティバル6」。このときの目玉は「次世代電動ガン MK46 Mod.0」だった

 一方、2020年暮れにに東京マルイはオンラインイベント「バーチャルマーケット5」に初参加、ここで好評だったのを受けて、2021年には「ゲームVケット」、「バーチャルマーケット6」などにも参加、オンラインでのイベント出展を行なっている。こういったオンラインイベントへの参加は今後も継続していきたいとのこと。オンラインでコラボもしやすくなり、ブラウザで遊べるFPSゲームに東京マルイの銃とのコラボを積極的に行なった。

 実際に行なわれるイベントでは東京マルイのスタッフがお客さんと直接ふれあえるところの意味合いが大きい。様々な意見を聞いたり、感想を聞ける場所としても重要な意味を持っているが、昨今ではユーザーのフィードバックはTwitterなどからも得られるようになった。オンラインは東京マルイとお客さんの新しい関係を築きつつある。

【マルイフェスONLINE】
コロナ禍のなか、「マルイフェスONLINE」を通じてオンラインで新商品情報を提供している

 しかし「イベント会場でお客さんに弊社の製品を手に取ってもらいたいのです」と島村氏は言う。実際に東京マルイの商品を手に取り、重み、感触、ブローバックの強さ、ディテールの面白さ、素材の手触りなど、オンラインでは決して味わえない感触を味わって欲しいとのことだ。

 「もちろん何万人と来ていただけるすべての人に商品の感触を、というのは無理ですが、それでも『この場所に行ったら東京マルイの商品が触れる・見れる』というのは重要だと思っています。今年はたくさん新製品を出すことができ、どれも非常に好評でしたが、皆さんが触らず、確かめることも無く、いきなり買っていただけている……東京マルイへの信頼としてとてもありがたいですが、やはり申し訳ないような気持ちもあります。もっと触ってもらいたいですし、重さやリコイルなど魅力的なポイントを確かめていただいた上で納得して購入していただける環境を目指していきたいです。それがお客様へのさらなる満足につながるんじゃないかと思っています」と島村氏は語った。

 東京マルイが販売するエアソフトガンは“完成品”のホビー商品だ。プラモデルと違い箱から開けた時点で組み立てられており、動作を楽しむことができる。ホビーショーなどでは同じく完成品であるフィギュアやミニカーなどは展示されているが、それらはガラスケースに入っていたり、触ることができない。東京マルイの製品はものによって手に取ることができる。その場で作動させることもできるし、ホビーショーなどはシューティングレンジも設置し、弾を撃つことすら可能だ。

【商品が触れる】
東京マルイのイベントでは商品が触れることが魅力。展示のみの場合もあるが、銃の質感や表面処理、重量などを目の前で見て体感することができる

 完成品を手に取り、構えたり、スライドを動かしたり、感触を楽しめる展示こそイベントでの東京マルイの商品の楽しみ方だと島村氏は語った。だからこそイベントで商品をたっぷり楽しんでもらいたい。そのためにもイベントに参加し、お客さんに銃の魅力を知ってもらう、それが東京マルイの目指すお客との関係性だという。

 「弊社も巣ごもり需要の恩恵で販売は好調で、品薄となり再販をお待ちいただいている人も多い状況ですが、それでもイベントで当社の製品を触って欲しい。見て欲しい。特に今回の『MP5』は質感や重さ、塗装など弊社スタッフのこだわりを感じて欲しかったです。こういった弊社のこだわりを実際に目にしていただき、『さすがすげえな』と言っていただきたい。マインドを高めて購入して欲しいと思うんです。そのためにも早く今の状況が変わり、以前のようにイベントが当たり前のように開催できるようになって欲しいです」と島村氏は改めてコメントした。

「コンパクトキャリーガスガンシリーズ」始動! 新しい面白さの提案

 ここからは2021年発売の東京マルイの商品をピックアップしていきたい。最初は4月に発売された「固定スライドコンパクトキャリーガスガン LCP」と5月に発売された「BODYGUARD 380」だ。手のひらに収まるような小型のガスガン「コンパクトキャリー」というのが大きな特徴だ。

 発売は非常に好評だったという。11月に行なわれた再販も非常に好評とのこと。「コンパクトキャリー」という隠密性の高い小ささで、充分な実射性能、1万円を切る低価格……。ブローバックをしない固定スライド式ガスガンだが、新しい遊び方、魅力を提示できたのではないかと島村氏は考えているという。

 コンパクトキャリーシリーズはホルスターも発売された。小さな銃を隠すように持てる専用ホルスターであり雰囲気に大きな魅力を持つ。この商品はその“フォーマット”が新しいのではないかと島村氏は語る。手のひらに収まる、サバイバルゲームで2番目の、あるいは3番目の武器として持ちたい「小さいながらもちゃんと当たる銃」として、今後もラインナップを拡充させていきたいという。11月には次のラインナップである「LCPII」と「CURVE」も発表された。コレクションしたいというユーザーの気持ちも満たしつつ今後も色々なモチーフに挑戦したいとのこと。

【コンパクトキャリーシリーズ】
「固定スライドガスガン LCP」、4月14日発売、価格は8,778円(税込)
「固定スライドガスガン BODYGUARD 380」、5月27日発売、価格は8,778円(税込)

 1万円を切る低価格、小さな銃というモチーフの面白さ、ホビーショップで見かけて気軽に買ってもらえるような購買スタイルを意識しての商品だという。その提案は受け入れられ売り上げはかなり好評だ。

 手軽さが魅力の「コンパクトキャリーシリーズ」だが、昨今増えているコスプレユーザーや、エアソフトガン初心者向けという意識は東京マルイとしては低いとのこと。「小さい銃って、意外とみんな飛びつかないんですよ」と島村氏は言う。キャラクターイメージなどから入る新規ユーザーはやっぱり大きくて目立つ銃が好きだ。

 大きなハンドガンや、FPSに登場するアサルトライフル、サブマシンガンなど大きな銃の方が魅力を感じる人が多いとのこと。ボディーガードやスパイが持つような、隠密性の高い小さな銃、というのはなかなかシブイ選択なのだ。「小さい銃の魅力がわかる人って、ある程度銃に詳しい人じゃないかと思うんです」。ブローバックしなくても良いから、ちゃんと弾が出て、小さくて、きちんと当たる。そこに魅力を感じる人向けの商品だったとのことだ。これまで東京マルイが出していたエアソフトガンとは違う「小ささ」を前面に出して、ラインナップに新しい波をもたらす商品とのこと。

 「サブウェポンとして携行していただくのも良いとは思いますが、『コンパクトキャリーのみでの対戦』は特にすごく面白くなると思いますよ。新型コロナウィルスの流行がなければもっとお客様がこのシリーズを楽しんでくれていただろうな、という想いはあります」と島村氏は語った。