インタビュー

コンパクトキャリーにSSA、そしてサイガ12K……2022年の前半も新製品ラッシュは続く! 「2022年の東京マルイ」、デカ広報・島村氏インタビュー

「次世代電動ガン MP5A5」のポテンシャルを100%活かす東京マルイのリポバッテリー

 さらにエアソフトガンに加え東京マルイ初となる「リポバッテリー」(リチウムイオンポリマー充電池)も注目の商品だ。リポバッテリーは昨今エアソフトガン用に海外製を導入しているユーザーもいるが、発火の危険性があり保管場所に気をつけるなど注意が必要なものとなっている。

 現在流通しているリポバッテリーは、内部の個々のセルのバランスによって、充電時に火を噴いてしまったり、外側を傷付けるとそこから燃えてしまうとか、安全面に問題がある製品もある。東京マルイが自社商品のオプションとしてリポバッテリーを販売するのは、安全性などで自社基準を満たしたものが生産できるようになったためだ。本来発売を今秋に予定していたが、世界的な半導体不足で充電器の生産が間に合わず、4月ごろを目指して販売ということとなった。ただ、半導体の状況によっては何とも言えないのが現状である。

「次世代電動ガン MP5 A5」価格:65,780円(税込)
「8.4V ニッケル水素1300mAh ミニSバッテリー」価格5,060円(税込)。従来品のニッケル水素タイプバッテリー。安全性が高い

 リポバッテリー導入のメリットは何だろう? 島村氏は「大容量で小サイズ、また瞬間的な出力も上げられます」と応えた。サバゲーで数時間使っていてもバッテリー交換が必要ないくらい持つ。引き金を引いてメカが動きBB弾が発射される、瞬間的なメカ動作に必要な電力供給が安定する。「次世代電動ガン MP5A5」に搭載されている「Mシステム」は、リポバッテリーに合わせて設計してあるメカなので、特性を充分活かしきれるようになるとのことだ。リポバッテリーを使うことで、「次世代電動ガン MP5A5」はそのポテンシャルを100%発揮できるようになるという。気温が低いと従来のバッテリーは性能が低下したが、リポバッテリーはその低下を従来品以上に抑えられるとのこと。

 そして開発側のメリットだ。リポバッテリーはニッケル水素バッテリーより小さくできるので、設計の自由度が広がる。今までバッテリーを収める関係で出来にくかった大きさやデザインの銃を再現できるようになる。現状、東京マルイのリポバッテリーは「次世代電動ガン MP5A5」に使用できる汎用の型となっている。このバッテリーを搭載する製品の研究開発も進めていると島村氏は語った。

リポバッテリーの安全性について語る島村氏
次世代電動ガンMP5A5にニッケル水素バッテリーを繋いだ状態。中間にある、黒と灰色のコネクターがリポバッテリー用

リアルイベントでユーザーの皆さんと再会したい! オンラインとでより深い交流を

 最後に聞いたのは、2022年の東京マルイのイベント展開。前回のインタビューでも重ねて島村氏は語ったが、やはり「オフライン」への思いは強い。自社製品を見てもらい、触ってもらうことでより深く製品の魅力を知って欲しい。そのためには是非とも会場出展を行ないたいというのが東京マルイの想いだ。

 「2022年2月11日~13日 インテックス大阪での大阪オートメッセ2022から、ようやく復活予定です。続いて2022年4月29日、30日が幕張メッセでニコニコ超会議2022、5月の静岡ホビーショーまではもう案内が来ていますので、出展を予定しています。他に大阪のショットショーとか、夏前までにはいくつかありそうなので開催されれば当然申し込みます」と島村氏はイベントへの意気込みを語った。

 ただまだまだコロナ流行の状況が見えない中でイベントの“規模”に関しては注意している部分もある。今までは、「去年はこの広さだったから今年はこれだけ拡げよう」という感覚で出展していたが、今のところ「前回と同じ規模で」という探りながらの部分がある。お客様がすぐたくさん来てくれるか、確信が持てない部分がある。また、出展した場合に、感染対策という事で、直接触れて頂けるかどうかは現状まだ不透明だ。オートメッセやニコニコ超会議の様に銃の展示だけで試遊はなし、ということもあるとのことだ。今後の情報を待ちたい。

すっかりお馴染みとなった、彩まよいさんとのオンライン配信「マルデカ宣伝本部」は継続予定なので、ファンの方には朗報だ

 一方で、コロナ禍で拡充したオンライン配信に関しては、引き続き行っていく予定だ。この2年ほどで、オンラインにはオンラインの良さもあるということの確信も得られた。リアルイベントが盛んになってきた場合のオンライン配信のバランスは考えていくとのことだが、オンライン配信は共存させていくとのこと。イベント会場からの配信、といったこともあるかもしれない。

 改めて2022年への意気込みを島村氏に聞いてみた。「―昨年が新製品ラッシュと言って良い状況でした。その積み残しが春までに出ますが、2022年後半はちょっと次の飛躍へエネルギーを貯える時期になる予定です。とは言いつつも、出せば『おおっ』となるような隠し球も、用意しています。他に新製品として発表してから未発売の物、『P320』なども進めていますので、引き続きご期待下さい」とのこと。

 また、新製品の再販に関しては「以前の製品より時間がかかる」ということもいっておきたいと島村氏は語った。昨今の商品は素材や工程も増え、生産に数カ月かかる。それらが重なっている現状に加え、部品の供給がコロナ禍の影響を受けている。

 「人の心理として後から発売される方が良いとの先入観からセカンドロットを待ってファーストロットを見送ると入手がかなり先になる場合がありますので、速く手に入れたい方は予約するなり、早めのご購入をオススメします。たしかにセカンドロットで良くなる部分もあるかもしれませんが、塗装や表面処理も変更する場合もある。色味が好みと変わる場合もあるのが現実です。欲しい時が買い時、はエアソフトガンでも当てはまると思います」と島村氏は語った。

ガスブローバックマシンガン「AKM」。価格65,780円(税込)。発売即完売状態でだったが再販された

 さらにリアルタイムでどんどん更新されるWeb全盛の現在は、どうしても新製品に注目があつまり過ぎているのではないか、とも島村氏は感じているという。東京マルイとしては400種類近い既発製品、定番品が既にある。「この銃をこのように使いたい」というユーザーの思いを叶える商品がすでに販売されているかもしれない。新商品のみに飛びつくのではなく、自分の好み、プレイスタイル、ライフスタイル、実現したいこと、そういった「エアソフトガンへの憧れ」を見つめ直して商品を手に取って欲しい。こういう想いもあるとのことだ。

 最後にファンへのメッセージを聞いた。島村氏は「来年はやはり、リアルイベントで皆さんに直接お会いすることを楽しみにしています。オンライン配信の良さも勿論あるんですが、直接持って触って頂いて、『おおっ』っていう声や反応をダイレクトに受けるのは、メーカーとしても励みになります。機会があれば会場に来ていただければ幸いです。よろしくお願いします。2022年後半はパワーを貯める時期とは言いつつも、企画中の色々な製品があります。発表のペースは少し遅れるかもしれませんが、引き続き楽しみにお待ちいただければと思います。コロナ禍が収束し、2022年が皆さんとエアソフトガンにとって良い年になりますようにお祈りしております。2022年もよろしくお願いします」。